「Tidal」でNFT活用を検討か
ツイッター社CEOのJack Dorsey氏が、音楽ストリーミングサービス「Tidal」で非代替性トークン(NFT)の活用を検討していることを示唆した。
Dorsey氏はフィンテック企業米Square(スクエア)社のCEOも務めており、スクエア社が今年初めにTidal(タイダル)社株の過半数を取得した経緯がある。
発言は、著名ラッパー「Jay-Z」として知られるShawn Carter氏とDorsey氏の公開対話の中で行われたもの。Carter氏は2015年にTidalを運営するノルウェー企業Aspiroを買収し、アーティストが所有するストリーミングサービスとして話題を集めた。
NFT
NFTとは、「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。最近では、ブロックチェーンゲームのアイテムの交換などに用いられるのみならず、アート作品の所有権の証明や、スポーツクラブのファンコミュニティ形成の手段などとして注目を集めている。
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スクエア社がTidalの過半数を取得して以来、その経営方針の行方に注目が集まっていたところだ。Carter氏は、米スクエア社の取締役会にも所属している。
転売の際にもアーティストに報酬を
ライブストリーム「Tidal talk」で行われた対話で、Carter氏はアーティストが転売された作品の利益からは収入を得られないことについて言及した。あるアーテイストが1983年に2,500ドル(約28万円)で絵画を販売したが、最近その作品が1億ドル(約110億円)以上で転売された件に触れた。
Carter氏は、ブロックチェーンを使えば転売された際にもアーティストが収入を得られるとして、次のように述べた。
彼の家族や関係者あわせて誰も、作品が高額で転売されたことによる利益を得ることができなかった。それが正当なこととは思わない。
ブロックチェーンやスマートコントラクトを使用すれば、二次以降の販売についても売上の「10%、30%を受け取りたい」または「二次販売で50%、三次販売で40%を受け取る」という契約を作成することができる。
Carter氏は、契約がブロックチェーンに記録されるために透明性が高いことも利点だと指摘。またNFTトークンを直接アーティストが販売すれば、弁護士やレコード会社などが不要となる点も魅力的だと続けた。
アートを支援する仮想通貨の可能性
Carter氏は、アーティストを応援するのが自分の立場で、「アートを愛好する人々と、アートを作る人々に利益をもたらすものには何でも関心がある」と発言。
Dorsey氏はこの発言を受けて、まずビットコイン(BTC)などの仮想通貨はアーティストを支援する大きな可能性を持つと述べた。世界のどこからでも、直接ビットコインで寄付や投げ銭を行うことが可能で、アート活動をしやすくすると説明し、NFTについても次のように話した。
NFTは、アーティストが得られる報酬の状況を改善していくというスピリットを持つものだ。私たちはそうした面について、これから時間を費やして焦点を当てていき、アーティストに経済的な土台を得るための適切なツールを付与するような、まったく新しい方法を検討するようにしたい。