英国の仮想通貨規制
英国で暗号資産(仮想通貨)関連事業を行うための認可の取得を断念する企業の数が、増加傾向にあることが分かった。ロイターが報じた。
申請を撤回した企業の数は6月初めは51社だったが、今月の現時点で64社まで増加。英国の規制機関である金融行動監視機構(FCA)の担当者は28日、1カ月経たない間に約25%増えたと説明したという。
英国では2020年1月10日から、FCAが仮想通貨企業の監督機関になった。マネーロンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CTF)を監督するため、英国で仮想通貨関連事業を行う企業には、FCAへの登録を義務付けている。これまで、コロナウイルス感染拡大の影響や審査プロセスの複雑さなどから手続きに遅れが生じており、登録期限を2度延長した。
英国で登録を断念する企業が増加している理由は、世界的に仮想通貨規制の強化が進んでいるからだという見方が出ている。英国も規制を強化しており、FCAは先週バイナンスに対して、英国で規制されていない取引所であるとして、注意喚起するリリースを発表。今回FCAの担当者は、バイナンスもすでに5月中旬に、FCAへの登録申請を取り下げたと明かしたという。
関連:日本に続き 仮想通貨取引所バイナンスと規制当局の対応例
独投資企業Spectrum Marketsのコンプライアンス部門でトップを務めるAlpay Soytürk氏は、FCAの取り組みについて、「FCAは他の大きな規制当局と足並みを揃えている。特に米国とアジアの規制当局だ」とコメントした。
審査の遅延について
公式サイトによると、現時点でFCAに登録が完了しているのは6社のみ。まだ多くの企業がFCAへの登録が完了するのを待っている状態だ。審査が遅延していることに対しては、疑問の声が上がっている。
英保守党のPhilip Davies議員は財務省に対し、手続きの遅延について書面で質問。財務省のJohn Glen経済担当政務官は、「企業のビジネスモデルを総合的に評価しており、多くの場合は申請企業に追加情報を要求する必要があった」などと説明している。
また、「申請の処理に予想よりも長い時間がかかったために、FCAが審査に割り当てるリソースを大幅に増やしたことを確認している」とも回答した。
質疑応答の内容は、以下の記事にまとめている。