人材が豊富なインドで技術開発
世界に活動拠点を広げる米暗号資産(仮想通貨)取引所最大手のコインベースは、インドに技術に特化した拠点を開設する。
現地の運営を統括するPankaj Guptaエンジニア部門副社長は、高名な数学者や多くの技術者を輩出しているインドに大きな期待を寄せており、仮想通貨ポリゴン(MATIC)やInstadappの立ち上げに関わるなど、仮想通貨やブロックチェーン分野に精通した人材が豊富だと強調している。
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Gupta氏によると、インドで「ゼロから構築する」この技術ハブには「野心的な計画」があるという。多数の有能なエンジニアを採用し、コインベースが取り組んでいる主要分野全てにチームを設置。これらのチームは、自律的権限を持つ現地エンジニア部門責任者が管轄し、迅速な意思決定を可能にする。
設置されるチームの分野は多岐にわたり、インフラ、クラウド、プラットフォーム、決済、仮想通貨、ブロックチェーン、データエンジニアリング、機械学習などが含まれる。インド拠点では、コインベースのグローバルに展開する製品やシステムに関するプロジェクトと並行して、アジア太平洋地域に特化したプロジェクトを担当する。
また、インドでの活動拡大の一環として、スタートアップ企業との合併や買収も検討しているという。
直近ではインド国内の仮想通貨投資額が、1年で200倍の400億ドル(約4.4兆円)に急増したとの報道もあり、仮想通貨への投資熱が高まっているようだ。
コインベースならではの新入社員プログラム
インド支社の新入社員には、Cikka(Coinbase India Sikka*)と名付けられたプログラムを通して、入社時に1,000ドル(約11万円)相当の仮想通貨が支給される。
コインベースは新入社員が、実際に使用することで仮想通貨について学び、さらに理解を深めること、そして、その経験を製品開発に活かすことを望んでいるという。
*「Sikka」はコインを意味する
コインベースの社会的使命と戦略
コインベースは「世界に経済的自由をもたらす」ことを、同社の存在意義・社会的使命として掲げている。ブライアン・アームストロングCEOは、2010年にビットコイン(BTC)のホワイトペーパーを読み、この発明が経済的自由への鍵になると思い至ったと述懐している。仮想通貨を使って、世界各国に健全な金融インフラを構築することが可能だと考えたという。
コインベースは現在、100カ国以上に事業を展開しているが、これまでは主に米国、英国やEUなどの先進諸国に対応した製品に注力してきた。しかし、同社のミッションを推進するためにも、国際的な視野をもち、より多くの国や地域で利用可能な製品を提供していく必要があると、アームストロング氏は述べている。
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インドの活動拠点設置は、ローカルからグローバルへ事業展開していく戦略の一環として重要になると考えられる。
また、コインベースは同社のミッションに基づいた企業戦略として、投資としての仮想通貨、新たな金融システムとしての仮想通貨、アプリ・プラットフォームとしての仮想通貨という3つの柱をあげている。
中でも、新たな金融システムとしてコインベースが注目しているのが、分散型金融(DeFi)で、投資に続く仮想通貨のユースケースとして、将来的には中央集権型金融(CeFi)を上回り得ると予想しているようだ。
アームストロング氏は先日、アップルのiPhoneアプリ開発の成功例をあげ、コインベースの自社アプリからDeFiアプリへ、簡単にアクセスできるようなアプリストアの構築を行うと発表した。顧客のウォレットとアプリの統合も行われる予定。そのため、新たなウォレット技術を採用し、将来的にはコインベースのアプリで、仮想通貨を自己管理するというオプションも提供できるようになるとのことだ。