はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 取引所 WebX
CoinPostで今最も読まれています

新しいインターネット、分散型システム「IPFS」の革新性を解説|XSL Labs寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

IPFS革命

1969年10月29日、ARPANETネットワークの上で、「ログイン」という史上初のメッセージが送信されました。アーパネットは、インターネットの起源とされます。

ネットワークでの初めてのデータ通信でした。50年後、人類はインターネットのおかげで世界と「つながる」ことができます。日常生活に活用されているインターネットは、人類の最も貴重な技術だと考えられています。

一方で、分散型のネットワークモデルであるP2P(Peer to Peer)形式が発展してきました。多数の利用方法、性能向上、コンペティターなどはインターネットの発達を促しましたが、集中型のアーキテクチャに基づくネットワークになっています。

2007年の有名なカンファレンスイベント*1において、「ベンジャミン・バヤール」(Benjamin Bayart)は、ネットワーク中立性に関する課題を提示しました。中立性が無くなったら、自由にネットワークを利用できるのかが疑問視されました。

「IPFS」 (InterPlanetary File System) *2は分散型ファイルシステムです。IPFSの開発者 「ホアン・ベネット」 (Juan Benet)は、耐障害性の低い集中型システムについてのトラブルを解決するため、BitTorrentのようなP2P技術を用いたデータ転送プロトコルを開発してきました。

XSL Labsの技術文書ではIPFSについて、特に、検証可能な資格情報の発行者のパブリックプロファイルの可用性に関して言及しています。これは、このプロトコルをエコシステムに実装するためです。

インターネット: 集中型のネットワークから分散型のネットワークまで

Mediumを元に編集部にて作成

集中型のネットワーク

インターネットは、Minitelクライアント/サーバーの仕組みを利用して、多くの集中型サービスへアクセスできます。この集中型のネットワークを最大限に活用したのは、世界を席巻するビッグ・テック:巨人IT企業のGAFAMです。結果としてシンプルな集中型アーキテクチャおよびインターネット利用の大衆化がもたらされました。

この集中型モデルでは、ユーザーは中央機関が所有しているサービスに接続し使用します。これらの機関は巨大な権力を集中させています。Facebookはコンテンツを勝手に変更することができ、アメリカ国家安全保障局(NSA)のPRISMのような監視プログラムも生まれています。

集中型のネットワークにおけるクライアントは、巨大なサーバーとデータセンターに接続し検索する仕組みになっており、ネットワークの整合性は中央機関に頼っています。

テックジャイアントは、巨額の利益を得るためユーザーの個人データを収集し、活用しています。彼らの「ツール」は広く採用され、簡単に個人データを集めることが可能です。巨大企業なためにライバル企業の存在は無視できる程度のものです。

非中央集権型のネットワーク

非中央集権型のネットワークは、多くの相互接続サーバーを利用し、リソースは複数の中央サーバーにコピーされる仕組みです。ネットワークに接続するアクセスポイントに縛られているので、これ自体がユーザーの独立性を保証するわけではないことには注意してください。非中央集権型のシステムは、集権型のシステムと分散型のシステムの真ん中にあると言えます。

分散型のネットワーク

分散型のネットワークに集権性はなく、誰でも(ユーザーたち)は参加者としてネットワークのノードになり、このノードはデータを含みます。IPFSのアプローチは、 コンテンツをネットワークの参加者で分散して管理するので公平性の高い仕組みです。そして、分散型のIPFS機能は、今まで利用されている集中型のネットワークの対改ざん性・耐障害性・対検閲性などのトラブルに対してソリューションを提供します。

また、IPFSは、政府によるネット検閲がかなり難しい仕組みになっています。

たとえば、2017年4月、トルコ政府によってトルコ国内からWikipedia *3への閲覧が制限されました。しかし、これに反応して、閲覧制限が出来ないよう分散型のIPFSの仕組みを使用して、トルコ語版ウィキペディアのコピーがオンラインに登場しました。

世界中の人々のデジタル権利を擁護する非営利団体、ONG Access Nowは、2018年のレポート「世界中のネットワークのシャットダウン状況」*4にて、25カ国にてインターネット制限が196回行われ、インターネットの検閲や規制(インターネット・ブロッキングという)が強くなってきていると報告した。

コンテンツ指向型のネットワーク

インターネットにおけるコンテンツのアドレス指定の性質そのものを変更できることは、IPFSの強みです。

集中型のネットワークは、ロケーションを使用してコンテンツをアドレス指定(英:アドレッシング)します。 すべてのコンテンツは、「DNS」(ドメインネームシステム)を経由して、ドメインネームに変換されるIPアドレス(インターネットプロトコル)が付いたサーバーでホストされる仕組みです。

コンテンツにアクセスするために、特定されたロケーションにてコンテンツを検索する必要があります。 これによって、障害またホストや政府の意志、さらには「DDoS攻撃」(サービス拒否攻撃)などによって、コンテンツのアクセシビリティを簡単に危険にさらすことになります。その上、このアドレス指定方法は、コンテンツに関しての改ざん(悪意のある変更)、移動、コンテンツが消えてしまう可能性、IPアドレスの変更などが懸念されます。

IPFSシステムはロケーションベースのアドレス指定をコンテンツのアドレス指定に置き換えます。コンテンツ自体は、CIDを使用してインデックス付けおよび取得される。

イメージとしては以下のようになります:

ロケーションベースのアドレス指定の場合、下記の形式になる: https://xsl-labs.org/wp-content/uploads/2021/03/illustration-3-1.png

イメージ(ドキュメント ≪ illustration-3-1.png ≫) は(wp-content/uploads/2021/03/) のファイルのツリー表示にあって、このファイルのツリービューは「xsl-labs.org サーバー」にある。

コンテンツベースのアドレス指定の場合、先の形式は下記の通り: /ipfs/#hashcode/wp-content/uploads/2021/03/illustration-3-1.png

イメージ (illustration-3-1.png) は(wp-content/uploads/2021/03/)のファイルのツリー表示のままにある。

しかし、一意のハッシュ (#hashcode) はロケーションに置き換わる。ハッシュまたは「CID」(Contents Identifier)は、物理的なサーバーに関係なく、コンテンツ自体から作成される。

返されるデータの整合性を保証する、暗号化ハッシュ関数を使用してハッシュコードが生成される。つまり、コンテンツが入手可能である限り、変更されずに取得できるわけです。

データが中央に置かれなくなり、ノード群に配置されることで、IPFSプロジェクトは、切断できない「永続的な」インターネットの可能性をもたらします。

IPFSとハッシュツリー

Merkle Tree(https://leftasexercise.files.wordpress.com/2018/04/hashtree.png?w=1058)

コンテンツベースのアドレス指定は、コンテンツをハッシュ関数に通すことによって生成され、マークルツリー形式のユニークな「CID」の仕組みを使用します。

IPFSを使用してファイルを共有するために、ファイルは特定されたサイズ(通常は256kB)のいくつかのブロックに断片化されます。したがって、ブロックの数はファイルのサイズによって異なります。

ブロックのサイズは小さいため、簡単に複製でき、ネットワーク全体に分散します。そして、データの可用性を保証することが可能です。各ブロックは、そのコンテンツに一致するハッシュによって識別されます。

次に、ブロックのハッシュがペアで結合され、ルートハッシュまたはCIDという単一のハッシュが取得されるまでハッシュされます。

ブロック間での識別及びリンクのシステムを経由して、元ファイルを再構築するために、再結合されたすべてのブロックにCIDがアクセス可能にします。これは「DAG」(有効非巡回グラフ)と呼ばれます。ホアン・ベネットは、「Merkle DAG」構造と表現しました。

このハッシュシステムは、データの整合性も保証します。データの単一のブロックが破損または変更された場合、そのハッシュは変更され、ルートハッシュまでの「親」も変更されてしまいます。コンテンツが変更されないことが保証されるシステムです。

コンテンツ可用性の確保

Juan BenetのIPFSはインターネットを分散化するプロジェクトで、インターネット混雑についてのトラブルを解決する仕組みです。ネットワーク帯域幅が飽和状態になり、需要が多くなるとともに通信速度が遅くなり、動画などがなかなか見れなくなってしまいます。

2020年には、インターネット全体の混雑緩和のため、政府がNetflixやYoutubeのビデオストームに関する帯域制限を行いました。これらは全て回線混雑のソリューションである。

実は、IPFSの強みは同時に弱みである。なぜなら、分散型のネットワーク(ノードの星座のよう)を作成するために、ほとんどのすべてのユーザーがアクティブなユーザーとして、ネットワークの一部になる必要があるためです。

ベネット氏によると、これによってネットワークを最適化できるといいます。情報は集中型でないので、近い場所から利用しやすくなります。ただし、プロトコルが広く採用されない場合、及びP2Pプロトコルのように採用されない場合、「シーダー」(アクティブなユーザー)が足りなくなるせいで、コンテンツが表示されなくなります。

したがって、コンテンツがネットワーク内の1つまたは少数のノードでのみ利用可能であるとは考えられない。「IPFSクラスター」は、この問題を解決するサービスで、コンテンツを固定し、IPFSノードのネットワークに確実に保存され、コンテンツに常にアクセスできるようにすることができます。

IPFSを利用するおかげで、XSL Labsのエコシステムでのヴェリファイアブル・クレデンシャルズ(検証可能な認証情報)の発行者の正当性をいつでも確認できるようになります。そのため、IPFS参照により、発行者のクレデンシャルの公開情報を簡単に見つけることができるはずです。

インターネットへのアクセス、配信及びネットワークの効率性やアクセシビリティは、未来へのチャレンジです。個人情報に対するユーザーが支配を再び取り戻すことは、我々のミッションであり、政府からの規制や監視社会、検閲と戦うべきです。この観点から、IPFSはインターネットの本来の理想に向けた一歩を踏み出します。

(1)https://www.fdn.fr/actions/confs/internet-libre-ou-minitel-2-0/

(2)https://ipfs.io/

(3)https://observer.com/2017/05/turkey-wikipedia-ipfs/

(4)https://www.accessnow.org/cms/assets/uploads/2019/07/KeepItOn-2018-Report.pdf

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
06/09 火曜日
15:19
米トップ大学の研究者25名が分析、AIと仮想通貨の融合に広がる「5つの誤解」
ブロックチェーン研究の権威であるIC3が、25名の研究者によるAI×仮想通貨の大規模な調査論文を公開した。生成AI時代におけるAIと仮想通貨の相互関係を体系的に整理した包括的な分析で、学術界と実業界の双方が取り組むべき課題を明示した。また業界で広まる5つの誤解を指摘し、今後の研究課題も解説している。
14:48
SBI新生銀行、預金利息の2割相当を仮想通貨で付与 今秋に常設化=日経
SBI新生銀行がSBI VCトレードと連携し、預金残高に応じて仮想通貨を付与する常設サービスを今秋に開始する方針を明らかにした。利払い額の2割相当をBTC・ETH・XRP交換券で受け取れる仕組みで、6月10日から3カ月間の先行キャンペーンで効果を検証する。
13:10
バイナンスジャパン、BNB還元カードの利用動向を公開 月平均利用回数が業界平均を上回る
バイナンスジャパンが仮想通貨BNBを還元する『Binance Japan Card』の利用動向を発表した。アクティブユーザーの月平均利用回数は業界平均を上回り、日常使いが浸透していた。
11:27
アーサー・ヘイズ、AIバブルの崩壊シナリオを分析 HYPEなど4銘柄売却しBTC・ETHは保有継続
ビットコインファンドMaelstromのアーサー・ヘイズ氏が6月8日付レポートで相場観を公開。AIバブル崩壊がBTCを道連れにする短期シナリオを提示し、HYPEやNEARなどアルトを売却済みと明かした。油価上昇・AI課税リスク・3大AI IPOを「3つの針」と位置付ける分析を読む。
11:25
メタマスク、AIエージェント向けウォレットをローンチ
仮想通貨ウォレットのメタマスクは、AIエージェント向けのウォレッをローンチ。イーサリアムやハイパーリキッドなど25超のチェーンに対応し、早期アクセスプログラムを開始した。
11:00
FTX前CEOサム氏、トランプ大統領に恩赦嘆願書を提出
FTX前CEOサム・バンクマン=フリード氏がトランプ大統領への恩赦嘆願書を提出した。即時釈放ではなく刑期満了後の公民権回復を求める内容だ。同氏は再審請求も行っている。
10:45
10:10
米投資銀行、ビットコインの「退屈サイクル」は価値保存論を損なわず
米投資銀行バーンスタインは、2026年にビットコイン現物ETFが26億ドルの純流出を記録した一方、企業財務による購入が流出を補い、長期的な価値保存論は維持されているとの見方を示した。
09:47
ヒューマニティプロトコル関連ウォレット、約30億円流出 Hトークン85%下落
オンチェーン分析家のスペクターが報告。ヒューマニティプロトコルに関連する17以上のウォレットから合計1,900万ドル超が流出し、Hトークンは24時間で85.6%急落。原因は不明で調査中。
08:30
ストラテジー、優先株配当を月2回払いに変更 配当支払い圧力も浮上
ストラテジーは8日の年次株主総会で、優先株STRCの配当を月1回から半月ごとの月2回に変更する定款修正案を可決した。年率11.5%は据え置き、6月末から新方式に移行する。
08:20
ビットコインは6万ドルの水準を維持できるか、コインシェアーズが分析レポート公開
コインシェアーズは、最近の仮想通貨の弱気相場の原因は構造的な変化ではなく、センチメントの悪化であるとの見方を示した。レポートで相場に影響している材料を分析している。
07:20
シトリーニ・リサーチがHYPEを強気評価、買い戻し累計20億ドル超を根拠に
AIバブル警告で市場を揺るがしたシトリーニ・リサーチが、ハイパーリキッドのHYPEトークンを有望投資先と評価。年換算10億ドル超の手数料収益と大規模な自社買い戻しプログラムを根拠に挙げた。
06:30
コインベース幹部「機関投資家はビットコイン6.5万ドルの安値を歓迎」
コインベースの機関投資家戦略責任者がCNBCで、ファミリーオフィスや政府系ファンドがビットコインの下落局面を積み増し機会と捉えていると述べた。
05:55
コインベースやリップル含む200超の業界団体、クラリティー法案の上院本会議採決を催促
コインベースやリップルなど200超の仮想通貨企業・団体が連名書簡を米上院指導部に送付し、クラリティー法案の本会議採決を促した。一方、JPモルガンは年内成立を阻む複数の障害を指摘。
05:35
ビットマイン、342億円相当イーサリアムを追加取得
米イーサリアム・トレジャリー企業ビットマインは8日、先週126,971ETHを追加取得したと発表した。ETH総保有量は554万ETH超・総供給量の4.59%に達し、5%到達目標の達成率は92%まで進んだ。
今から始める仮想通貨特集
通貨データ
重要指標
一覧
新着指標
一覧