仮想通貨に冷静な評価
米金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)のMichele Korverデジタル通貨主席顧問は、法律関連の専門紙「Law360」の取材に応じ、暗号資産(仮想通貨)は、価値移転の手段に過ぎないと評価した。
今月初め、FinCENで新たに創設されたデジタル通貨部門の初代主席顧問に就任したKorver氏は、デジタル通貨分野の専門知識に精通している人物だ。
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Korver氏は、米司法省刑事局のデジタル通貨検事として、デジタル通貨関連の起訴内容の決定や検察戦略に助言を行うなどの経歴を持つ。また、米財務省の金融安定監督評議会(FSOC)ならびに金融活動作業部会(FATF)米国代表団の顧問を務め、仮想通貨の押収に関する政策や法律を策定してきた。
さらに同氏は、それ以前、米連邦検事事務所で10年以上にわたり、サイバー犯罪及び国家安全保障担当の検察官として、国際犯罪組織によるマネーロンダリングや、ダークネット上の麻薬取引犯罪を捜査し起訴してきた経験を持つ。
FATFなど多く規制関連当局が、仮想通貨をマネーロンダリングやテロ資金供与に使われる道具として警戒する中、金融犯罪捜査に豊富な経験を持つKorver氏が、仮想通貨を「単なる支払い手段」と明言していることは、大変興味深い。
進化する金融テクノロジー
Korver氏は、仮想通貨は金融技術の自然な進化であるとして、次のように述べている。
私にとって、(仮想通貨は)他の金融技術と同様、時間をかけて発達してきた支払い、もしくは価値移転の一形態に過ぎず、金融エコシステムの中に存在するものだ。金融技術は時間と共に進化し、決済と価値移転のイノベーションは続いていく。。。金融エコシステムの犯罪利用も必ず伴う。
また、Korver氏は「デジタル通貨分野で長い間仕事をしてきたが、個人的には、これらの新興技術はクールで興味深いものだと思う。」とコメントした。
司法省時代の見解
Korver氏は、今年5月に司法省が発行した「連邦法と実践ジャーナル」(Journal of Federal Law and Practice)に、「仮想通貨マネーロンダリングの初めの波に乗る」(Surfing the First Wave of Cryptocurrency Money Laundering)と題した論文を共同執筆している。
その中で、Korver氏は、仮想通貨の最初期には多くの活動がダークウェブの違法行為に結びついていたが、仮想通貨の採用が進む中で、犯罪に使用される割合も減ってきたと指摘。そのため、長期的に見ると、仮想通貨が広く普及するにつれ、通常の仮想通貨取引がマネーロンダリングに関係する可能性は低くなるだろうとの見解を示した。特に、機関投資家向けに規制に準拠した取引所ではマネーロンダリング対策等により、犯罪者が利用できなくなる可能性が高まるとした。
FinCENでの役割
Korver氏はFinCENのデジタル通貨主席顧問として、Michael Mosie局長代理へ助言する立場にある。なお、Mosie氏は、ブロックチェーン・データ分析企業Chainalysisの最高技術顧問を務めた経歴を持ち、仮想通貨分野への造詣も深い。
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Korver氏の具体的な活動内容としては、デジタル通貨やブロックチェーン技術に関連する銀行秘密法の執行支援として、仮想通貨関連の金融サービス提供者や仮想通貨商品・活動の管理者に対するコンプライアンス準拠の確保などが含まれるという。
FinCENとは
FinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)は、アメリカ合衆国財務省に所属する事務局。局長は財務長官によって任命され、テロリズムと金融情報を管轄する財務次官の直属となる。
FinCENの使命は金融システムを違法な利用から守り、マネーロンダリングと闘い、金融情報の収集、解析、公布と金融当局の戦略的活用を通じて国家安全保障を推進することだ。主に、銀行秘密法に基づき、規制活動を行っている。(FinCEN公式参考)
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