DeFi採用度世界ランキング
ブロックチェーン分析会社Chainalysis社は24日、分散型金融(DeFi)の採用状況によって、世界154カ国を分析したランキングを発表した。同社は毎年、世界各国における暗号資産(仮想通貨)の採用度を示す指標を公開してきたが、今年は、この1年半で急速に成長したDeFi分野にも新たに焦点を当てた。
DeFi採用度の上位20位にランクインした国を、同社が先週発表した仮想通貨採用度ランキングと比較すると、大変興味深い事実が浮かび上がった。
仮想通貨採用指数ランキングでは、1位はベトナム、2位インド、3位パキスタンとなり、上位20位内にランクインした国々には新興国が多いという特徴があった。一方、DeFi採用指数のトップは米国で、仮想通貨採用指数では20位内にランクインしなかった英国、オランダ、カナダなどが名を連ねている。
Chainalysis社は、DeFi採用指数で上位にランクインした国の特徴として、過去から現在に至るまで仮想通貨取引量が多いことに加え(注1)、すでに仮想通貨市場が発展した中・高所得国であり、特にプロ向け及び機関投資家市場が充実した国という傾向があると指摘した。
なお、ベトナムはDeFi採用指数ランキングでも2位に入っている。両ランキングで上位20位入りし、仮想通貨採用が進んでいる国は以下の通り:
米国、ベトナム、タイ、中国、インド、ウクライナ、ロシア、アルゼンチン、ブラジル、トーゴ共和国(西アフリカ)
注1:Chainalysis社の分析/評価は、純粋な取引量によるランキングではなく、国ごとの購買力平価を加味して調整されている
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DeFiを利用している層
さらにChainalysis社は、全ての仮想通貨取引とDeFi取引において、取引額別に全取引量に占める割合を比較することで、どのような投資家層がDeFiを利用しているかを分析した。
上記のグラフから、DeFiでは、全取引に対し大口取引が大きな割合を占めており、仮想通貨全体に比べると、DeFi分野では大規模な機関投資家が市場に占める割合が、非常に高くなっていることがわかる。
2021年第2四半期を例にとると、DeFiでは1,000万ドル(約11億円)以上(=大口機関投資家)の取引が60%以上を占めたのに対し、仮想通貨全体では50%未満となっている。一方、同時期の仮想通貨全体の取引を見ると、その他の機関投資家、プロ投資家および大口の個人投資家などが占める割合が、DeFiよりも大きくなっている。
Chainalysis社はさらに、プロ・機関投資家市場の規模に基づいて5つに分類し、すべての国の仮想通貨全般とDeFiの取引量を比較した結果、歴史的にプロ投資家や機関投資家レベルの規模の取引が多い国では、DeFiの活動が最も盛んであることが明らかになったと付け加えた。
専門家の意見
仮想通貨デリバティブに特化したDeFiプロトコル「dydx」のDavid Gogel氏は、DeFi分野では、プロレベルの個人投資家や仮想通貨ヘッジファンドなど経験豊富な大口トレーダーが、最も活発に活動していると説明した。
今のところ、DeFiは仮想通貨のインサイダーをターゲットにしている。
インサイダーとは仮想通貨業界に慣れ親しんでおり、新たな投資分野を試すだけの十分な資金を持っていると人々であると同氏は定義している。長期的に見ると、イーサリアムのガス代(取引手数料)が下がれば、より多くの人が利用し、市場の成長につながるだろうと付け加えた。
Chainalysis社は次のようにDeFiランキングレポートを締めくくっている。
今後数年間の課題は、DeFiがこれまでの仮想通貨サービスと同じ道をたどり、単なる投機や投資を超えた目に見える利益を享受するために、より多くの人々がDeFiを採用するかどうかだ。