9月の仮想通貨動向
9月第1週の暗号資産市場。ビットコインは週末にかけて再び5万ドル(550万円)台を超え、続伸した。
時価総額2位のイーサリアム(ETH)も、今年5月中旬以来となる3,900ドル(43万円)水準まで回復。4日には、過去24時間でバーン(焼却)されたETH量が新規発行量を大型アップグレード「ロンドン」の実装後、初めて上回った。
関連:イーサリアムで初事例 24時間の通貨焼却量が発行量越え
時価総額TOP20の騰落率
時価総額上位銘柄の週間騰落率は、以下の通り。(5日時点:ステーブルコイン除く)
- ファイルコイン(FIL)+54.20%
- ソラナ(SOL)+50.39%
- ポルカドット(DOT)+33.72%
- ライトコイン(LTC)+32.41%
- チェーンリンク(LINK)+29.79%
関連:2015〜2020年、仮想通貨「時価総額TOP20」の顔ぶれと変化
上位銘柄の長期的な収益性
著名オンチェーンアナリストのWilly Woo氏は過去4年間の上位通貨のシャープレシオを比較。ビットコインやドージコイン(DOGE)が上位を占めた。
- ビットコイン(BTC)
- ドージコイン(DOGE)
- イーサリアム(ETH)
- XRP(リップル)
- バイナンスコイン(BNB)
Woo氏は、仮想通貨市場における相場サイクルは4年周期で回っているため、稼働歴が4年以内の銘柄は含まなかった。ただ、そのような銘柄も含めると、ソラナ(SOL)、チェーンリンク(LINK)とカルダノ(ADA)がビットコインのシャープレシオを上回った。
Sharpe Ratio is an apples for apples comparison of ROI adjusted for the risk of an asset.
— Willy Woo (@woonomic) September 3, 2021
Here's the Sharpe for coins in the top 10 calculated over 4 years. 4 years was chosen as it includes a full bull bear crypto cycle.
Rank:
BTC
DOGE
ETH
XRP
BNB pic.twitter.com/noZ5lfNto2
シャープレシオとは
投資リスクに対しどれだけ収益が見込まれるかを示す指標。リスクの低い債券と比較して、どれだけの収益があるかを可視化したもので、1963年にウィリアム・シャープ氏が考案した。
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ビットコインのオンチェーン・データ
ビットコイン(BTC)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
CMEのビットコイン先物
CoinPost提携メディアのThe Blockの統計では、8月におけるCME(シカゴマーカンタイル取引所)のビットコイン先物は3ヵ月ぶりにOI(未決済建玉)・取引量がともに増加した。
ビットコインのRSI
著名オンチェーンアナリストのPlanB氏は、ビットコインの週足RSIが60に達したと指摘。
RSIは相場の過熱感を推し量る指標であるが、市場参加者の心理状態を映し出す指数でもある。20年10月に同水準を超えた際には、その後3年ぶりに過去最高値の2万ドルを超えたこともあり強気相場が継続。半年間70を超えて推移したほか、最大90に到達した。
2013年と2017年の強気相場でもRSIが70から90のレンジで高止まりしたことがあったと述べ、ポジティブに捉えた。
#bitcoin weekly RSI (relative strength index) is 60
— PlanB (@100trillionUSD) September 3, 2021
Look at when we last recovered from a below-60-period: Oct 2020, BTC at $10K, price then pumped 5x, RSI hit 90 and stayed above 70 for 6 months
Also look at 2013 & 2017 bull markets: multiple periods with RSI in 70-90 range 🚀 pic.twitter.com/x89D8Lox8s
RSI(相対力指数)とは
直近の一定期間において終値ベースで上昇変動と下落変動のどちらの勢いが強いのか計測する指標相場の強弱を示すテクニカル指標。株式の世界では、一般的には70%以上だと買われ過ぎ、30%以下になると売られ過ぎを示す水準とされている。
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クジラの動向
Clemente氏は、過去10日間でBTCクジラは20億ドル(2,200億円)相当の41,580BTCを買い集めたと分析した。
Bitcoin whales have added +41,580 BTC (~$2B) to their holdings in the last 10 days. pic.twitter.com/Rb8EjZokjz
— Will Clemente (@WClementeIII) September 4, 2021
また、大口のビットコイン取引活動も再び活発化しており、3日には1,100万円以上のビットコイン取引が24,000回行われた。
$BTC whales and institutional players are back!#Bitcoin shows an important uptick in the number of large transaction on the network with a value of $100,000 or greater. Roughly 24,000 large #BTC transactions have been recorded today. pic.twitter.com/CGrpZDCCQu
— Ali Martinez (@ali_charts) September 2, 2021
トランザクション数も回復傾向
オンチェーンアナリストのTMXC氏は、ビットコインのトランザクション数が7月以降戻りつつあると指摘。再び21年5月中旬(ピーク時)の水準まで達しており、リテール(個人投資家)層からの関心が高まっていると分析した。
#Bitcoin Transaction Count has been on a steady increase since July and is now back to the same levels seen in mid May. We've spoken at length about low volume all summer.
— TXMC (@TXMCtrades) September 3, 2021
No big spike, but there are signs around the market that casual interest is on the uptick. LFG, retail! pic.twitter.com/xC1MEDGzZb
デリバティブ状況
オンチェーンアナリストのWill Clemente氏はデリバティブ市場における前向きな動向をリスト化。ビットコイン価格の上昇要因になり得ると予想した。
- ファンディングレート低下
- OIと時価総額も低下
- レバレッジ比率も低下
Price up, meanwhile:
— Will Clemente (@WClementeIII) September 5, 2021
– Funding rates down
– OI/Market cap down
– Leverage Ratio (OI / Exchange Balance) down
I think we send to $54K from here.
また、Alex Moskovski氏は、ビットコインの無期限契約におけるOIが5月以来、3ヶ月ぶりの水準になっていると指摘。ファンディングレートも以前に比べると上昇しており、近々過去最高値(ATH)を塗り替えるセンチメントが整いつつあると分析した。
#Bitcoin perps are getting warmer.
— Lex Moskovski (@mskvsk) September 3, 2021
OI has increased and updated its high since the Tesla/China crash.
Funding has ticked up as well.
People are starting to get into the new-ath-soon mood. pic.twitter.com/ZbizWihxKt
イーサリアムのオンチェーン・データ
イーサリアム(ETH)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
イーサリアムの取引所残高
仮想通貨分析サイトSantimentは4日、イーサリアムの4,000ドル復帰と同時にオンチェーンデータ上でもポジティブな動向が確認されたと言及。
20年3月時点で27%だったイーサリアムのExchange Supply(取引所預入残高)は17%まで低下。ETH価格は34倍も成長していると指摘した。
🎇 #Ethereum's long-awaited return to $4,000 finally happened today. On-chain metrics agree with this event, & the ratio of $ETH on exchanges tells an incredible story. Since March 15, 2020, exchange supply has dropped from 27% to 17%. Price is up 3,447%. https://t.co/5YqKraSGzV pic.twitter.com/LZuqmVt6gZ
— Santiment (@santimentfeed) September 3, 2021
ETH2.0 ステーキング額
ステーキング額:740万ETH(前週比+24万ETH)
関連:仮想通貨ステーキングとは|初心者でもわかる「報酬」の仕組み
仮想通貨分析サイトCryptoQuantのKi Young Ju CEOは3億ドル(330億円)相当のイーサリアムがETH2.0コントラクトにステーキングされていると指摘。一度ステーキングすると預け入れたイーサリアムを引き出すためには数ヵ月以上かかるため、長期的なETH価格は現在の水準(3,787ドル)を上回ると予想していることを示すと分析した。
$299M worth $ETH staked in the ETH 2.0 contract yesterday.
— Ki Young Ju 주기영 (@ki_young_ju) September 3, 2021
Once it’s staked, depositors can’t withdraw it until future upgrades are deployed. It might take a few months/years.
These people think $3,787 is still a cheaper price in the long term.
Chart👇https://t.co/fwUTRNbb6z https://t.co/PjNniRTXlX pic.twitter.com/x7vRs3Gta4
99%のETHアドレス%が黒字状態
また、Moskovski氏はイーサリアム・アドレスの99%以上が利益状態にあると分析した。21年前半にも9割以上が利益状態にあった。
More than 99% of Ethereum addresses are in profit.
— Lex Moskovski (@mskvsk) September 3, 2021
We're all gonna make it, right? pic.twitter.com/1h6RbE5af4
DeFi(分散型金融)
DeFiプラットフォームのTVLは6日時点で1,778億ドル(19.5兆円)だった。
【前週比:+269億ドル(約3兆円)】
TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルへ預入れされた仮想通貨資産の総ロック額を指す。
クリプト指標
日程 | 指標 |
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9/7 |
世界初のビットコイン法施行 |
エルサルバドルのビットコイン法、施行へ
9月7日
中米エルサルバドルでビットコインを法定通貨と認めるビットコイン法(Ley Bitcoin)が9月7日より施行する。米ドルと並び、ビットコインの商業利用が認められる。
また、7日より同国政府が推奨する公式ウォレットアプリ「Chivo」のダウンロードも開始。利用は任意であるものの、ダウンロードした国民には30ドル(約3,300円)のビットコイン・米ドルが配布される。
このような法案を国家レベルで導入する初の事例となる。
前回の週次レポートはこちら:古参勢のビットコイン動く、DeFiプロトコルTVLは3ヶ月ぶりに過去最高水準超える
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関連:クリプト指標導入「CoinPostアプリ」の使い方をトレーダー目線で解説|寄稿:Bit仙人