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金融庁「デジタル・分散型金融に関する研究会」の議事録公開 仮想通貨規制の課題点は

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

第1回研究会で提出された論点

金融庁は、7月26日に開催した第1回「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」の研究会の議事録を公表した。研究会では暗号資産(仮想通貨)などへの規制や金融デジタル化をめぐって、様々な論点が挙げられた。

研究会には、民間企業や法曹界の専門家、また法律や経済学、コンピューターサイエンスなど様々な分野の研究者が参加している。

ブロックチェーンのもたらす課題

同研究会では、まずブロックチェーンの持つ課題として、トランザクションが追跡可能であるためプライバシーの面で課題が生じること、規模の大きな取引を処理できるブロックチェーンがまだ少ないこと、PoWアルゴリズムの電力消費の問題、マネーロンダリング(資金洗浄)問題などが指摘された。

これまで金融規制は、銀行などの主体を対象としていたが、そういった中央集権的な主体が存在しない分散型デジタル金融の世界をどう規制していくかという問題もあるという。

PoW(プルーフオブワーク)とは

コンピューターで計算(マイニング)を行うことによって、ブロックを新たに承認・生成するコンセンサスアルゴリズムのこと。「Proof of Work(仕事の証明)」の略。承認に成功すると、報酬として新規発行される仮想通貨を受け取ることができる。計算量が膨大なため、高性能なコンピューターが必要だったり、大量に電力を消費するなどのデメリットがある。

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仮想通貨を規制する上での考え方

また、仮想通貨などのデジタル金融を規制していくにあたって踏まえておくべき考え方も提案された。米ジョージタウン大学の松尾真一郎教授は、ナショナル(国内)、インターナショナル(国家間)、グローバルな動きというレイヤーが存在していることを指摘。

ビットコイン(BTC)などのイノベーションは、国や地域を超えたところで発展するグローバルなものだが、これを様々に規制する国家と、その国家間の調整が行われる場が関係していくことになる。

これに関しては、他のメンバーも国を超える側面を念頭に置くことで意見を共有していた。例えば、東京大学の加藤貴仁教授は「国際協調が必要な領域と日本独自の対応が可能な領域というもの」を切り分けることについて述べている。

松尾教授は続けて、分散型の金融ではインサイダーが誰か分かりにくい点(例えばツイート一つで価格に影響を与えるイーロン・マスクはインサイダーといえるか)、規制上、誰が責任主体となるのかという点もポイントとして挙げた。

東京合同法律事務所の坂勇一郎弁護士は、規制の横断化について言及。2018年の金融庁審議会で議論されたように、金融規制体系を今よりも横断的なものとして「同一の機能、同一のリスクには同一のルールを適用する」という視点が、重要ではないかと提案している。

また、不正利用への補償については、預金者保護法を横断化してデジタル金融にも当てはめることを示唆した。

上智大学の森下哲朗教授は、法律にはリスクを管理するという側面があるため、研究会ではブロックチェーンの持つ様々なリスクをまず具体的に特定し、それに応じた管理方法を考えていくこともできると発言した。

詐欺や不正使用をどう防ぐか

仮想通貨をめぐる詐欺やサイバー攻撃についても議題となった。早稲田大学の佐古和恵教授は、一般の人々が投資詐欺の被害に遭わないように、正しい情報を分かりやすい言葉で伝えていくことの必要性を指摘している。

不正利用については、オフライン取引の際の二重使用や権限外利用をどのように防いでいくかということも議論された。

以上のように、初回の研究会では、仮想通貨などへの対応のあり方について、様々な面から課題が提出された格好だ。2回目の研究会は9月15日に開催される予定である。

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