GFMAがバーゼル委員会に反論
国際金融市場協会(GFMA)は21日、バーゼル銀行監督委員会(通称:バーゼル委員会)が6月に提案した暗号資産(仮想通貨)に関する厳格な資本規制ルールに反対意見を表明した。分散型台帳技術を様々な経済活動で有効活用していくために、規制案を修正するように求めている。
GFMAは、JPモルガンチェースやドイツ銀行なども参加する国際的な金融業界の団体で、政策提言に関する活動も行っている。
バーゼル委員会は6月、銀行が仮想通貨を保有するにあたって必要な資本量を規定するルールを提案。ビットコイン(BTC)などの仮想通貨を保有する場合、1,250%と高い比率のリスク・ウェートを設定していた。
委員会は直接法的な権限を有しているわけではないが、各国の中央銀行総裁などに国際基準を提言できる。
バーゼル銀行監督委員会とは
主要10カ国(G10)中央銀行総裁会議により創設された国際的な金融ルール策定機関。日本、米国、EUなど様々な国と地域の金融当局から成り、スイスのバーゼルに事務局を置いている。
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銀行が仮想通貨セクターに参加する意義
GFMAのKenneth E. Bentsen Jr CEOは、次のように声明を発表した。
バーゼル委員会の提案は、銀行が仮想通貨分野に関与することを経済的な面から実質不可能にするものだ。私たちは、分散型台帳技術とブロックチェーンが金融システムの効率化を促進し、顧客のために役立つと信じている。
そして、こうした恩恵を、規制されていないセクターではなく、透明性のある銀行業界を通じて提供することに価値があると考えている。
仮想通貨には規制が必要だが、提案されたものよりもバランスのとれたものにすることが求められる。そのために、バーゼル委員会は提案を修正し、既存のフレームワークを採用すべきだ。
規制された銀行業界が仮想通貨に参与することで、透明性をもたらすことが可能であり、規制枠組みはすでに存在しているものを活用すべきだと指摘した格好だ。
GFMAのAllison Parent理事も、次のように述べた。
新しい技術はこれまでも登場し、これからも出てくるだろうが、そのたびに新しいリスク枠組みが必要になるわけではない。仮想通貨のリスクは、従来型資産と同様に、既存のルールを用いて評価・管理することができる。
銀行が仮想通貨セクターに関与することは、一般市民や規制当局にとっても有益だ。なぜなら、銀行には継続的にリスクを特定し、管理してきた長い歴史があるからだ。
ウォールストリートジャーナルによると、GFMAは20日、バーゼル委員会に本件に関する書簡も提出。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など広く取引されている仮想通貨は、委員会の提示するような高いリスク・ウェートを必要としないと訴えている。