コンポーサビリティの重要性
DeFiの特徴の一つによく、金融アプリケーション同士の Composability(コンポーサビリティ:構成可能性)が挙げられます。
コンポーサビリティとは、DEXやレンディングプロトコルなどの種類の異なるアプリケーションが、何ら許可も申請も必要とせずに自由に相互接続し、利便性を高めることができる特徴を示す用語です。
上記画像のように、様々なアプリケーションを組み合わせて一つの便利な機能を実現することができます。このようなイメージから、コンポーサビリティは「Money Lego(マネー・レゴ)」と表現されることもあります。
組み込まれて利用されるアプリケーションには、手数料の一部がシェアされることも多く、DeFiではいかに「Money Legoのパーツとして他アプリケーションに組み込んでもらえるか」が一つの重要指標となっています。
KyberDMMとコンポーサビリティ
KyberDMMは資本効率性の高いDEXとして存在していますが、直接にKyberDMMを利用した取引をサポートするだけでは、なかなか大きな存在感を獲得することはできません。
他のアプリケーション同様、多様なサービスのバックエンドを支えるプロトコル、つまりレゴの一部として利用を進めてもらう必要があります。
そのため、KyberDMMでは開発者用のドキュメントが準備されています。
KyberDMMの特徴として、以下の3つが挙げられます。
1. 完全にパーミッションレス
Kyber側に何の申請も必要なく、自由にプロトコルを利用して開発しても良いこと。
2. 完全オンチェーン
KyberDMMでの統合開発がブロックチェーンの中だけで完結するシンプルな仕様であること。
3. オラクルリスクの排除
KyberDMMは価格情報を外部に依存しておらず、それゆえに価格に対する脆弱性に強いこと。
現在では、約10のDeFi アプリケーションがKyberDMMを統合しています。
DEXアグリゲーターの統合
DEXアグリゲーターとは、KyberDMMやUniswapなどの流動性プロトコルの流動性を集約し、最もレートのよい交換を実現してくれるDEXです。KyberDMMなどに直接アクセスしてトークン交換ができるものの、DeFiで一番のレートが提示されているとは限りません。
DEXアグリゲーターの1inch Networkでは、交換したいアセットをインプットすれば、上記のようにベストレートを提示するプロトコルを計算して提示してくれます。
KyberDMMは 1inch Networkに統合されているため、KyberDMMがベストレートを提示できるのならば、1inchを訪れたユーザーが間接的にKyberDMMを利用することになります。
求められる幅広いユースケース
1inchのようなDEXアグリゲーターに利用してもらうだけでなく、さらに幅広いユースケースに対応することも大切です。レンディングの清算に対する売却先に指定されたり、オプション取引プロトコルの流動性として採用されるなど、アイディア次第で利用方法は広がります。
当分の間は、流動性マイニングプログラム「Rainmaker」を中心に、KyberDMMの流動性と認知を高め、レゴパーツとして統合しやすいプロトコル開発を目指すことになります。
Kyber Networkは、流動性プロトコルのハブとなることを目指していますが、KyberDMMはそのうち一つのプロトコルに過ぎません。他にも、それぞれのDeFiユースケースに沿ったプロトコル開発を計画しており、それぞれのDeFiプロジェクトがニーズに合わせて自由にKyber Networkを利用できるようにする予定です。
今後開発されるそれぞれのプロトコルには、流動性を必要とする開発者が容易に統合できるような仕組みを整えておくことが期待されています。