ビットコインATM「BATMtwo」に脆弱性
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケン(Kraken)の研究部門Kraken Security Labsは29日、普及しているビットコイン(BTC)ATMについて、いくつかの脆弱性を発表した。
脆弱性が見つかったのは、The General Bytes社が提供する「BATMtwo」のシリーズである。管理用QRコード、Androidのオペレーティング・ソフトウェア、ATM管理システム、さらに機械のハードウェア・ケースなど、いくつかの側面で不正に使用されてしまうリスクが発見された。
チェコ共和国に拠点を置くGeneral Bytes社は、世界第2位のビットコインATMプロバイダー。世界で約6,380台のビットコインATMを設置しており、この市場の約23%を占めている。
合計で約5,300台と、そのATMのほとんどが米国とカナダにあるが、ヨーロッパにも820台以上が設置されている。「BATMtwo」は、ビットコイン以外にもイーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ドージコイン(DOGE)など40銘柄以上に対応するシリーズだ。
Kraken Security Labsは、2021年4月にも、General Bytes社にATMの脆弱性を報告。同社は、バックエンドシステムを修正し、ユーザーに注意喚起も行っている。
しかし、今回改めてKraken Security Labsが実機を取り寄せて調査したところ、まだ修正すべき点があることが分かったという。
報告された主なリスク
まず、デフォルトの管理用QRコードにアクセスできる者であれば、ATMを不正に操作できる可能性がある点をKrakenは指摘。調査では複数のATMが取り寄せられたが、それらのATMには同じデフォルトキーが設定がされていた。多くのATMオーナーが初期のものから管理用コードを変更していないためだという。
また、ATMのキャッシュボックス(現金を入れておく箱)を交換する際には、その人物がATMの後ろのドアを開けて、内部の組み込みコンピュータ、ウェブカメラ、指紋リーダーなどに細工することができる。ドアが開いていることを警告するアラームが設置されていないことも、そうしたリスクを高めている。
さらに調査によると、BATMtwoに搭載されているAndroid OSには、一般的なセキュリティ機能が不足していた。BATMtwoにUSBキーボードを取り付けると、Androidの全UI(ユーザーインターフェース)に直接アクセスして、アプリケーションのインストールやファイルのコピーなどが可能な状態だ。
クラーケンの推奨事項
Kraken Security Labsは、ビットコインATMユーザーに以下の措置を推奨している。
- 信頼できる場所や店舗に設置されているATMのみを使用する。
- ATMが監視カメラなどで常に監視されていることを確認する。
また、ATMのオーナーには次のことを勧めた。
- デフォルトのQR管理コードを変更していない場合は、変更する。
- ATMは監視カメラなどで常に監視される場所に設置する。
- サーバーを更新し、General Bytes社のベストプラクティスに従う。