「仮想通貨規制のための評議会が必要」
イランのブロックチェーン業界団体は2日、暗号資産(仮想通貨)の規制を構築するために、特別な評議会が必要だと訴えた。
イラン・ブロックチェーン協会のAbbas Ashtiani代表は、記者会見で次のように述べている。
仮想通貨の規制を作るために、国家機関と民間企業の代表者からなる特別な評議会が必要だ。仮想通貨は多面的な性質を持っており、イラン中央銀行やイラン証券取引委員会は、仮想通貨の規制ルールを設定するための、十分な資格を持っていない。
背景には、イラン政府が仮想通貨規制について進めようとする動きを見せていないことがある模様だ。
Ashtiani代表は「前政権は、仮想通貨を規制する計画を立てていたものの、そのほとんどは実行に移されなかった。現在のライシ(Raisi)政権には、計画自体がないようだ」と懸念を示した。イランでは、8月より新しくライシ政権が誕生している。
仮想通貨に関する件は、政府内で優先順位が低いため、業界関係者はいまだに政策決定者と話し合いの場を持てていないという。
こうした状況下で、イラン・ブロックチェーン協会と関連団体は、効果的なルール作りに協力する用意があると訴えている。仮想通貨のマイニングや取引に関する政府の懸念に対応して、不正使用を抑止しながら、経済に良い影響をもたらすルールを作っていきたいと意気込みを見せた。
マイニングが盛んなイラン
イランで仮想通貨マイニングは合法で、電力が安いこともあり盛んに行われている。英ケンブリッジ大学の調査によれば、2021年4月時点で、イランはビットコイン(BTC)ハッシュレート全体の約4.6%を占めており、世界5位だった。
一方で、ライセンスを得ずにマイニングを行う違法事業者が電力需要を圧迫しているなどの問題もあり、当局は未登録マイナーの摘発を行っている。
ハッシュレートとは
マイニングの採掘速度のこと。日本語では「採掘速度」と表現される。単位は「hash/s」。「s」は「second=秒」で、「1秒間に何回計算ができるか」を表す。マイニング機器の処理能力を表す際や仮想通貨のマイニングがどれくらいのスピードで行われるかを示す指標として用いる
▶️仮想通貨用語集
1,000万人前後が仮想通貨を保有か
イラン政府は4月、物資を輸入した際に、両替商や一部の銀行に限り仮想通貨支払いを行うことを認めている。米国の制裁措置に対抗する手段として着目された形だ。一方で、イラン中銀は5月、一般の人々に対しては、リスクが高いとして仮想通貨取引を避けるよう勧告している。
規制がまだ整っていない状況にも関わらず、イランでは仮想通貨に投資する人々の数が増えているところだ。
イランの仮想通貨取引所BitestanのHamed Mirzaei CEOによると、「推定700万人から1,200万人のイラン人が仮想通貨を所有」しており、イラン人の1日の仮想通貨取引額は、最大で約1億8,100万ドル(約200億円)だと推定されるという。