冬季の電力需要高まりを受け、再び停止命令
イランの国営電力会社Tavanirは、同国内での暗号資産(仮想通貨)マイニング事業を、再び一時停止するよう命令した。Financial Tribuneなどが報じた。
イランは、以前より気温の上昇や下降にともなって電力需要のひっ迫する時期には、マイニング事業を停止する措置を取っている。
2021年には、5月から9月まで停止命令が施行され、9月22日より再開していたが、冬季に入り、また停止となる格好だ。低温により国全体のエネルギー需要が増加することを予想した上での取り決めとなる。
Tavanirによると、仮想通貨マイニングファームへの電力供給停止以外にも、夜間に安全な地域の街灯を消すことや、電力消費についての監視強化など、一連の節電措置が行われるという。
違法事業者の取り締まり続く
一方で、電力停止措置はライセンスを受けたマイナーが対象となるが、無免許で違法にマイニングを行う事業者も存在しており、問題になっている。
イランは2019年にビットコインマイニングを合法化、事業者のライセンス制度を導入した。しかし、登録されたマイニングファームは、必要な電力をより高い料金で購入する必要があるため、多くの事業者が、ライセンス登録しないことを選んできた。
9月時点で、Tavanirがこれまでに5,300以上の違法マイニングファームを閉鎖、21万台を超えるマイニングマシンを押収してきたことが報じられている。
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マイナーとは
マイニングを行う人や組織を指す。主に「採掘業者」のこと。コンピューターで膨大な計算を繰り返し、仮想通貨取引の検証・承認を行うのが「マイニング」。マイニングに成功すれば見返りとして報酬が得られる。
▶️仮想通貨用語集
イラン政府は、米国の制裁措置に対抗するためにも仮想通貨に注目しており、物資を輸入した際に、両替商や一部の銀行に限り仮想通貨支払いを行うことを認めている。一方でイラン中銀は一般市民に対しては仮想通貨取引を避けるよう勧告。
しかし、仮想通貨取引を行う人々は存在しており、地元の仮想通貨取引所BitestanのHamed Mirzaei CEOは「700万人から1,200万人のイラン人が仮想通貨を所有」していると推定している。
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新たな業界団体が誕生
イランでは、11月末に新たな仮想通貨業界団体が発足した。「イランブロックチェーン&クリプトカレンシー協会」という名前で、イラン商工・鉱業農業会議所(ICCIMA)の監督下に置かれる。
ICCIMAはイランの経済成長と発展を促進するために設立された、非営利・非政府機関だ。
発足にあたり、協会のMohammad Reza Sharafi理事は、次のように述べた。
イランでは、革新的なブロックチェーン技術の開発をめぐって、様々な問題がある。このセクターが経済にもたらす利益を最大化するために、各方面が協調して取り組んでいる。ブロックチェーンや仮想通貨の可能性を独占することなく、確実に利用していくために、緊密に協力する必要がある。