米SECとNVIDIA、7億円の罰金で和解 仮想通貨マイニングに関わる収益巡り

米SECとNVIDIA、7億円の罰金で和解

米証券取引委員会(SEC)は6日、大手半導体メーカーNVIDIAが、暗号資産(仮想通貨)マイニングに関する需要が2018年の収益に大きく貢献したことを開示していなかったと指摘した。

NVIDIAは、SECのこうした調査結果を認めることも否定することもなかったが、約7.2億円(550万ドル)の罰金の支払いに同意して、SECと和解した。

SECによると、NVIDIAは2018年度の複数四半期において、同社のゲーム用に設計されているグラフィックス・プロセシング・ユニット(GPU)の販売収益増加の重要な背景として、仮想通貨マイニングへの需要があったことを把握していながら、それを投資家に開示していなかったという。

米SEC(米証券取引委員会)とは

1934年設立。公正な取引の確保と投資家保護を目的としており、インサイダー取引や企業の不正会計、相場操縦などを防止する。仮想通貨が有価証券に該当するかという判断も行う。SECは「Securities and Exchange Commission」の略で、日本では「証券取引等監視委員会」が近い役割を担っている。

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背景

背景としては、2017年頃より仮想通貨への需要と関心が高まり、同社のゲーム用GPUを仮想通貨マイニングに使用するNVIDIAの顧客が増えていたことがある。

NVIDIAのGPUは汎用性があり、「気象シミュレーションや、遺伝子の配列決定、ディープラーニング」、そして仮想通貨マイニングなど様々な用途に使用可能であるためだ。

高い需要により、欠品が続き、本来の用途(ゲームプレイ)で使いたいゲーマーからは不満の声が上がっていたこともある。この状況を改善することを一つの理由として、NVIDIAは21年2月にイーサリアム(ETH)のマイニングに特化した新製品「仮想通貨マイニングプロセッサ(CMP)」をリリースしたほどだ。

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SECが指摘する問題点

SECによると、NVIDIAは2018年度の申告書類で、ゲーム事業に関する収益の大きな成長を報告。しかし、このゲーム売上高の増加が仮想通貨マイニングへの需要によって牽引されたことを開示していなかった。

SECは、収益が「(仮想通貨という)変動性の高い事業」に関連していることを開示していないことは、投資家が将来の業績予想を検討する上で差支えがあると判断した格好だ。

また、NVIDIAは、他の事業部門については、仮想通貨の需要によって駆動されていると報告していたが、ゲーム事業の成長に関してはそれを行っていなかった。

SECはこの点についても、同社のゲーム事業が仮想通貨マイニングによって大きな影響を受けないという間違った印象を作り出していたとして問題視していた。

SEC執行部仮想通貨・サイバーユニットのKristina Littman責任者は、次のように述べている。

NVIDIAが適切な開示を行っていなかったことは、同社の重要な事業部門における業績を評価するために必須の情報を投資家から奪うことになった。

すべての報告者は、新興テクノロジーによる事業機会を追求する企業も含め、開示を迅速、完全、正確に行う必要がある。

SECは今、仮想通貨に対応する調査チームを強化しているところだ。「仮想通貨およびサイバー班」の人員を50人に増やし、DeFiやNFT(非代替性トークン)関連の調査にも重点を置いていく予定である。

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