コマーシャルペーパーの割合を削減
ステーブルコイン「USDT」などを発行する米テザー社の最高技術責任者(CTO)は12日、USDTの裏付け資産についてコマーシャルペーパーの量を半分に減らしたと述べた。
この発言は、ステーブルコインや暗号資産(仮想通貨)市場の変動について議論するTwitter Spaceイベントで行われたもの。テザー社のPaolo Ardoino CTOが、Jan3のSamson Mow氏やBlockstreamのAdam Back氏など、仮想通貨業界の人々と対話した。
テザー社の最新報告によると、21年12月末時点で、USDTの裏付け資産は、「現金、現金同等物、短期預金、コマーシャルペーパー」が約84%を占めている。
このうち、約37%が、コマーシャル・ペーパーと譲渡性預金で構成されている格好だ。一番割合が大きいのは財務省証券で、約52%だった。
Ardoino氏は、現時点での準備金が、コマーシャルペーパーで保有されている割合について具体的には言及しなかったが、昨年末よりも「割合が下がっている」と述べた。裏付け資産に関する次回の報告は、5月末を予定しているという。
USDT裏付け資産について
21年3月、テザー社は初めて裏付け資産を公開。この際、仮想通貨銀行アバンティCEOなどから、コマーシャルペーパー(資金調達のために発行する無担保約束手形)については、契約先企業などの詳細が明らかにされていない点を懸念する声が上がっていた。
短期国債や低リスクで流動性の高い証券ではなく、品質が不透明な信用資産に多く投資していることを問題視した格好だ。
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バークレイズの債券リサーチ責任者Joseph Abate氏は、マネー市場の投資家の懸念として、仮に市場に大きな変動が生じた場合「テザー社が償還に応じるため、コマーシャルペーパーや譲渡性預金などの売却を迫られ」流動性が過度に供給される可能性を挙げた。
一方でAbate氏は、テザー社の保有資産の大部分(44%)は流動性のある財務省証券であるため、流動性への懸念は時期尚早かもしれないとも述べている。
UST暴落を受けたアナウンス
無担保型ステーブルコインUSTの価格がドルから乖離し暴落したことで、担保を持つステーブルコインであるUSDTにも、一時懸念が波及し、0.94ドル付近まで下落した。現在は持ち直している。
テザー社は12日、こうした状況を受けて「通常通り運営」しているとのアナウンスを行っている。アナウンスの中で、同社は次のように述べた。
テザー社は、引き続き通常通り換金に対応しており、認証された顧客はUSDTを1米ドルで交換できる。この24時間だけでも、当社は3億USDT以上の換金に対応している。
また、USDTはこれまで市場環境が非常に不安定な状況にあった時にも安定性を維持しており、検証済みの顧客からの償還要求を受け入れなかったことは一度もないと言及。「今後も、常にこの姿勢を貫く」と強調した。
ステーブルコインとは
ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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