はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 資産運用
CoinPostで今最も読まれています

なぜバイナンスは「テラ2.0」に対応したのか? CZ氏が背景を語る

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

テラの設計と運用を批判

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスのChangpeng Zhao最高経営責任者(通称、CZ)は27日、米Fortune誌のインタビューに応じた。業界を揺るがす騒動に発展したテラ(LUNA)について苦言を呈する一方で、バイナンスが新チェーンの「テラ2.0」に対応した意図について語った。

CZ氏は、根本的にステーブルコインTerraUSD(UST)とテラには、結果的には設計自体に欠陥があったと指摘。また運用面でも、USTと米ドルとの乖離が僅かだった時点では全くアクションを取らず、推定10兆円相当もの損失を出してから4,000億円の準備金を使おうとするなど、テラチームの対応が遅かったと批判した。

さらに、テラのプロジェクトチームはユーザーとのコミュニケーションを怠り、長い間沈黙を保っていたことに対しても批判。全てが悪い状況へ向かうことになったと述べた。

関連:バイナンスのCZ氏、テラチームの対応に異例の苦言

最大限のリスク警告

バイナンスは5月12日に数時間ほど、USTとLUNAの取引を停止したが、その際に多くのユーザーから「リスクを承知で売買している」というクレームが寄せられたという。

CZ氏は流動性を止め、取引ができなくなること自体がユーザーにとって新たな問題になり得ると認識したため、「非常に強いリスク警告」を出した上、できる限りユーザーにリスクの周知を図る努力を継続しつつ、中立的な立場で市場を提供することになったと述べた。

Terraform Labsのドゥ・クォンCEOによるテラの復興プランについても、そのアプローチに懸念点や異論を唱えてきたとCZ氏。しかし、最終的に復興プランの採用はテラのコミュニティ投票で決定されたことであり、世界最大級の取引所として、ユーザーの関心を考慮し、「新しいトークンを上場させざるを得なかった」と説明した。

関連:バイナンス、テラ2.0に対応へ

ドゥ・クォン氏と話したことはない

CZ氏は、自身およびバイナンスチームが、ドゥ・クォン氏がテラを開発する以前に失敗したアルゴリズム基盤のステーブルコインプロジェクト「Basis Cash」に関与していた事実を見逃していたことに驚きを禁じ得ないとコメント。

ドゥ・クォン氏からはアプローチがあったものの、個人的に同氏と直接話したことはないとCZ氏は述べている。投資する段階から今まで、Zoom会議のようなグループ通話でも会話したことがないと付け加えた。

バイナンスの内部審査プロセスは投資チームに委ねられており、チームが処理することになっているためだという。また、「個人的にクォン氏のマネジメントをするようなチャンネル」をスタートさせたくなかったと述べた。

一方、CZ氏は、プロジェクト関係者のバックグラウンド等について、バイナンスのデューデリジェンス(投資対象の価値やリスク調査)プロセスを改善すべきだと認め、すでにチームに指示したという。

投資について

CZ氏は、バイナンスのテラに対する投資の透明性についても言及した。

  • 2018年にBinance Labsの投資としてテラに約3億8,000万円(300万ドル)を投資
  • アドレスが公開されたウォレットでLUNAを受け取るが、一度も換金していない
  • 合計5,000万LUNAを保管している

CZ氏はバイナンスがプロジェクトに行う投資は、長期的な投資であり、10年から20年単位で保有する意向だという。何百というプロジェクトに投資し、その多くは失敗するが、それがベンチャーキャピタルの投資の常だとの認識を示した。

10年、20年と保有し続けなければ、AmazonやGoogle、Appleのような企業を逃してしまうかもしれないというのが、我々の考えだ。

そして、失敗したプロジェクトへの投資を回収しようとは考えておらず、発生した損失はサンク・コスト(埋没費用)であり、「収益性の高いプラットフォーム」であるバイナンスはそのコストを許容できるとした。一方、「ユーザーはそうではないかもしれない」ため、まず考えることは「どのようにしてユーザーを守るか」だとCZ氏は強調した。

関連:バイナンス保有のテラ(LUNA)の価値、ピーク時は2,000億円相当に CZ氏はユーザー保護の主導を宣言

リスクを伴わないものはない

仮想通貨業界のような新しい業界では「イノベーションを奨励したいため」、取引所として上場するトークンに大きな注意を払ったとしても、残念ながら今回のテラプロジェクトの失敗のような事態が稀に発生してしまうとCZ氏は述べている。

今回のケースでは多くの人が痛手を負ったが、同時にステーブルコインに対する理解も進んだのではないかとの認識を示した上で、全てのステーブルコインにはリスクがあることを強調した。

リスクを伴わないも投資商品はないが、どのような投資をすべきか判断するためには、ユーザー自身が仮想通貨の内容を理解することが必要であると指摘し、次のように総括した。

金融リテラシーの向上こそが、究極の消費者保護だと考えている。

CoinPost App DL
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/09 月曜日
17:52
JVCEAがTrek Labs Japanを第二種会員に登録 ソラナ関連NFTや『Backpack Exchange』を展開
Trek Labs JapanがJVCEAの第二種会員に登録。暗号資産取引所「Backpack Exchange」とソラナ系NFT「Mad Lads」で急成長を遂げ、日本市場でも新たな展開を目指す。
17:20
米国ビットコインETFの売却損益は分離課税に 国税庁の見解と押さえておきたい注意点|寄稿:泉 絢也
米国ビットコインETFの売却所得に対する国税庁の分離課税判断について、照会担当者の税理士・泉絢也氏が解説。信託持分としての法的解釈から実務上の注意点まで、税務のポイントを網羅し、国内暗号資産取引への影響も考察した。
15:28
仮想通貨否定派のSEC委員の「再指名投票」迫る 米上院に業界注目
米上院銀行委員会は、証券取引委員会のCaroline Crenshaw委員の再指名に関する投票を行う予定だが、同委員はゲンスラー委員長を上回る仮想通貨反対派として認識されている。業界のリーダーらは同氏の姿勢を強く批判するとともに、投票結果に注目している。
15:20
DeFiアクセス効率化へ ワンクリック取引実現のFireblocks、Uniswap提携
機関投資家向けデジタルウォレットの大手FireblocksがDeFi取引所Uniswapとの提携を発表。ウォレット内で直接DeFiサービスが利用可能になり、機関投資家の参入ハードルを低減へ。
13:35
米アマゾンにビットコイン財務戦略の株主提案「資産5%の保有検討」を要請
米シンクタンクがアマゾンに対し、総資産の5%をビットコイン(BTC)に配分する戦略を提案。マイクロストラテジーの事例を参考に、インフレ対策としてのビットコイン保有を提言。株主総会での議案として審議を要請。
12:32
NOT A HOTEL DAO、仮想通貨NACのIEOで20億円超の資金調達に成功 
NOT A HOTEL DAOが国内仮想通貨取引所GMOコインのIEOで、目標額を超える20.7億円の資金調達に成功した。12月13日からGMOコインでに上場し、DAOのレンディングおよび宿泊権サービスが開始する。
11:52
イーサリアムやドージコインに資金流入、週間騰落率でビットコインを大きく上回る
暗号資産(仮想通貨)市場では、時価総額2位のイーサリアムが前週比でビットコインを大きくアウトパフォームした。近年では珍しい現象であり、ETH/BTCが反転すれば2021年の過去最高値更新が視野に入るか。
10:20
米財務省、ビットコインは『デジタルゴールド』としての役割があるとの認識示す
米財務省がビットコインは「デジタルゴールド」としての役割を持つとの認識を示した。ビットコイン(BTC)を大量保有するマイクロストラテジー会長は、政府の準備金は金(ゴールド)ではなくビットコインの備蓄を推奨した。
12/08 日曜日
13:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、スイ(SUI)価格高騰やイーサリアムへの再注目
ビットコイン、イーサリアム、XRP、スイなどの主要仮想通貨が注目。価格のボラティリティ、重要なニュース、2025年に向けた仮想通貨の展望を解説。
11:30
短期調整警戒も、今週高値を「大天井」断定は時期尚早か|bitbankアナリスト寄稿
bitbankアナリストが、1400万円台で推移する今週のビットコイン(BTC)相場を分析。10万ドルの壁を突破できれば、FOMOによって相場が走ると想定するも、CMEのビットコイン先物では7.8万ドル〜8万ドルの間に窓が開いている点にも言及した。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|モルガン・クリークCEOのアルトコイン5選に高い関心
今週は、モルガン・クリークのCEOによる仮想通貨ビットコイン・アルトコインの市場分析、ヘデラやXRPの高騰、a16zの2025年トレンド予想に関するニュースが最も関心を集めた。
12/07 土曜日
13:25
中欧チェコ、長期保有の仮想通貨に対する免税へ
チェコ共和国で、3年を超えて保有の仮想通貨によるキャピタルゲインを非課税とする法案が成立した。一定額以下の取引も免税となる。
12:26
仮想通貨 ライトコイン(LTC)とは|今後の将来性とおすすめ取引所
ライトコインの特徴と将来性を解説。2024年の米国ETF申請による展望、決済システムとしての実用性、投資のポイントまで詳しく解説。チャーリー・リー氏の見解や市場動向も含めた最新情報をお届けします。
11:40
仮想通貨と株式市場は割高か、米バンカメのアナリストが警戒
米主要株指数のS&P500は6日に史上最高値を更新し6,090ポイントの値を記録した。一方、仮想通貨ビットコインは5日に10万ドルの大台を突破し6日にはフラッシュクラッシュが発生したものの、7日には再び10万台を回復した。
10:05
米NY連銀元総裁、トランプ新政権のビットコイン準備金構想を批判
米国のトランプ次期大統領のビットコイン準備金構想に対し、NY連銀元総裁が批判的見解を表明した。代わりに規制を整備すべきとしている。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
重要指標
一覧
新着指標
一覧