今週(2日〜8日)の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
2日〜8日レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は節目の2万ドル水準(≒272万円)を回復し、8日正午時点では2.2万ドル台乗せをうかがっている。
複数の暗号資産(仮想通貨)レンディング企業やヘッジファンドが経営窮地に陥る中、週明けのBTC相場は材料出尽くし感もあり売り一巡で260万円周辺から反発。
5日には、ノルウェーの石油・ガス労働者のストライキを受けた欧州(EU)での天然ガス価格高騰がEU域内の景気減速懸念を掻き立てリスクオフムードが台頭し、BTCは上値を重くしたが、米時間に米長期金利が急低下すると同国株式市場は堅調な推移となり、BTCも連れ高で下げ幅を解消した。
米国の景気減速による金融引き締めの緩和が織り込まれつつある中、週央からもリスクオンムードは続き、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨も特段想定以上のタカ派的なサプライズもなく、BTCは280万円上抜けを試すと、7日にウォーラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事が9月に利上げ幅を50ベーシスポイントに縮小する可能性について言及し、再び米株の上昇に連れ高となり同水準の上抜けに成功。
8日序盤の日本市場が強含むと300万円にタッチした。
米国の利上げサイクルの出口とまでは言えないが、ペース減速の可能性がチラついたことで市場のムードが幾分改善した。ただ、ここからは実際に経済指標を確認しつつ、インフレの抑制と景気後退回避を実現できるか様子を伺いながらの市況となっていく公算が高く、BTC相場は依然としてはっきりとした方向感を示せない可能性がある。
特に今年のインフレ統計は原油価格の高騰が牽引している側面が大きいが、3月から原油価格は高止まりしており、6月の米インフレ統計も顕著な改善は見込み難い。
ただ、テクニカルの側面では、BTC相場は2.2万ドル付近をネックラインとしたダブルボトムを形成しており、日足や週足終値で同水準の上抜けに成功すればテクニカル的な買いが入る余地もあるだろう。
もっとも、予てから指摘する通り、ビットコインマイニングを巡る需給のバランスは悪化しており、チャートの節目などでは実需筋の換金売りに引き続き注意を要する状況と言え、日足一目均衡表の基準線や週足200週移動平均線が密集する2.2万ドル周辺のエリアを突破するにはもう一押し材料が必要か。
またビットコインの先物市場では、資金調達率がプラス圏を維持する中、建玉が過去最高水準を更新しており、買い持ち高の積み上げが指摘される。
昨年5〜6月にBTC相場が底をついた際は、資金調達率がマイナスに振れ続け巻き戻しのエネルギーが溜まったことで相場が上値を追いやすくなった背景もあり、足元の反発は今一つ信用しきれない。
関連:bitbank_markets公式サイト
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