利下げ期待後退で金融市場続落も、イーサリアムは1600ドル水準まで反発

マクロ経済と金融市場

30日の米NY株式市場では、ダウ平均株価は前日比308ドル(1.0%)安と3日続落した。

ジャクソンホール会議のパウエルFRB議長講演で、金融引き締めの長期化懸念が強まったことが背景にある。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が「FRBが来年利下げに転じる可能性は非常に低い」との見解を示したほか、インフレ(物価高)抑制のため、「政策金利の3.5%水準を幾分上回る水準まで引き上げる必要がある」などとタカ派発言で牽制したことも逆風となった。

これに伴い米長期金利は3.15%まで上昇。外国為替市場ではドル高が加速。一時20年ぶりの水準をつけ、その後一服した。

DXY(ドル指数)週足

Real VisionのRaoul Pal CEOは29日、放物線上に上昇する「米ドル指数(DXY)」を注視する理由として、米ドルの上昇時に株や暗号資産(仮想通貨)などのリスク資産が売られやすくなる点を挙げた。

今週末には米雇用統計といった重要イベントを控えており、ISM製造業指数を含め経済データに”弱さ”が示されれば、インフレ抑制を念頭に金融引き締めの手を緩めぬFRB(米連邦準備制度)の議論に一石を投じる可能性があるとの見立てを示している。

仮想通貨市況

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比0.83%高の20,361ドル。

BTC/USD 日足

ジャクソンホール会議以降、急速に悲観論が強まったことから足元では売られ過ぎ水準にあり、過度な警戒感の是正も見られるか。

特にThe Merge(ザ・マージ)を控えるイーサリアム(ETH)は、前日比3.79%高と時価総額TOP20の主要アルトの中で、最も買い戻しが先行した。短期的とはいえ米株指数との高い相関性が落ちて始めており、このままディペグ状態が続くようであれば良い兆候と言えるだろう。

イーサリアムのコア開発者Tim Beiko氏によれば、マージ実施予定日は9月10日〜20日に行われる見通しであり、重要アップグレードの起点となる「Bellatrix」は9月6日に始まる見込み。

歴史的な大型アップグレードであるマージを経て、イーサリアムのコンセンサス(合意形成)アルゴリズムは、「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」から「プルーフオブステーク(PoS)」へと変更されることになるが、中でも新規発行量の90%減など”Triple Halvening”と呼ばれるデフレ圧力が材料視される。

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ショートカバーを伴うETHの反発は、先物市場でFunding Rate(資金調達率)のマイナス乖離が膨らんでいたことも影響したものと考えられる。データ分析企業CryptoQuantの公認アナリストmaartunn氏によれば、イーサリアムのFRは直近、21年7月以来となる14ヶ月ぶりの低水準まで下落していた。

CryptoQuant

Eight GlobalのMichaël van de Poppe(@CryptoMichNL)氏は、このままThe Merge(ザ・マージ)のシナリオが順調に進めば、1ETH=1350ドルを下回らず、2200ドル台まで反発することもあり得るとの見解を示した。

Genesisのトレーディングデスクでは、オプション市場におけるコール買い、プット売りの増加について強気シグナルと見ている。

大手デリバティブ取引所Deribitのデータによれば、マージ予定日後の9月30日限、12月30日限、22年3月31日限に膨大な量のコールオプション(予め決めた行使価格で商品を買う権利)が積まれている。建玉数は、過去1年間でおよそ4倍に達するという。

一方、マージ後の材料出尽くし売り(セルザファクト)を警戒する向きも強い。著名アナリストのジャスティン・ベネット氏はビットコインについて、今週の反発は騙しチャートの”ブルトラップ”にすぎないと指摘。「(年単位の)上昇チャネルの下限は、すでに割り込んでいる」との認識を示した。

アルト市場については、「前回の仮想通貨バブル崩壊では、最高値から軒並み90%以上下落した」と指摘。「世界的なインフレやリセッション(景気後退)局面にある中、-75%程度の下落幅に留まるとは思えない」と悲観的見通しを示している。

機関投資家の動向

資産運用会社CoinSharesの週次レポートによれば、投資信託などのデジタル資産に対する機関投資家の資金フローは、少量の流出超過となった。

coinshares

これで、3週連続で総額4600万ドルの流出に達した。

取引量の減少と断続的な資金流出は、機関投資家が無関心になりつつあることを暗示している。特に週間出来高については、20年10月以来の水準である9億100万ドルにまで減少した。

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