親露組織の仮想通貨アドレスを制裁対象に
米財務省は15日、ロシア政府に関連する22の個人と2つの団体を外国資産管理局(OFAC)の制裁リストに追加することを発表した。
その中には、ウクライナでロシア軍と共に戦闘に参加したとされるネオナチ準軍事組織「タスク・フォースRusich」も含まれている。この組織に関連する暗号資産(仮想通貨)アドレス5つも制裁対象に指定された。
具体的には、ビットコイン(BTC)アドレス2つ、イーサリアム(ETH)アドレス2つ、USDTアドレス1つである。
米財務省はタスク・フォースRusichがロシア政府と協力し、米国やその同盟国の平和、安全、領土保全を損なう活動に、直接または間接的に関与してきた責任があるとした。Rusichは以前よりウクライナのドンバス地方でロシア側と一緒に戦っており、2015年には捕虜などに対して残虐行為を行ったとして訴えられているとも続けている。
ジャネット・イエレン米財務長官は、次のようにコメントした。
米国は、ロシアの戦争犯罪、残虐行為、侵略の責任を追及するために行動し続ける。
ウクライナが自由を守るために前進する中、ロシアの軍事能力をさらに低下させ、暴力の加害者として責任を取らせ、財政的に孤立させるための措置を講じる。
仮想通貨で寄付金を調達
ブロックチェーン分析企業チェイナリシスは7月、親ロシア派グループが仮想通貨により資金調達を行っている状況について報告している。
ロシアのウクライナ侵攻以降、主にビットコインとイーサリアムで寄付金が集められ、合わせて約3億円(220万ドル)以上の仮想通貨が54の組織に分配されていた。USDT、ライトコイン(LTC)、ドージコイン(DOGE)でも相当量が調達されている。
チェイナリシスは、こうした組織のソーシャルメディア投稿を分析し、寄付金の大部分が準軍事組織の装備に使用されていると指摘。寄付を集めたアカウントの約半数は、ドンバス地域の民兵を支援するための資金を募集していると分析した。
チェイナリシスは、今回制裁対象となったタスク・フォースRusichについても言及している。Rusichは、寄付先アドレスを複数のソーシャルメディアアカウントで公開し、数十万円(数千ドル)相当を調達しているという。
ウクライナも仮想通貨を利用
一方でチェイナリシスは、この額は、ウクライナ側が集めた仮想通貨寄付金と比較すると、額は小さいものであると述べた。また、ブロックチェーンには追跡可能性という利点があるとしている。
ブロックチェーン上の取引は透明性が高く、アカウントの各送金を追跡することが可能で、法定通貨の場合よりも、親ロシア派の活動を観察しやすいと説明した。
ウクライナ政府や民間団体は、人道支援や戦争努力のために仮想通貨でも計180億円以上の寄付を集めてきた。6月には、寄付された著名NFTコレクションCryptoPunksの1つを売却し、約1,330万円を得ている。
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チェイナリシス(Chainalysis)とは
米国を拠点とするブロックチェーン分析企業。仮想通貨に関連する犯罪・脅威分析に実績があり、世界60カ国以上で政府機関、取引所、金融機関、保険・サイバーセキュリティ企業にデータ、ソフトウェア、調査などを提供する。22年5月、86億ドルの企業評価額で1億7000万ドルを調達。
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