マクロ経済と金融市場
24日の米NY株式市場は、感謝祭(Thanksgiving Day)の祝日で休場。東京株式市場では、日経平均株価は96円安と反落した。
世界的な景気悪化懸念は依然として根強い。
仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比1.3%安の16,477ドル。
11月10日の暴落後のリバウンド局面で揉み合った16,000ドル台では、上値の重さも目立つ。
FTX破綻の影響による負の連鎖を食い止めるべく、業界復興目的でバイナンスが立ち上げたリカバリーファンド(事業再生基金)において、Jump Crypto、Polygon Ventures、Aptos Labs、Animoca Brands、GSR、Kronosが参画することがわかった。
詳細:バイナンスの事業再生ファンド、ポリゴンやアニモカなどが参加
バイナンスおよび業界の主要パートナーが協力する形で10億ドルの資金調達を目指す。
Introducing the Web3 Industry Recovery Initiative! #Binance and a number of key industry partners have joined together to commit $1B+ to provide financial support to the most promising and highest-quality companies that need it most.
— Binance (@binance) November 24, 2022
Let's support industry growth together.
CZ氏は、初期コミットメントのパブリックアドレス開示による透明性の担保と、投資ファンドではなく業界再建のための再生基金である点を強調した。
業界大手のアラメダ・リサーチおよびFTX破綻の影響は、ビットコインのクジラ(大口投資家)の信頼も揺るがしている。
Glassnodeのレポートによると、暗号資産(仮想通貨)取引所からの純流出量は、過去最高となる-172,700BTC/月を記録した。世界有数の中央集権型取引所(CEX)を率いたサム・バンクマン・フリード元CEOによる数々の不祥事に起因する債務超過問題が根底にあること、関連する融資企業などにも波及したことなどから、テラ(LUNA)崩壊ショックの22年6月を上回る流出額となった。
セルフカストディ(自己管理型)ウォレットへの送金需要の増加や、主に海外取引所からの顧客の預かり資産引き出しが急増している様子が窺える。
また、BTC価格が15,000ドル水準まで大幅下落したことにより、1,000BTC以上を長期保有するような大口エンティティまでも“含み損”傾向に陥っていることも市場心理の悪化に拍車をかけているとした。
CryptoQuantによれば、ブロックチェーン上の主要エンティティは次の3つに分類される。
- 暗号資産交換業者(取引所)
- 大手マイナー(採掘業者)
- クジラ(大口投資家)
投資家が売買を行う暗号資産(仮想通貨)取引所は需要側の動きを反映しており、ビットコインマイニングを行うマイナーは採掘したBTCをタイミングを見計らって売却しようとするため、ブロックチェーン上の供給をある程度コントロールすることになる。そして、クジラは需給の両方について市場の非効率性を利用する存在である。
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不正な大量送金か
オンチェーン分析企業Chainalysisの24日の報告によれば、事業停止中のBTC-e取引所の関連ウォレットから、7年間以上休眠状態だった10,000BTC(1億6,500万ドル相当)が送金された。
After a year of near dormancy, BTC-e today sent $165M in Bitcoin to a group of personal wallets, exchange deposit addresses, and other services – its largest withdrawal since Apr 2018. Read on those tx’s and others from the rogue exchange in recent weeks. https://t.co/HxamLo1lrL pic.twitter.com/GSZyrm8iZu
— Chainalysis (@chainalysis) November 24, 2022
BTC-eのウォレットアドレスは、2014年にハッキングされたMt.Gox事件で不正流出した暗号資産(仮想通貨)のマネーロンダリング(資金洗浄)に関与した疑いがあるとされ、今回の送金により他の取引所や個人ウォレット、非公式のOTC(相対)取引を通じて現金化された可能性がある。
すでに連邦捜査局(FBI)は2017年にBTC-eを閉鎖、資金を差し押さえた上で共同創設者のAlexander Vinnik氏を逮捕している。
この点についてデータ分析企業CryptoQuantのKi Young Ju(@ki_young_ju)CEOは、犯罪グループによる資金移動の可能性を指摘。送金先の1つと思しきHitBTCに対して不審なアクティビティを警告し、アカウント凍結を要求した。
7-year-old 10,000 $BTC moved today.
— Ki Young Ju (@ki_young_ju) November 24, 2022
No surprise, it's from criminals, like most of the old Bitcoins. It's the BTC-e exchange wallet related to the 2014 Mt. Gox hack.
They sent 65 BTC to @hitbtc a few hours ago, so it's not a gov auction or something.https://t.co/6LnCxFAJfX https://t.co/YdPrvJafxY pic.twitter.com/Sp2higUqbq
アルトコイン相場
23日には、バイナンスプールがPPS+(Pay Per Share Plus)決済を利用するレイヴンコイン(RVN)のサポートを発表したことで急騰する場面があった。
PPS+はハッシュレート(採掘速度)に応じた取引手数料の追加配分を行う形式で、RVNはビットコインコードのフォークに基づくオープンソースプロトコル。トークン化されたデジタル資産の作成・転送に特化したP2Pプラットフォームとされる。
イーサリアム(ETH)のThe Merge(ザ・マージ)でプルーフオブステーク(POS)メカニズムに切り替わった影響で、グラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)マイニングを行うPoWマイナーの移転先として、イーサリアムクラシック(ETC)とともに候補に上がっていた。
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