米クラーケンに5,000万円の罰金
米財務省の外国資産管理局(OFAC)は28日、米大手暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケンと、制裁規則の違反に関して和解したと発表した。クラーケンはOFACに約5,000万円(約36万ドル)の罰金を支払った。
OFACは、クラーケン(Kraken)がイランに対する経済制裁について違反していたとして、次のように述べている。
クラーケンは、ユーザーの居場所に応じてブロックするような、自動的なIPアドレスのブロックシステムなど、適切なツールを導入していなかった。
このため、クラーケンのプラットフォームは、イランにいると考えられるユーザーにも仮想通貨取引サービスを提供していた。
OFACは、罰金が比較的少ないのは、クラーケンの違反が悪質なものではなく、自発的に当局に報告されたという点を考慮したためだとしている。
クラーケンは、OFACとの和解の一環として、制裁コンプライアンス管理に約1,400万円(10万ドル)を追加で投資することにも同意した。
法的遵守プログラムが不完全
OFACは、違反の詳細についても説明している。クラーケンは、マネロンや制裁に対応する法的遵守プログラムを導入していたが、抜け穴があった格好だ。
クラーケンは、制裁対象となる地域のユーザーがアカウントを開設することを防ぐために、アカウント登録時のIPアドレス情報の監視や、毎日の顧客スクリーニングを行っていた。
しかし2015年に、取引時にイランにいたと思われる個人のために826件の取引、総額約2.4億円(約170万ドル)を処理していた。プラットフォーム全体の取引活動に対するIPアドレスブロックを実装していなかったために、その隙間を突かれた形だ。
IPアドレスデータによると、当該ユーザーは、制裁対象地域以外でアカウントを開設。その後、イランからアクセスし、クラーケンのプラットフォームで取引していたとみられる。
改善策を導入
本件でクラーケンについての調査が開始されたのは7月だった。クラーケンのMarco Santori最高法務責任者は、和解について次のようにコメントしている。
当社は、今回の問題について自分たち自身で発見し、自発的に当局に報告し、迅速に修正した。和解に至れたことを嬉しく思う。
Santori氏は、和解に達する前の段階で、クラーケンはコンプライアンスを強化するための一連の措置を講じたとも説明。「管理システムのさらなる強化、コンプライアンスチームの拡大、研修や、企業としての説明責任体制の強化」などを挙げた。
クラーケンは、様々な改善を実施。具体的には、制裁対象となる場所にいるユーザーがクラーケンのアカウントにアクセスできないようにするジオロケーション(位置に基づく)ブロッキングを追加し、複数のブロックチェーン分析ツールを導入するなどの対策を施している。