仮想通貨マイニングを原則禁止
IT大手マイクロソフトは今月初めにオンラインサービスの利用規約を更新。ユーザーが、事前許可なしで同社のサービスを用いて暗号資産(仮想通貨)をマイニングすることを認めないとしている。
この規約は、「マイクロソフトのボリュームライセンス契約に基づいて、顧客が購入するマイクロソフト提供のサービス」を対象とするもので、主にクラウドコンピューティングサービス「Azure」を指している模様だ。
マイクロソフトの顧客、およびその顧客を通じてオンラインサービスにアクセスする者のいずれについても、「書面による事前の承認なしに、仮想通貨を採掘することはできない」としている。
マイクロソフトは、今回の措置について次のように説明した。
仮想通貨の採掘は、当社のオンラインサービスとそのユーザーに、通信障害や損害をもたらす可能性がある。また、顧客リソースへの不正アクセスなどの、サイバー詐欺や不正攻撃などを招く可能性がある。こうした理由で利用規約を変更した。
また、仮想通貨マイニングが許可される可能性のあるケースとしては、セキュリティ面でのテストや研究を挙げている。
マイニングとは
ビットコインなどPoW通貨の取引を検証・承認する「採掘」行動のこと。取引の検証にはコンピューターで膨大な計算を行う必要があり、その見返りとしてマイニングに成功すれば報酬が得られる。報酬の支払いを通して、仮想通貨が新規発行される仕組み。この一連の作業が鉱物採掘に似ていることからマイニングと呼ばれ、日本語で「採掘」と表記されることもある。
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グーグルやアマゾンも禁止
仮想通貨マイニングを禁止している大手事業者はマイクロソフトだけではない。グーグルクラウドや、アマゾンのクラウドコンピューティングサービスAWS(Amazon Web Services)無料トライアル版もマイニングを禁じている。
グーグルは、2021年11月にサイバーリスクについての報告書を発行。その中で、「最近、グーグルクラウドのアカウントが不正侵入された事例の86%は、仮想通貨マイニングの実行を目的としていた」と述べていた。
Web3事業には積極的
一方で、こうしたクラウドコンピューティングサービスは、仮想通貨セクター自体を排除している訳ではない。
例えば、グーグルクラウドは仮想通貨のパブリックデータセット「BigQuery」を提供しており、11月には、ソラナ(SOL)のデータを追加することを発表した。「ブロックチェーン・ノード・エンジン(BNE)」でソラナ対応を開始する計画もあり、どちらも2023年に実施する見込みだ。
ブロックチェーン・ノード・エンジン(BNE)は、グーグルクラウドが10月にリリースした、Web3(分散型ウェブ)ノードの完全代行型ホスティングサービスである。ネットワーク同期の待機や、接続状態の監視、停止時の再起動対応などをグーグルが顧客の代わりに行う。
関連:グーグルクラウド、ソラナのノード運用代行サービスを導入へ
また、アマゾンのAWSは6月、日本発パブリックブロックチェーンのAstar Network(ASTR)との提携を発表している。
Astarの2つの育成プログラムに参加するプロジェクトはすべてに約1,370万円(10万ドル)のAWSクレジットが付与され、コンピューティング、ストレージなどのインフラ技術から、機械学習やAI、IoTまで、様々なAWSサービスに使用できるようになった。
関連:Astarネットワーク、アマゾンウェブサービス(AWS)と提携
Web3とは
現状の中央集権体制のウェブをWeb2と定義し、ブロックチェーン等を用いて非中央集権型のネットワークを実現する試みを指す。代表的な特徴は、仮想通貨ウォレットを利用したdAppsへのアクセスなど、ブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークのユースケースがある。
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