今週(12/10(土)〜12/16(金))の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
ビットコイン・オンチェーンデータ
BTC取引数
BTC取引数(月次)
アクティブアドレス数
アクティブアドレス数(月次)
BTCマイニングプールの送金先
取引所・その他サービス
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
12/10(土)〜12/16(金)の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は小確りとした推移で、16日正午時点で240万円周辺に戻している。
9日に発表された11月米生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回ったことで、週明けのアジア株の下落や、米司法省(DOJ)がバイナンスと同社CEOのCZに対して刑事告訴を検討しているとの報道を受け、週明けのBTC相場は230万円割れを試したが、CZがTwitter上で報道を非難すると相場は下げ止まり、その後は米株の反発に連れ高で235万円を回復した。
13日海外時間には、欧州株の上昇に連れ高となり240万円上抜けをうかがうと、11月米消費者物価指数(CPI)が5ヶ月連続で減速し、245万円にワンタッチした。週央には、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え一時的に様子見ムードが広がったが、TEPCOが余剰電力を駆使してビットコイン・マイニングに参入するとの報道もあってか、245万円の上抜けに成功した。
一方、15日未明に終了したFOMCでは、市場の予想通り50ベーシスポイント(bp)の利上げが決定されたことに加え、23年末の政策金利見通しも引き上げられ、BTC相場は急反落。
その後、イングランド銀行(BOE)と欧州中央銀行(ECB)も利上げ継続を示し、相場は240万円をわずかに割り込んでいる。
市場ではFOMCが23年末の政策金利見通しを9月4.6%から5.1%に引き上げたことがある意味でサプライズと捉えられたが、3月(2.8%)と6月の見通し(3.8%)と比較すれば引き上げ幅は控えめとなっており、来年の春には政策金利が見通しに追いつく可能性もある。
また、第四・四半期からの米国の経済指標悪化を受けて、多くの米連邦準備制度理事会(FRB)高官らが積極的な利上げに慎重論を唱え始めたことに鑑みれば、次回2月のFOMCで更なる利上げ幅縮小も視野に入ると見ている。
ただ、FRBをはじめ主要国中銀が利上げ継続を示したことで、今週は世界的な景気後退への懸念が台頭し、株式市場は軟調となった。各国中銀が景気減速をどの程度許容するかについて不透明性が高いことや、過度な金融引き締めによる想定外の影響も懸念され、市場の見通しを曇らせている。
中期的に見れば、FRBの利上げペース減速期待と景気への懸念で綱引き状態を想定しているが、足元では景気後退への懸念を一旦消化する必要があると見ており、来週も引き続き経済指標に要注意だ。
BTCは対ドルで一時は11月8日安値の17,500ドルを回復し、節目の18,000ドルも回復したが、FOMC後に両水準を割り込んでおり、テクニカル的な失望感も否めない。幸い、相場が大きく崩れることはなかったが、17,000ドルの維持に失敗すれば、短期的に売りが加速する可能性も指摘される。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:今週のビットコインは底堅く推移、来週はFOMCや四半期経済見通しに警戒