Web3スタートアップの生存戦略
暗号資産(仮想通貨)NEARプロトコル(NEAR)のエコシステムにて、相互運用性ソリューションを構築するOctopus Network(OCT)は26日、運営体制の大規模なリストラ計画を発表した。
希望退職募集制度により、コア運営陣の40%(30人中12人)を解雇し、残留するスタッフの給与を20%カットする。さらにチームへのOCTトークン配布によるインセンティブは無期限停止となる。
Octopus Networkは、ビットコイン(BTC)、ポルカドット(DOT)、コスモス(ATOM)など複数のブロックチェーンと相互運用するためのプロダクト。「Rainbow Bridge」というブリッジを介して、イーサリアム(ETH)のブロックチェーンとも送金ができる。
Octopus Networkの創設者Louis Liu氏は、仮想通貨市場の弱気相場(クリプト・ウィンター)が長期化すると見て、事業のスリム化を図る。特に、コスモスやポルカドットの開発ツールで構築された、アプリケーション固有チェーンとの接続に注力する方針だ。
最も重要なことは、Octopus Networkがクリプト・ウィンターを生き残り、来るべきブロックチェーンのインターネットにおいて重要な位置を占めるようにすること。そのため、来年は業務を凝縮し、構築に専念する。
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Octopus Networkとは
開発企業Octopus Networkは2019年にセーシェルで設立されたが、LinkedInによると運営拠点は主に中国にあるようだ。同社は21年8月のシリーズAまでに延べ約9億円(800万ドル)を調達した。
Louis Liu氏は2013年以来暗号資産(仮想通貨)産業に携わってきた人物。同氏は、今回の仮想通貨市場の弱気相場は、自身が体験した2014-2015年と2018-2019年のものと異なると指摘した。ますます伝統的な金融機関が関与した結果、仮想通貨市場は以前よりマクロ経済の影響を受けているという。
2020年3月、新型コロナウイルスの混乱により世界経済の不確実性が高まる中、米連邦準備制度理事会(FRB)は所謂「量的金融緩和(QE4)」を実施。政策金利をそれまでの1.75%から0.1%まで引き下げると、リスク資産に資金が流入する中で株価や暗号資産は高騰。
しかし、2022年に入ると、インフレ懸念などから米国の金融政策が緩和から引き締めへシフト。年初から金利上昇と米ドル高が続く一方、株価やビットコインなど暗号資産市場から資金が抜け、下落が続いている。
こうした状況下で、市場はFRBの方針転換のタイミングを注視している状況だ。Liu氏はこうした金融市場の影響力は、ビットコインに訪れる4年毎の半減期よりも大きいとする見解を示している。
多くの人が、資本市場は緩やかにリスクオンに戻ると考えている。クリプト・ウィンターは少なくともあと1年、もしかしたらもっと長く続くかもしれない。ほとんどのWeb3スタートアップは生き残れないだろう。
半減期とは
ビットコインなど仮想通貨のマイニング報酬(=新規発行量)が半分に減るタイミングを指す。仮想通貨にはインフレを防ぐために「発行上限」が定められているものが多く、一定周期で訪れる半減期の度に、新規発行量が半分に減る仕組みになっている。供給量が減ることで希少価値が大幅に上昇し、価格が高騰しやすくなるため、仮想通貨特有の注目イベントでもある。
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