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特にサプライズなくCPI通過、ビットコインは22000ドル台を回復

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

マクロ経済と金融市場

14日の米NY株式市場では、ダウは前日比156ドル(0.5%)安と3営業日ぶりに反落。ナスダックは68.36ドル(0.57%)高で取引を終えた。

14日22時半(日本時間)に発表された米CPI(米消費者物価指数)は、前年同月比+6.4%と市場予想の+6.2%を上回るなどインフレ圧力の強さを確認する内容であり、市場関係者からはさらなる“追加利上げ”の必要性が問われるとの見解が出ている。食品とエネルギーを除くコアCPIは、前年同月比+5.6%。

一方、前月比では0.1%のマイナスとなっており、昨年6月の+9.1%と比較すると順調に鈍化した。

Tradingeconomics

米連銀総裁からは高インフレ継続の可能性を危惧するタカ派発言が相次いでおり、パウエルFRB議長も時期尚早な政策転換には懐疑的なことから、インフレ抑制が決定的な状況となるか利上げの影響で米国経済が大幅に後退しない限り、FRB(米連邦準備制度)の姿勢は当面変わらないとの見方が大半だ。

NY外為市場では、ドル円が6週間ぶり高値となる133.3円を付ける場面があった。

関連:米CPI鈍化継続 ナスダック続伸、ドル急上昇|15日金融短観

仮想通貨市況

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比1.73%高の22,100ドルに。

BTC/USD日足

CPI結果は上下どちらにもサプライズはなかったが、方向感に欠く展開と言える。BTC価格はCPI発表直後に急落する場面も見られたが、その後反発した。前日比ではイーサリアム(ETH)が3.15%高、ポリゴン(MATIC)は5.74%高となっている。

仮想通貨市場はCPI前にネガティブな材料が相次ぎ、アルト相場を中心に値幅調整していたことで、イベント通過は一定の安堵感をもたらした。

13日には、米NY州金融サービス局(NYDFS)が発行企業パクソスに対し、BUSDトークンの新規発行停止を命じた。米SEC(証券取引委員会)は、業界第3位の米ドル連動型ステーブルコイン「Binance USD(BUSD)」について未登録有価証券であると主張している。

関連:米NY州金融サービス局、ステーブルコイン「BUSD」の発行停止を命じた理由を説明

ただし、市場の混乱を防ぐため、今後も適切な監査とステーブルコインを裏付ける準備金担保は継続し、少なくとも2024年2月までは償還に応じることのできる体制を整える。

USDT、USDC、BUSDといった主要ステーブルコインは、大手暗号資産(仮想通貨)取引所の“基軸通貨ペア”として採用されており、Kaikoが13日に示したデータによれば、最大手取引所バイナンスの全取引量の約35%をBUSDが、58%をUSDTが占めていた。

バイナンスのチャンポン・ジャオ(CZ)CEOは14日、臨時開催したTwitter SpacesのAMAにて、「規制機関の圧力により、米ドルのステーブルコイン市場は縮小するだろう。今後仮想通貨業界は、米ドルではなく、ユーロや円やシンガポール・ドル基盤のステーブルコインへの移行を余儀なくされる可能性がある」との見解を示した。

昨年5月に発生したアルゴリズム型ステーブルコイン「UST(TerraUSD)」の崩壊や昨年11月に発生した大手取引所FTX破綻に伴い、米金融当局は強硬姿勢を強めたことが不透明感を拡大させるなど、中央集権的なカントリーリスク顕在化も背景にある。

関連:バイナンスCZ氏 日本円など米ドル以外のステーブルコインの必要性に言及

昨今では、米取引所クラーケンがSECから「証券法違反」で起訴され、米顧客向けのステーキングサービス提供停止と3000万ドルの制裁金支払いを余儀なくされたことで、米最大手取引所コインベースなどが提供するステーキングサービスやイーサリアムなどステーキング可能な“PoS通貨”全体にも広範な影響と強い懸念が波及している。

関連:米SECのクラーケン起訴をどう見るか、イーサリアムステーキングへの影響を考察

モルガン・スタンレーのストラテジストは、「ステーブルコインの時価総額の下落は、仮想通貨の流動性とレバレッジの低下を意味する」と懸念を示した。

DefiLlamaによれば、ステーブルコイン取引特化型の分散型取引所(DEX)である「CurveFinance」の日間取引高は今週初めに急増し、10億7000万ドルを記録した。BUSDの新規発行停止を受け、急速に需要が高まったものとみられる。

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