今週 4/22(土)〜4/28(金)の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
4/22(土)〜4/28(金)の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は、一時は荒い値動きを演じるも底堅い推移で400万円回復をうかがう展開となっている。
週明けのBTC相場は370万円周辺で揉み合いが続いたが、米中堅銀行のファースト・リパブリック・バンク(FRC)が、第一・四半期に約40%の預金流出があったと公表したことや、保有資産の売却を模索していると報じられ、3月の金融不安が想起されると、BTCは上値を追う展開に転じた。
26日のBTC相場はドル建てで2021年安値まで戻すと、BTC無期限先物市場では資金調達率(fr)がマイナスに振れショートポジションが増加。
すると、米金融規制当局がFRBの格付け引き下げを検討しているという報道が転がり込み、BTCはショートのロスカットを伴い400万円を一時回復した。しかし、ドル建てで節目の3万ドルとなる同水準で上げ止まると、米耐久財受注の上振れを受けた米株の下落がBTC相場の重石となり、今度はロングの投げを伴って急落を演じ、上げ幅を解消した。
他方、この日はArkhamの情報を元に米政府とMt.GoxのウォレットがBTCの取引をしているとの情報がTwitter上で流れたが、拡散された情報に対してArkhamがウォレット所有者の情報の誤りを指摘したことで、安心感からBTCは戻りを試した。
27日には、前日のメタ(旧フェイスブック)の好決算を追い風にITや通信技術セクターに買いが入り、米株価指数が大幅反発。BTCはこれに連れ高となる格好で上昇し、400万円周辺まで戻している。
BTCは円建てで400万円、ドル建てで3万ドルと節目の水準を射程圏内に入れたが、今週発表された米経済指標は、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けてやや懸念を残す結果となった。
第一・四半期の国内総生産(GDP)の速報値は1.1%と前期の2.6%から伸びが鈍化したが、同期間の個人消費支出(PCE)価格指数はヘッドラインとコア指数共に前期から加速した。
景気自体の減速サインは散見されるものの、物価指標に関しては、消費者物価(CPI)のコア指数も3月は前月から加速しており、物価上昇率の鈍化に著しい結果が見られない状況が続いている。
ただ、FRCの経営難が表面化したことで、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融セクターに配慮を見せる可能性もゼロではないか。実際、3月にFRBが設立した緊急レンディング・ファシリティの「Bank Term Funding Program」を通じた米銀行に対する貸出額は増加しており、金融不安の火種は依然として燻っていると言える(第2図)。
3月FOMCの経済見通しでは、5月の利上げが最後になる可能性が示されていたが、物価安定への成果を優先するか、景気や金融セクターへの配慮を見せるか、5月FOMCの結果は極めて先読みしづらい。こうしたことから、来週のFOMCでは利上げ停止についての明言は避け、6月FOMCでのアクションの選択肢を残す可能性が十分にあると指摘され、相場にとっては向かい風となるか。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:ビットコイン2021年安値の上抜け成功、来週は手がかりを欠く可能性