- インド準備銀行「仮想通貨は合法通貨とは呼べない」
- インド準備銀行(RBI)が同国の最高裁判所に提出した宣誓書の中で、ビットコインを初めとする仮想通貨に対する立場を明らかにした。RBIは、仮想通貨は法の定める「インド通貨」の定義を満たしていないとする。なお同国では、RBIのとインド証券取引委員会(SEBI)の2当局が、仮想通貨関連立法に向けた動きを取っている模様だ。
- インド準備銀行とは
- インドの中央銀行。インド準備銀行設置法に依拠し、紙幣の発行/金融及び通貨の安定化促進/金利政策/為替管理/重要産業への投資といった権限を有する。1949年に国有化。現総裁はラグラム・ラジャン氏。
9月12日にインド準備銀行(RBI)が同国の最高裁判所に提出した宣誓書の中で、ビットコインを初めとする仮想通貨に対する立場を明らかにしました。
今回のRBI宣誓内容のポイント
CoinPost編集部では、今回RBIが提出した宣誓書から、ポイントを次の5点にまとめました。
- 仮想通貨は物理的形状を有していない。また、印刷/刻印等のインド・ルピー表記がない。よって法の定める「インドの通貨」の定義を満たしていない。
- 仮想通貨は主権国家が発行したものではない。よって外国通貨と位置づけることも出来ない。
- RBIが合法通貨を指定する根拠法令がFEMA(Foreign Exchange Management Act, 1999: 外国為替管理法, 1999)である。しかしFEMAが合法としているのは小切手や為替と同様の特徴を持つ通貨に限られる。
- 仮想通貨の法的位置づけがインド法には存在しない。この観点からは、決済システム法(Payment and Settlement System Act)にも該当しない。
- 当然ながら、RBI、FEMA、PSSAは最高法規であるインド憲法の下にある。
以上から、RBIの宣誓書は次のように結論づけます。
「RBIはインド政府に対し、ビットコインを初めとする仮想通貨の法的位置づけを(一方的に)決定することは出来ない。(中略)また、FEMAに依拠するならば、それらを合法通貨と呼ぶことも出来ない」
今後の動き
RBIの動向
RBIは過去の声明でインド国内における仮想通貨の規制を支持する立場を表明しています。
しかし実際の規制手続きを始めるには具体的な定義が必要です。
インド国内では現在、ビットコインはその金銭/商品/資産のいずれでもあるような多面的な特徴から、定義が宙に浮いた状態となっています。
RBIはこの状態を解消するために、「商品分類の資産」としての法的位置づけを与えたい意向と伝えられます。
SEBIの動向
また、現行法上、規制の枠組みはRBIの他にインド証券取引委員会(SEBI)も担います。
SEBIはすでに職員をスイス、イギリス、日本に派遣し、仮想通貨の視察を実施しています。
SEBIにも、自らの主導で新たなビットコイン法を立法させたい意向があるようです。
次回聴聞会は9月17日
インド最高裁は現在、公聴会を開き、RBIと仮想通貨取引所の関係者に聴聞を行っています。
次回の聴聞は9月17日に予定されています。
参考記事:Current Legal System Can’t Recognize Bitcoin, India’s Central Bank Tells Supreme Court