今週6/17(土)〜6/23(金)の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
6/17(土)〜6/23(金)の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は上伸し、4月14日に付けた年初来高値(411万円)を更新した。
先週金曜日のブラックロックによる現物BTCの上場投資信託(ETF)の申請を契機に350万円周辺から370万円台まで回復したBTCは、週明けにフィデリティも同様のETFの申請準備をしているとの噂が広まり、週明けに380万円台に乗せた。
火曜日には、フィデリティやチャールズ・シュワブなどが後援するEDX Markets(暗号資産交換業)が始動したことが好感され、BTCは続伸。これによりドル建てではおよそ2ヶ月間続いた下降チャネルからのブレイクアウトに成功した。
さらに、週央から始まったパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)の議会証言では、年内の追加利上げの可能性が示唆された一方、暗号資産(仮想通貨)に関しては、ステーブルコインを通貨の一種として認める発言や、アセットとしての持続力を認める発言があり、BTCは上値を追う展開で420万円を回復すると、アトランタ連銀のボスティック総裁が意外にも利上げ見送りを支持したことで、一時は430万円台に乗せた。
足元では、テクニカル的な過熱感やアルトコイン相場の反落が重石となり、上げ渋る展開となっているが、ドル建てで節目の3万ドル周辺で底堅い推移となっている。
先週のブラックロックに続き、今週はビットワイズ、ウィズダムツリー、インベスコとバルキリーも現物ベースのBTC上場投資信託の申請を行い、TradFiの参入やETF承認の機運が高まり相場上昇に繋がった。また、相場の下降チャネルブレイクには出来高の増加が伴っており、テクニカル的にも確度の高いブレイクアウトと言える。
他方、今週行われたパウエル議長の議会証言では、先の米連邦公開市場委員会(FOMC)で示された年内残り2回の利上げが適切なペースであると説明があり、政策金利動向に敏感な米2年債利回りは動意含みとなった。
しかし、2回の利上げの条件としては、「経済が想定しているペースで推移した場合」としており、やはりこの先の政策判断は経済指標に左 右される可能性が高いことが示された。
こうした中、今週の米新規失業保険申請件数はおよそ1年半ぶりの高水準を3週連続で維持し、5月のカンザス連銀製造業景気指数は大きく下振れた。一方で、5月の住宅着工件数は予想以上の伸びを記録するなど指標はまちまちな結果となっており、BTCはテクニカル的に強気相場が示唆されているが、マクロ的な観点から持続的なマネーフローが期待できるかにはやや自信がない。
来週は米耐久財受注、国内総生産(GDP)成長率確定値、個人消費支出(PCE)と重要指標が多数控えており、市場の7月利上げ観測が後退するかに注目したい。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:FOMC利上げ停止の根拠は薄弱か、BTCは不安な展開続く見込み