Web3認知度調査
暗号資産(仮想通貨)取引所を運営するビットバンク株式会社は12日、Web3(分散型ウェブ)の認知度に関するアンケート調査結果を公表した。
政府によるWeb3推進政策がポジティブに受け止められていること、特にスタートアップへの支援と仮想通貨の税制改革に対する期待感が高いことがわかった。
この調査は2023年6月2日から8日まで実施されたもので、全国のインターネットユーザーを対象としたWeb3の認知度調査である。有効回答数は547人で、男女の割合はほぼ半々だった。
Web3.0(ウェブスリー)とは、パブリック・ブロックチェーン(許可を必要としない分散ネットワーク)を活用した非中央集権型のインターネットと、その上で展開される様々なユースケースの総称である。
NFT(非代替性トークン)を用いた金融取引や組織の自律的運営(DAO)などの新たなユースケースが生まれており、中央管理者なしでアプリケーションにアクセスできることがWeb3の核心となる。
本レポートによれば、Web3というワードを知っている人は回答者の33.1%で、過半数には及ばないものの、Web3を認知しているユーザーの中では、Web3の理解度は約70%と高い傾向が見られた。具体的には、Web3について「十分理解している」と回答した人は21.6%、「大体理解している」と回答した人は47.9%だった。
Web3の主要なユースケースには、NFTゲームやDeFi(分散型金融)を含むdApps(分散型アプリ)、ガバナンストークンに基づいてプロジェクトを進行するDAO(分散型自律組織)、ユーザーデータの自己管理に関する分散型アイデンティティ(DID)などがある。
アンケートの結果、Web3について知っている人の間で、「Web3」と聞いて最初に連想するキーワードは、「メタバース」、「暗号資産」、「NFT」の順だった。
次に、Web3のサービスを利用する上で最初に行うべきこととして、「暗号資産取引所の口座開設」を挙げた人は23.7%で最も多かった。寄り難易度の高い、プライベートウォレットを自身で作成することや、ウォレットを利用したり、プラットフォーム上で直接「NFTの購入」できることを知っているユーザーも一定数いることが窺える。
また、Web3関連サービスを既に開始している人の中で最も多かったのは「暗号資産」で、次に多かったのは「メタバース」だった。2つまで選択可能なため、これらのユーザーは、NFTやDAOといった過去数年間で誕生したユースケースも併用していることが推測される。
Web3.0はグローバルにビジネスを展開しやすい環境を提供するため、特に日本のように、アニメやマンガ、ゲームなどのポップカルチャー、地方のグルメや観光などのコンテンツ産業の知的財産権が強固な国にとっては親和性が高いとの見方もある。
日本では、自由民主党のデジタル社会推進本部が2022年1月に「Web3プロジェクトチーム」(旧:NFT政策検討プロジェクトチーム)を設立。このチームの提言は、新首相岸田氏の「新資本主義」戦略に一部取り込まれ、規制や税制の改革が進行中である。
関連:なぜ日本政府は「Web3政策」を推進し始めたのか?重要ポイントと関連ニュースまとめ
政府によるWeb3政策への期待
ビットバンクによれば、Web3について「十分理解している」または「大体理解している」と答えた人のうち、81.8%以上が、政府によるWeb3の推進について肯定的な見解を示した。さらに、Web3について知っている人のうち、「スタートアップ支援」を国内のWeb3推進に期待する項目として挙げた人が最も多く、約30%を占めている。次いで、「暗号資産の税制改正」や「ブロックチェーンやメタバースの発展」に対する期待も多いことがわかっている。
仮想通貨の税制については、日本国内では徐々に見直しが図られている。23年7月に国税庁が通達を出し、企業が自社で発行したトークンを期末時価評価課税の対象から除外するというルールが正式に決定された。これは、海外流出せざるを得なかったスタートアップ企業にとって、大幅な状況改善に向けて重要なステップとなっている。
しかしながら、日本の現行法では個人の暗号資産取引に関する所得はすべて総合課税の対象となり、その税率は5~45%(住民税を含めば最大55%)に達する。この課税方式は、個人の投資意欲を阻害する可能性があるとの批判もある。自由民主党のデジタル社会推進本部web3PTは昨年、「分離課税20%への見直し」を含む税制改正に向けた提言を行ったが、現在のところその決定は下されていない。