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ビットコインへの資金集中フェーズを示唆、ETH/BTCやドミナンス推移にも着目

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

マクロ経済と金融市場

19日の米NY株式市場では、ダウ平均株価は前日比106.5ドル(0.31%)安、ナスダック指数は32.0ポイント(0.23%)安で取引を終えた。

足元で原油高が続く中、インフレの高止まり、及びFRB(米連邦準備制度)の金融引き締め長期化懸念が強まった。米債券市場における長期金利の上昇も株や暗号資産(仮想通貨)などリスク性資産の重石となっている。

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仮想通貨市況

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン価格は前日比1.25%高の1BTC=27,129ドルに。

米連邦公開市場委員会(FOMC)直前とあり、米主要株指数や日経平均株価も膠着状態にあり、身動きが取りにくい状況にあるといえよう。FOMCの金融政策判断およびパウエルFRB(米連邦準備制度)議長の記者会見は、日本時間午前3時頃より発表予定だ。

金融政策は、「今回は金利据え置き」が選択するとの見方が大勢を占めており、年内にあと1回の追加利上げを以てようやく金融引き締めフェーズの終了が見込まれる。

ただし、FRBが重視するインフレ(物価高)抑制の観点から抑え込みが十分図れているとは言い難く、パウエル議長の発言内容は過去の経緯からもタカ派スタンスを踏襲する公算が高い。また、政策金利見通しの中央値を示す「ドット・チャート」の引き上げが起これば、一時的に市場がネガティブに反応する可能性もありそうだ。

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週足では、ブラックロックのビットコインETF(上場投資信託)申請前安値の25,000ドル水準底割れを否定して2週連続で陽線を付けており、下値を買う動きも見られる。

27,500〜28,500ドルのレジスタンスライン(①)を上昇ブレイクできれば、年初来高値かつトレンド転換が意識される32,000ドル水準(②)も見えてくるが、ここを打開するには燃料不足も指摘される。ETFを巡る進展があれば、相場の雰囲気が一変する余地はあろう。

一方、ハイテク株主体のナスダック指数が大幅下落し、連れ安するように1BTC=25,300水準を割り込んでくるようだと、キャッシュポジションへの逃避が進み、FTX崩壊前のレンジ下限である19,000ドル〜21,500ドルまでの下げに転じるおそれもある。

BTC/USD日足

時価総額2位のアルトコインであるイーサリアム(ETH)価格は冴えず、BTC建で上値を切り下げている。

ETH/BTC週足

地合い悪化によるアルトコイン相場からの資金流出および投機需要の沈静化に伴い、ビットコインETF(上場投資信託)のSEC承認確率を見据えた先回りの動きや2024年の「半減期」相場思惑のあるビットコインに資金が集中しつつあるのも一因だろう。市場占有率を示す「ビットコイン・ドミナンス」は再び上昇傾向にあり、節目の50%台で推移する。

過去の相場サイクルを振り返ると、18年1月のアルトシーズンに伴いに35.1%まで急低下した。しかし、その後の仮想通貨バブル崩壊を経てあるとコイン価格が暴落。騰落率ベースでは相対的に粘り強かったBTCに逃避資金の一部が集まった。

その後、1BTC=3,000ドル台で大底圏を形成。反発局面でもビットコインに資金が集まったため、ドミナンスは右肩上がりに上昇。1年8ヶ月後の19年9月には、2倍以上の水準となる73%に達した。

ビットコイン価格は20年5月の半減期直後から上昇したわけではなく、ドミナンスは同年9月までむしろ57.2%まで低下している。

背景にあるのが、20年夏にかけて台頭した第一次DeFi(分散型金融)ブームだ。その後ビットコイン価格はコロナ・ショック後の金融緩和相場も相まって上値を追う展開となり、20年12月には過去最高値の1BTC=2万ドルをマーク。21年4月の強気相場にかけて73.6%まで大幅上昇した。

ドミナンス推移

今後ビットコインに資金が一極集中した場合、BTC.Dの70%前後はひとつの節目となる可能性がある。過去の相場サイクルでは、長期的な弱気相場後はビットコインが相場を牽引し、その後の循環物色で、アルトコイン市場に投機的な資金が回る傾向が見られた。

かつてICOに参加したイーサリアムのクジラ(大口投資家)のウォレットアドレスから、クラーケンに送金されたことも売り圧力を示唆した。

ブロックチェーン調査会社K33リサーチは、「米連邦公開市場委員会(FOMC)会合前後で一時的にマーケットが不安定化する可能性はあるが、ビットコインと伝統金融資産との相関性が下がっている現状を踏まえれば、持続性には疑問が残る。」とし、「マクロ経済データに基づいた暗号資産(仮想通貨)取引は、あまり合理的ではない」との見解を示した。

現在のビットコインと米国株指数「S&P 500」、および逆相関傾向にあるドル指数(DXY)の90日間の相関係数は、それぞれ0.17、-0.14と無相関に近づいている。年初時点ではS&P 500との相関係数が0.56、ドル指数との相関係数は-0.46と連動傾向にあった。

また、K33リサーチの調査によれば、最大手取引所バイナンスにおける現物BTCの取引高(7日間平均)は、9月初旬以来57%減少した。米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースのBTC取引量は同期間に9%増加するなど明暗を分けた。

この点についてK33リサーチは、米司法省(DOJ)と米証券取引委員会(SEC)によるバイナンスへの訴訟及び調査が影響を及ぼしているとの見立てを示している。

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