CoinPostで今最も読まれています

大手VCパラダイム「仮想通貨は新たな惑星のようなもの」 投機需要も欠かせないと見る理由

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

新惑星への移住

暗号資産(仮想通貨)関連技術に特化した米大手ベンチャーキャピタルParadigm(パラダイム)は20日、「火星のカジノ」と題した論説で、仮想通貨を新しい惑星に例え、投機的な投資も「移住の起動プロセスの一部」として欠かせないものだと主張した。

論説を執筆したのはパラダイムの共同創設者で執行パートナーを務めるマット・ファング氏だが、パラダイムチームをはじめ、イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏やコインベースのブライアン・アームストロングCEOなども、ディスカッションとフィードバックで貢献したようだ。

論説に添えられたイラストとその説明が、ファング氏のユニークなコンセプトをわかりやすく表現している。

新しい暗号惑星。ビットコイナーがここの最初の入植者である。コインベースやバイナンスのような取引所は、この惑星への乗り入れを可能にする。イーサリアムが最大の都市で、そこでの最良の移動手段がユニスワップだ。

この惑星への入植者は、「フロンティア探検家や投機家(中には荒くれ者も)、イノベーターや研究者、そして普通の人々、特に地球では疎外されている人々」といった多様な集団。新しい惑星は、投機や誇大広告の繰り返しで社会的にタブー視されることも多い。統治は曖昧なままで、地球上の国の中にはこの惑星へ行くことを禁止するところもある。

ファング氏は、この新しい惑星が置かれた状況を、米国の西部開拓時代と比較し、次のように説明した。

1849年のゴールドラッシュがサンフランシスコを古風な村から主要港へ(そして最終的には技術革新の中心地)に変えたように、現在の仮想通貨への投機的な熱狂は、入植者を引きつけるとともに、不毛の惑星を繁栄する暗号文明に発展させるのに必要なインフラの触媒作用を起こしている。

そのため、今日見られる「カジノのような投機」は、この惑星=仮想通貨領域が自力で立ち上がるために必要不可欠なプロセスの一部であると、同氏は主張した。

技術革新に不可欠なもの

ファング氏は、投機的投資は技術革新には不可欠であると強調する。

歴史的に見ると、鉄道、自動車、電力、電気通信からインターネットなどの新興技術は、その台頭から普及に至るまで、投機と資産バブルと密接に関連してきたとファング氏は語る。

仮想通貨への投機は、この領域の注目や認識を高め、投資資金や人材の流入、インフラの構築、学術研究、そして既存の領域での採用などを促進することに役立っているという。さらに、「投機はデジタル財産権への”ハローワールド”である」とファング氏は指摘し、新たな財産権システムの構築につながっていると述べた。

新しい財産権システムの要は、「財産の移動を確実に記録すること」であるため、実験的に運用が開始されるが、一般に普及していない場合、その取引活動は正当性を欠き、投機的に見えると同氏。ビットコインの最初期の参加者は、新たな技術を試すことを単純に楽しんでおり、今日のような正当性と価値に達するとは想像できなかったという。

しかし、誕生から10年以上が経過した今、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨は、「投機的なおもちゃ」から「世界的な金融商品」へと順調に移行している。

分散型金融システムとしての仮想通貨の成長には、投機も欠かせない要素だ。

長期的な視野の重要性

ファング氏は、我々が現在当たり前のものとして使用している技術の多くは、かつては「不可能、使い道のない、危険、詐欺的」なものとして考えられていたと指摘し、以下のような例を示した。

  • 1980年の初上場時、マサチューセッツ州は、そのリスクを理由にアップル株の売買を禁じた
  • 1992年、インテルのアンディ・グローブCEOの発言:「全ての人のポケットに個人用の通信機器を入れるという考えは、欲望に駆られた夢物語だ」
  • 1865年、電話についてあるボストンの新聞の意見:「人間の声を電線で伝えることは不可能だ…仮に可能であったとしても、実用的な価値はないだろう。」

仮想通貨についても同様の批判がされているとファング氏は言う。社会には現状を支持し、変化を嫌う「強い偏見」があり、特に「破壊的な変化」については、懐疑的な見方が強くなる場合が多いと指摘する。

仮想通貨は、「貨幣、価値、ガバナンス、人間の協調性をめぐる深遠なアイデアに触れている」ため、このようなテーマに慣れていない人々にとっては、試してみることすら馬鹿げていると考える傾向にあるという。

しかし、このような基礎的な性質こそが、より良いものを構築することに前向きであることの理由だとファング氏。「新しい惑星」を訪れ、実際には何が構築されているのか、実際に人々が何を使用しているのかを観察してほしいと述べた。

関連:仮想通貨VC大手Paradigm、AI含むフロンティア技術へ投資領域を拡大

注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
11/29 水曜日
21:01
IOTA財団がUAEアブダビ当局と提携、エコシステム成長を促進
仮想通貨IOTAの研究・開発を行うIOTA財団は、UAEアブダビで、金融センターADGMと協力し、プロジェクトを成長させていくと発表した。
18:00
預けるだけで仮想通貨が増える?|CoinTradeのステーキングを解説
出典元:CoinTrade 2023年11月、ビットコイン(BTC)が年初来高値を更新したことをうけ、仮想通貨(暗号資産)業界は盛り上がりを見せています。 一方で「仮想通貨には…
16:28
米財務省 仮想通貨業界への調査権限拡大を議会に要請
米財務省がハマス制裁の一環として仮想通貨業界への調査権限を拡大へ。過激派組織のデジタル資産利用に対抗するための新たな法案を議会に要請し、アンチマネーロンダリング規制を強化する動きを加速。テロ資金の流れを追跡し、国際的な安全保障を高める目指す。
15:33
Coinbase顧客にBybit関連の「召喚状」通知、CFTCの動きに焦点
仮想通貨取引所Coinbaseが規制当局の召喚状について顧客に通知。Bybitの利用歴のあるCoinbase顧客に関する情報提供をCFTCが求める。Bybitは米国サービスを否定もVPNアクセスの可能性あり。Bybitは仮想通貨取引量トップ3で2,000万ユーザーを達成。
14:54
「中国の信用拡大はビットコインへの資本流入を促す可能性がある」ヘイズ氏
仮想通貨取引所BitMEXの共同創業者で元CEOのアーサー・ヘイズ氏は、中国における信用拡大が世界市場に波及し、結果的にビットコインなどのリスク資産全般への資本流入を促進するとの見解を披露した。
14:00
SNS連携のWeb3ウォレット「TIPWAVE」公開
NextmergeがX(旧Twitter)やDiscordユーザーに便利なWeb3ウォレット「TIPWAVE」を発表。SNSとの連携で暗号資産(仮想通貨)とNFTの利用が簡単に。ソーシャルメディアアカウントに対するNFT配布も可能になる。
12:40
ビットコイン投資商品9週連続の純流入、21年11月の「強気相場」以来最大規模に
暗号資産(仮想通貨)市場では、CME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)の先物OIがバイナンスを上回る規模を拡大。CoinSharesのデータではビットコインETPなどの投資商品に21年11月以来最大の資金流入を観測した。
11:30
Jドーシー氏、ビットコイン採掘分散化推進の「OCEAN」に投資
ムーモリン社のビットコインマイニングプロジェクト「OCEAN」が620万ドル調達。ジャック・ドーシーも支援し、ブロック報酬をマイナーに直接分配する革新的なアプローチを採用。暗号資産(仮想通貨)ビットコインの分散化と発展に寄与。
10:45
香港行政長官、Hounax詐欺事件について発言
香港の行政長官や規制当局責任者は、仮想通貨取引所Hounaxの詐欺事件について発言し今後の姿勢を示した。また香港警察が事件概要を説明している。
09:50
チェーンリンク、ステーキング機能をアップグレード
チェーンリンクは、ステーキングの新バージョンを仮想通貨イーサリアムのメインネットにローンチしたことを発表。特化する目標や移行スケジュールを説明している。
08:30
ドル円一時147.3円 コインベース株大幅高、米FOMC理事ハト派転換か
コインベースやビットコイン採掘関連株などはFOMC理事のハト派的な発言を受けて大幅に上昇した。今夜は米7-9月期四半期実質GDP改定値が発表される。
07:45
アニモカブランズ、TONネットワーク最大のバリデータに
香港のWeb3大手アニモカブランズは28日、TONのエコシステムに投資し、L1ブロックチェーン「TON」の最大のバリデータになったと発表した。
06:50
CZ氏、バイナンスUSの取締役会会長を退任
仮想通貨取引所バイナンスの米国部門バイナンスUSは、CZ氏が同社の取締役会の会長を退任すると発表。退任はCZ氏が決断したという。
06:10
米SEC、2つのビットコインETF上場申請でパブコメを募集
米SECは新たに、Franklin TempletonとHashdexの仮想通貨現物ビットコインのETF上場申請について、パブリックコメントを募集すると発表した。承認が近いとの意見も。
05:45
バイナンス、イーサリアムフォーク銘柄のパーペチュアル取引を提供
海外版仮想通貨取引所バイナンスは28日、新たに銘柄のパーペチュアル(無期限先物)取引を開始した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア