- 国民生活センターが仮想通貨トラブルの注意喚起
- 「上場予定の通貨がある」などと勧誘されて500万円を投じた男性の事例では、事業者側は、Aコインは消費者からお金を借りた担保としてのトークンであり、資金決済法に規定される仮想通貨でないと主張していた。
仮想通貨トラブルの事例
消費生活センターに寄せられた相談の一つに「新たな仮想通貨(以下Aコイン)が来月に上場予定なので、購入すれば将来的に儲かる」「上場されなければ契約先の事業者が買い取るためリスクはない」「Aコインは他の通貨と交換ができる」と謳うある事業者に勧誘を受けた男性が500万円を支払った、という事例があります。
その男性は事業者の説明通りスマートフォンに、海外にある仮想通貨交換業者のアプリを入れ、ウォレットを確認するとAコインが入金されたような表示が出力されたものの、Aコインは他の仮想通貨と交換ができず受けた説明と内容が異なったものとなっています。また上場しているかどうかも分からず、事業者に全額返金を求めるも買い取り人を探していると伝えられ、延々と引き延ばされる状況が続くといった内容です。
結果概要
その男性から相談を受け付けた消費生活センターは、事業者とやり取りをしたところ、相談者に一部資金が返金されたものの、 それ以上の話し合いは厳しい状況となっていました。
その後、消費生活センターは国民生活センターに相談をし、共同で処理を行うこととなりました。
両センターの聴き取り調査に対して事業者は、あくまでもAコインは消費者からお金を借りた担保としてのトークンであって、資金決済法に規定されている仮想通貨でないと主張し、上場予定の件に関しての回答も曖昧なものでした
問題点
- Aコインについて
事業者は、Aコインは仮想通貨ではなくトークンだと主張したが、トークンと称していたとしても仮想通貨に該当する場合がある。
- 海外の仮想通貨交換業者について
金融庁の事務ガイドラインによると、海外事業者も日本で仮想通貨交換業を行う場合は、資金決済法に基づく仮想通貨交換業の登録が必要となる。
まとめ
- Aコインの資金決済法に関する問題点以外にも、金融商品取引法上の集団投資スキームに該当する可能性がある
- 勧誘時に元本保証を示唆するような説明をしており、出資法の観点から検討する余地がある
- 上述したようなICOに関する事例も、金融商品取引法をはじめとする他の金融関係法規についても考慮が可能
その他仮想通貨トラブルの事例について
知人に将来100~1,000倍になる可能性があると何時間にもわたり勧誘され、約20万円分購入をするも、契約した商品名・サービス名は、実態不明な仮想通貨であり、連鎖販売取引における特定負担の内容が不透明であった。
ある日A社から電話にて「黄色い封筒が届いていないか」と聞かれ、そのときは届いていなかったが数日後に封筒が届く。 中にはパンフレットと案内状とみられるものが入っていた。
その後再度A社から電話が入り「その地域限定で配布されているパンフレットで、今後何倍にも値上がりする仮想通貨を購入することのできる権利なので譲ってほしい」と伝えられる。
他の業者からも同じ旨の電話がしつこくかかってきたので、A社に権利を売ると伝えると「B社に連絡して仮想通貨がどれくらい残っているか確認してほしい」と言われる。
その内容をA社に伝えると「早く仮想通貨を確保しないといけない。当社が高額で買い取るのでB社に電話をして、仮想通貨を買いたいと伝えてほしい」と返答を受け、お金がないと断るもしつこく迫られ怖くなりB社から仮想通貨を100万円で購入。
その後返金を求めるも一部が返済されただけで、全額返金はされなかった。
国民生活センターのウェブサイトにも記載されている通り、仮想通貨をめぐり投資や利殖をうたい購入や契約を勧める勧誘トラブルが高齢者を中心に増加しています。
「必ず値上がりする」などの説明をうのみにせず、リスクが理解できなければ契約をしないなどの対応が求められます。
参考記事:独立行政法人国民生活センター:新しく上場するという仮想通貨のトラブル