新たなカルチャー構築目指す
ビットコイン版NFT「オーディナル(Ordinals)」プロジェクトの一つ、Taproot Wizardsは16日、750万ドル(11.3億円)の資金調達を完了したことを発表した。このプロジェクトは、ビットコイン上での独自のエコシステム開発を促進し、新たな価値をもたらすことを目的としている。
同プロジェクトは、これまで同名のデジタルアーティファクツ・コレクション「Taproot Wizards」をリリースしており、熱心で高品質な急成長コミュニティが形成されている。このコレクションは、RedditのビットコインコミュニティOG r/Bitcoinのミーム「Magic Internet Money Wizard」に由来したものだ。
今回調達した資金は、独自のエコシステム「Wizard Village(魔法使いの村)」の構築に利用される予定だ。Taproot Wizardsの共同設立者であるUdi Wertheimer氏とEric Wall氏は、ビットコイン上での文化創造を目指すとTechCrunchに語っており、「新しいビットコインコミュニティを形成し、ビットコインの新たな未来を創造したい」との考えを示している。
資金調達ラウンドは、Standard Cryptoが主導し、StarkWare、Bitcoin Frontier Fund、Masterkey、Geometry、UTXO Management、Masterkey、Newman Capital、Collider Ventures、などが参加している。
関連:投資家関心継続のビットコインオーディナルとその競合、BTCエコシステムの近況は?
ビットコイン上でユースケースを確立
Wertheimer氏とWall氏は、自らのビットコインへの長年の関与を強調している。ただし、Wertheimer氏はビットコインの初期開発者ではなく、主にビットコインに関する記事やポッドキャストを提供してきた。
一方で、Wall氏はビットコインのアナリスト、研究者、投資家であり、ビットコインのライトニングネットワーク開発やStarkNet Foundationのボードメンバーとして活動している。
Taproot WizardsのリードインベスターであるStandard Cryptoは、彼らのマーケティング能力、そして過去数か月の技術的な取り組みに深い敬意を表して「WertheimerとWallは、この運動を主導するに相応しい」と述べている。
また、Taproot Wizardsが新しいビットコインインフラストラクチャの配信チャネルとしてブランドを活用し、ウォレット、NFTマーケットプレイス、レイヤー2(スケーリングソリューション)、Ordinalsの新たな仕様、そしてビットコインコア開発などに影響を与える可能性があると加えた。
関連:BRC-20とは?ビットコインのトークン規格がもたらす可能性と課題
オーディナルに対する賛否
オーディナル(Ordinals)はビットコインブロックチェーン上に永続的なデジタルアセットを作成するプロトコル。ビットコインの最小単位であるサトシに一意の番号を割り当て、特定の情報(例えば画像や動画、テキストなど)を関連付けて追跡するシステムである。
このプロトコルは、2021年11月のTaprootアップグレードで導入された技術的進歩により、意図しない形で実現可能になった。オーディナルはビットコインに新たなユースケースを生み出す可能性があると評価されているが、一部のビットコイン最大主義者は基本原理を汚すとしてこのシステムに批判的だ。
オーディナルの活動量増加はBTCユーザーに影響する部分がある。23年5月には、ビットコインネットワーク上の1日あたりの取引数は534,000件に跳ね上がり、2018年と2021年の強気相場を上回った。このうち65%がOrdinalsに関連していた。
この結果、ビットコインブロックチェーン上でのブロックスペースの競争が激化し、トランザクション手数料が高騰。手数料の高騰はマイナー(採掘業者)に利益をもたらし、セキュリティの堅牢性に貢献する一方で、ビットコインを利用する企業や個人にとっては負担になる。
関連:ミームコインの取引過熱、ビットコインのトークン規格「BRC-20」市場が急拡大