関係者インタビュー
NIDT(Nippon Idol Token)は、web3時代の女性アイドルを創造する「IDOL3.0 PROJECT」の独自暗号資産(仮想通貨)です。
IDOL 3.0 PROJECT(WHITE SCORPION)のメンバー候補生やオーディション内容が明らかになるにつれ大きく高騰するなど、国内4例目のIEO(Initial Exchange Offering)としても高い注目を浴びました。
本記事では、NIDTの運営企業であるオーバース社と協業するz gama studio社の水野氏及びcoinbookの奥秋氏・松田氏へのインタビューをもとに、国内4件目のIEO事例となった「NIDT」発行の裏側や、保有者へのユーティリティ、今後の展望についてご紹介します。
水野 信之助(株式会社z game studio)
サイバーエージェント、アベマTVなどのサービスに携わる。秋元康氏とは当時ご縁があった。NIDTポータルなどテクノロジー部門やファンサービスの開発、運用・保守、SNSを活用したコミュニティ開発などを担当。
奥秋 淳(株式会社coinbook)
銀行員出身。その後転職を経て独立し、コンサルティング業務などに携わる。資金決済法改正前の2018年に「暗号資産×エンタメ」というジャンルでの事業立ち上げを行うため、coinbookに参画。2020年10月にはSKE48のNFTトレカ事業などに携わる。
松田 千紘(株式会社coinbook)
新卒で人材系企業で正社員として働いた後、個人事業主としてNFT業界に転職。デジタルイラストのクリエーションを手掛ける。coinbookではNIDTに関するマーケティングやイベント業務を担当している。
1. IEOの手応え
NIDT(Nippon Idol Token)は、株式会社オーバースが発行・運営する日本発の暗号資産プロジェクトです。
国内では4例目となるIEO(Initial Exchange Offering)として実施され、国内取引所であるcoinbookとDMM Bitcoinに新規上場しました。coinbookでは個人投資家同士の板取引が可能です。
NIDTは新規アイドル創造プロジェクト「IDOL3.0 PROJECT」の独自トークンであり、現状のアイドル活動の課題点を解消するべく、web3版にアップデートするための中心的な役割を担います。
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1-1. NIDTの価格変動について
奥秋:
2023年4月のIEO直後には、公募価格の1NIDT=5.0円から1.2円ぐらいまで落ちるなど、波乱もありました。
当時は暗号資産相場の地合いも悪かったこともありますが、芸能界は情報の扱いに厳しく、思うように情報が公開できなかったこともあって、予想していたよりも伸びなかった時期は苦労しましたね。
それからも価格は8月の中旬頃まではずっと5円ぐらいで推移していたんですが、IDOL3.0 PROJECTオーディションの候補者情報が出てから多くの人の関心を集め、あっという間に20倍の1NIDT=100円台を超えたりしました。それでやっと一息つけた、という感じはありました。
今までの技術的な側面が強かったIEOとは違う手触り感のあるプロジェクトで、アイドル創造プロジェクトとしての期待感や、オーディションに出演したアイドル候補者の方々の魅力が相まって、『成功するかもしれない』と皆さんに思っていただけたことが大きいと思います。
IEO(Initial Exchange Offering)とは
web3関連企業やプロジェクトなどが暗号資産(仮想通貨)交換業者を介し、開発・発行する暗号資産を用いた資金調達を行うこと。
1-3. NIDTホルダーの特徴は
奥秋:
正確には把握しきれてないですが、おそらく3分の1くらいは暗号資産の個人投資家層と見ています。残りの3分の2ぐらいは本当に純粋なアイドルファン層ではないかと。IEOに参加してNIDTを買っても、基本的に長期保有みたいな。これから頑張るぞ、という熱心な人たちがホルダーとしていらっしゃるんですよ。
暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーンのことはよく分からないという方々も大勢いて、実際に問い合わせも沢山来てます。投資の一環でNIDTを保有するも、IDOL3.0 PROJECTについて調べていくうちに、候補生やアイドルに興味を持ち始める方も増えてきています。
やはり投資として何か買うとなったら、ユーティリティが気になりますよね。従来のアイドルファンの掴み方とは全く異なる方法でファンを増やせていると感じます。
2. 暗号資産(仮想通貨)取引所「coinbook」とは
2-1. coinbookの強み
奥秋:
coinbookは、取り扱っている暗号資産(仮想通貨)はNIDTとADAだけという、少し尖った取引所です。
後発の暗号資産交換業者として、一般の暗号資産交換業者に追いつけてない部分もあるので、まずは一般のお客さんでも買いやすい「販売所」を早めにリリースしたいなと考えています。
(*投資慣れしている人には板取引の方が人気だが、初心者には販売所の方が売買しやすい)
今さらビットコインを押し出しても容易にはお客様を獲得できないので、これからも面白いエンターテイメント系のプロジェクトを見つけて、IEOの実施や支援に注力していきたいです。
日本市場でちゃんとしたプロジェクトがきちんとIEOできるような環境が整っていくと面白いですし、IEOは後発取引所にとって大きなチャンスになり得ると考えています。
水野:
(プロジェクト運営側の)個人的な考えとしては、やっぱり取引所さんと上手く連携して、NIDT市場全体を盛り上げていかないと、本当の意味でプロジェクトの成功とは言えないと思うんですよ。
coinbookさんにはオーバースからも、口座開設が増えるアイディアとか、NIDTのメリットみたいな情報発信や企画をして、チームとして連携しながら一緒に運営させていただいています。coinbookさんは、エンターテイメントやアイドルに精通している暗号資産(仮想通貨)交換業者なので非常にありがたいです。エンタメ特化という色も素敵だなと思います。
奥秋:
結局「何でもできる」は、「何もできない(器用貧乏)」に等しいので、何かに特化してやっていかなければ優位性を作れないと思います。
2-2. coinbookがアイドル市場に参入した経緯
奥秋:
エンタメと暗号資産をテーマにしたビジネスを作ろうということで、coinbookが設立されたのが2018年の5月のこと。
同年1月に国内取引所から大規模な暗号資産不正流出事件があって金融庁の規制圧力が強まり、ガバナンスをしっかり整えないとライセンスが取れないから、と会社として頑張ってた時期にジョインしました。
登録は時間のかかるものだったし、途中で新型コロナウイルスの世界的なパンデミックが発生するなど苦しい状態の中で、2020年10月には「NFT(非代替性トークン)×アイドル」のNFTトレカというプロジェクトをSKE48さんとやらせていただく機会がありまして。
その後もエンタメ業界でいくつかお仕事をさせていただく中、「エンタメ色を強めにした暗号資産交換業」という特徴を押し出していく方向性で固まっていきました。
そのような経緯があり、2022年の初頭くらいにオーバースさんから「暗号資産のIEOを検討している」とのお話をいただいたので、「ぜひうちでやらせてください」とお返事して、2023年4月に実現した形です。
3. NIDTのユーティリティと今後の展望
3-1. NIDTのユーティリティは
水野:
NIDTが持つこれまで最大のユーティリティは、「WHITE SCORPION」のメンバーを決めるために実施したいくつかの投票に対して、より大きな影響力を持てるというところでしたが、今後はさらに魅力的なユーティリティを展開していきたいと思っています。
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奥秋:
オーバースでは、ある時点でのNIDT保有数量に応じて、特別なNFTのプレゼントやNIDTの還元企画を何度か行っています。例えば、クーポンコードをお客さんに配布して、お客さんがそのコードをポータルサイトに入力すると、保有枚数に応じてNIDTが配布されるという仕組みです。
3-2. NIDTの仕様やNFTについて教えてください
奥秋:
coinbookでは、NIDTを購入した方に対し、購入数を記録したクーポンコードを取引所からユーザーに送っておりまして。NIDTポータル(WHITE SCORPION OFFICIAL FANCLUB サイト)に入力すると、保有時期や数量が、DMMやcoinbookで合算されて反映されます。
水野:
NIDT専用のデジタルウォレットがあるわけではなく、現時点では取引所さんにNIDTが保管されている形です。今後配布する「NIDT」購入申込者向けや、オーディション期間中の記念NFTのチェーンは「Astar Network」を使用しています。
奥秋:
NFT自体は、WHITE SCORPION OFFICIAL FANCLUB サイトで、ユーザー様にユニークに付与させていただく予定です。
水野:
NFTの譲渡が可能かどうかは、種類によります。例えばスペシャルNFTは譲渡可能ですが、IEOの申込口数に応じて配布されるレジェンダリーNFTは譲渡のできないSBT(ソウルバウンドトークン)です。
3-3. 今後の展望は
水野:
NIDT保有者には、今後展開予定の「ファンクラブ」やNFTを使った「握手会」など、コミュニティ内で優遇を得られる形にしたいです。例えば、ファンクラブ内に「ランク」のようなものがあって、NIDTの保有量に応じて加速度的にランクが上がっていくような。
今後は、NFTを活用したコミュニティ形成や推し活の経歴をNFTで証明していき、NIDTや専用のNFTを持っていることで、アイドルの運営側からメリットを享受できる、というようなことを実現できたらいいですね。
もちろん、アイドルグループを運営していく上で、ファンの皆さまを巻き込んだ企画をする機会があれば、NIDTを持ってる方に方針を意思決定(選択)していただく、というような企画としてユーティリティを持ち出す可能性もあるかと思います。
4. IEOで資金調達したお金の使途
水野:
IDOL3.0 PROJECTは、オーバース代表による「既存のアイドル業界の課題点を解決し、アップデートしたい」という想いから生まれたプロジェクトです。ですので、まずはWHITE SCORPION(ホワイトスコーピオン)メンバーやオーディションファイナリストへのサポートを充実させていきたい。
その手段の一つとしてIEOで資金調達を実施しました。本当の意味での「IDOL3.0」を目指すため、メタバース(仮想空間)などバーチャルの空間を通じて日本だけでなく世界へ向けた発信に積極的にチャレンジしていこうという志の部分があります。
最終的には、グローバルに活躍できるアイドルグループを創るというところをIEOの調達資金で達成しなければならない。
そのほか、ゲームやNFTを使ったユーザーさんとのコミュニケーションみたいなところを、ブロックチェーン技術の良さを活用した仕組みとして実現していきたいです。
5. まとめ
以上、国内4例目のIEOとして注目を浴びた暗号資産「NIDT」に関する関係者インタビューでした。
次の記事では、暗号資産「NIDT」と深い関係のあるIDOL 3.0 PROJECTから誕生したアイドルグループ「WHITE SCORPION(ホワイトスコーピオン)」に関する貴重なインタビュー内容をお届けします。