「ビットコインは何もしない」と意見
米金融大手JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは17日、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)に対して改めて懐疑的な態度を表明した。米CNBCが報じた。
ダイモン氏はブロックチェーン自体については有用な技術だと評価している。さらにスマートコントラクトを搭載する仮想通貨は、それらを用いて例えば不動産の売買を行ったり、データを転送したり、資産トークン化を行うことができると指摘した。
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スマートコントラクトを備える仮想通貨としてはイーサリアム(ETH)が代表的だ。
スマートコントラクトとは
あらかじめプログラムされた条件に応じて、自動的に契約を執行する仕組みを指す。契約を締結する際には、仲介者や契約書作成などの事務作業が必要になる場合が多いため、自動的に契約を執行できるようにすることで、効率性向上やコスト削減などが期待できる。
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ダイモン氏は、「ビットコインは何もしない」と述べた。スマートコントラクトのような機能がないことを示唆した形だ。ビットコインに使用例があるとしても詐欺、脱税、人身売買に用いられており、個人的には関わらないことを勧めると意見した。
ダイモン氏は、昨年12月にも米議会の公聴会で、「私は常にビットコインなどの仮想通貨に強く反対してきた」と発言。理由としてマネロンなど犯罪に使用されることを挙げている。
なお、JPモルガンはブロックチェーン事業には積極的で、デジタル通貨「JPMコイン」を提供している。また、昨年11月には現実資産(RWA)トークン化の概念実証でアバランチ(AVAX)の技術を活用すると発表した。
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ブラックロックCEOは肯定派に転向
米金融大手ブラックロックのラリー・フィンクCEOは、ダイモン氏とは対照的にビットコインに対しての意見を変更している。以前は批判的であったが現在は、インフレヘッジとなる資産の一つとして評価する形だ。
ブラックロックは、米証券取引委員会(SEC)の承認を受けてビットコイン現物ETFの提供を開始したところである。
一方、ダイモン氏が批判しながらも、JPモルガンは業務上、ブラックロックが提供するビットコインETFの指定参加者(AP)として流動性を提供したりしている。
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ビットコイン版NFTやレイヤー2
ビットコインに関しては、レイヤー2などで様々な機能を持たせる取り組みが進められているところだ。
例えば、OrdinalsやBRC-20向けに、Solidity(イーサリアムのプログラミング言語)で書かれたスマートコントラクトを展開することができるプロジェクト「Bitfinity」が、合計700万ドル(10億円)を調達している。
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Ordinalsは、2023年1月に導入されたプロトコルで、ビットコインの最小単位であるサトシに番号を割り当て、画像やテキストなど特定の情報を関連付け、それらを追跡するシステムだ。ビットコイン版NFT(非代替性トークン)とも称される。
BRC-20は、ビットコイン用の実験的なトークン規格で、Ordinalsと同様の枠組みで作成されており、サトシに特定のデータを刻印できるものだ。なお、BRC-20自体はスマートコントラクトを持たない。
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