制裁回避でUSDTの利用増加か
南米ベネズエラの国営石油会社PDVSAは、米国による同国への石油制裁の再発動に伴い、原油と燃料の輸出において暗号資産(仮想通貨)の利用を増やす計画だ。関係筋3人の情報として、ロイター通信が23日に報じた。
PDVSAは昨年から、石油販売で米ドル建てステーブルコインUSDTの利用を増やしていたが、関係筋によると、制裁の復活で利用が加速しているとされる。
USDTの使用により、売却代金が海外の銀行口座で凍結されるリスクを軽減する狙いがある。
背景として、昨年より米国はベネズエラの石油・ガス部門との取引を認める一般許可証を出していたが、これを中止する計画だ。制裁緩和の条件であったベネズエラの大統領選を公正にすることなどが実施されていないとする形だ。
5月31日以降は、ベネズエラと取引する米国企業は、個別の許可証を得なければならない。個別認可取得には時間がかかるため、ベネズエラの石油収益が低下すると考えられている。
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ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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新規顧客にはウォレット開設求める
ベネズエラのペドロ・テレチェア石油相は、売買契約には様々な通貨を使用しているが、一部の契約ではデジタル通貨が優先される支払い方法となる可能性があると話した。
ベネズエラ国営石油会社PDVSAは、以前より石油取引などの決済にUSDTを導入している。今年3月末までに、スワップを伴わないスポット石油取引の多くについて、USDTで半分を前払いさせる契約モデルに移したところだ。
さらに、石油の新規顧客に対して、デジタルウォレットに仮想通貨を保持しておくことを要件として求めている。
ある取引事業者は、USDTによる取引という要件は、どんな石油トレーディング企業のコンプライアンス部門も認めないだろうと述べた。そのため、USDTを取引に使おうとすれば何らかの仲介事業者と協力する必要があると続けている。
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デジタル人民元による原油取引
デジタル通貨による石油取引としては、昨年10月に中国人民銀行が進める中央銀行デジタル通貨(CBDC)のデジタル人民元での事例がある。
国際的な取引で、ペトロチャイナ・インターナショナルが原油100万バレルを購入した。売主と取引価格は明かされていない。こうした取引が、クロスボーダー決済での人民元の使用拡大や、脱ドル化に向けた動きの一環になるとの意見も聞かれるところだ。