CARVの強みを解説
高度に情報基盤が整った現代では、SNSや仕事、コンテンツ閲覧などを通して、インターネットに接続している誰もがデータを生み出し続けています。実際に近年では、地球上に存在する全ての人がそれぞれ60秒ごとに1.7MBのデータを作成しているという統計も。
テクノロジーの爆発的な発展と普及に伴って利便性が向上した一方、膨大なデータを少数の企業に長期間把握される危険性は高まり続けています。企業が集めたデータを基に大きな収益を上げる一方で、ユーザーへその利益が還元されることはなく、データの用途に関する透明性も殆どありません。
データの所有と分散化を可能にするブロックチェーン技術はこういった問題を解決に導く可能性がありますが、まだ十分に大衆へ普及されているとは言えません。
「CARV」は単なるdApps(分散型アプリケーション)ではなく、インフラストラクチャ(CARVプロトコル)とアプリケーション(CARV Play、AI CARA)戦略を組み合わせています。また、最先端のブロックチェーンゲーム、AI(人工知能)など多種多様な用途を想定したモジュール式データ層を構築しており、データがすべての人に価値を生み出す未来を切り拓いています。
公式サイト:https://carv.io/
ホワイトペーパー:https://docs.carv.io/
- 目次
1. 個人がデータを所有するAI・ゲーム基盤「CARV」とは
CARVは、個人が生成するデータの主権を個人に戻し、そのデータを中心とした独自の経済圏を構築するWeb3インフラストラクチャー。CARVのエコシステムは、CARV Protocolをベースにした「CARV Play」と「CARV AI」の2つのサービスから構成され、個人ユーザーがゲームプレイやAIシステムの使用を通じてインセンティブ利益を享受できます。
企業やビジネスはCARVを利用することで、高度なプライバシーと規制に準拠したユーザーデータへのアクセスを取得。取得したデータは、事業やプロジェクト運営に活用できます。
冒頭でも触れた通り、データ社会は個人に利便性とカスタマイズされた体験を提供する一方で、データの利用方法やセキュリティに関するリスクを抱えています。
これらの問題を受けて、データを分散管理できるブロックチェーンを活用したWeb3が2020年前後から盛り上がりを見せていますが、「ユーザー体験が複雑化する」「デジタル資産を分散管理するのにコストがかかる」などの課題があるのも事実です。
CARVは元々ゲームに特化し、プレイヤーのクレデンシャル(証明書や実績)を管理するシステムとして設計されていましたが、この問題を受けてゲームとAIの汎用データレイヤーへと進化を遂げました。
2. CARVのレイヤー構造と「CARV Protocol」
CARVの特徴は、データの所有権を提供者に帰属させ、同エコシステム内での様々な経済活動に参加できる点です。個人ユーザーはデータの所有権を自らで持ち、その利用方法や収益方法を自身の管理下におき、データを活用して直接利益を獲得できます。
2-1. CARVのレイヤー構造
CARVの具体的なレイヤー構造をご紹介します。
- Onboarding:オンボーディング
- Participation:参加
- Monetization:収益化
Onboardingは、Web2ユーザーとWeb3ユーザーがCARVエコシステムに参加するためのプロセスを提供するレイヤーです。Web2ユーザーはソーシャルメディアのアカウントやスマートフォン、E-mailを使ってログインし、CARVアカウント(AAウォレット)を作成、Web3ユーザーは、Web3ウォレットを介してログインしてWeb3 DID(分散型ID)を作成します。
Participationレイヤーは、実際にユーザーが情報を提供・管理するレイヤーです。ユーザーが提供したデータは、後述するCARV Protocolにより認証されます。認証にはCARV ID(ERC7231)・CARV Link・EthSign、保存と管理にはCARV DBやカスタマイズされたストレージが使用されます。
これらをベースにデータ処理とAIモデルによるトレーニングが実施され、複数の検証レイヤーによりデータと取引の信頼性が確保される流れです。
Monetizationは、実際にユーザーが収益を得られる仕組みが構築されているレイヤーです。Web2ユーザーはFiat Off Rampを通じて法定通貨に交換可能で、Web3ユーザーはWeb3ウォレットでトークンを受け取ることができます。また、ゲームとAIのディベロッパーはゲーム作成やAIモデルの開発による収益化が可能です。
2-2.CARV Protocol
CARV Protocolとは、ゲームやAIの分野でのデータ交換とそこで創出される価値の分配をスムーズかつ柔軟に実行できるモジュール化されたデータ層です。以下の5つのモジュールから構成されています。
- Identity:CARV ID・CARV Link・EthSignによるデータ認証
- Storage:CARV DBやカスタマイズされたストレージへのデータ保存
- Computation & Training:保存されたデータをデータトレーニングやAIモデルの構築に活用
- Excution:CARV Smart Contractを使用したモジュールで、ユーザーから提供されたデータを基に様々な処理を実行
- Verification:複数のVerifiVerifierから構成され、提供されたデータの信頼性を担保
これらの5つのモジュールがそれぞれで作用し合い、データの認証や保存、トレーニングなどが実現します。
3. CARVのサービス「CARV Play」と「CARV AI Agent」
またCARVは、CARV ProtocolをベースとしたCARV PlayとCARV AIの2つのサービスを展開している点も特徴です。
3-1.CARV Play
CARV Playとは、CARV Protocol上に構築されたWeb3ゲーム配信・ソーシャルプラットフォーム。CARV Playを通じて、プレイヤーは好きなゲームを思う存分楽しむことができ、ゲーム記録を一つのプロフィールに統合して振り返ることも可能。
また、自分と価値観の合う人々同士が集まるコミュニティで、新しいゲームを見つけたり、特別なイベントに参加したりして共通の趣味を持つ仲間と交流できます。
ゲーム開発者には、多くのゲームユーザーにアプローチできる機会を提供。開発したゲームの面白さをユーザーに伝えることで、コミュニティ内の熱狂的なファンへと育てられるでしょう。
3-2.CARV AI Agent
CARV AI Agentは「Cara」とも呼ばれる、CARV Protocolをベースに構築された生成AIアシスタントです。ユーザーから得られた情報に基づき、Web3ウォレット・IDのシームレスな統合など、パーソナライズ化された特別な体験を提供します。
Caraを活用すれば、パーソナライズ化されたおすすめのゲームやコミュニティを安心して楽しめるのが特徴です。他にも、自信がエアドロップの条件を満たしているかの確認や、CARV上で報酬ベースのクエストを発見して参加するサポートの提供も可能です。より一層、充実したゲーム体験をユーザーへともたらします。
4. CARVの実績と強み
ゲーミング・AI市場最大のモジュラー型データレイヤーを構築している、CARVの実績と強みについても紹介します。
4-1.ユーザー数
CARVは2024年5月下旬時点で、既に250万人以上の登録ユーザー(CARV Playに登録)がいます。ユーザーはWeb2及びWeb3上でゲームをプレイできる他、データを共有し、報酬を受け取ることが可能です。
過去四半期の1日平均ユニークアクティブウォレット数(dUAW)は50万以上であり、Linea、opBNB、zkSync、Roninなどのブロックチェーン上で最も活発なエコシステムの一つです。
4-2.過去の資金調達
CARVは、過去に大規模な資金調達を実施しています。例えば2022年11月には、Vertex Ventures主導の下、400万ドルの資金調達をしました。この資金は、ゲーム関連の認証インフラやオンボーディングの構築に使用されています。
また2024年4月には、Tribe CapitalとIOSG Venturesが主導するシリーズAラウンドにて、1000万ドルの資金を調達しました。この資金は主に、CARVのデータレイヤーの拡張に用いられています。
4-3.パートナーシップ
まず挙げられるのが、Google Cloud及びAethirとの提携です。この提携により、強力なインフラを構築し、Web3分野のAIプロジェクトでユーザーに価値ある体験を提供できるようになりました。
2024年3月には、韓国の大手ゲーム企業「ネットマーブル」のブロックチェーンに特化した小会社であるMARBLEXと戦略的提携を発表しました。
この提携により、MARBLEXはCARVの強力なデータレイヤーを活用し、Web2およびWeb3プラットフォーム、ゲーム、およびデバイス全体におけるユーザー行動に関する新たな洞察を得ることが出来ることが期待されます。
さらにCARV Protocolは、Illuvium、Off the Grid、Aperion、Pixelmonなどを始めとする合計780以上のWeb2及びWeb3のゲーム・AI企業のエコシステムと統合。これにより、ユーザーのターゲティング、ユーザーインサイトの分析、ゲームプレイヤーの利用継続率の向上などが図られています。
5. エコシステム(経済圏)やトークンについて
CARVエコシステム内で利用可能なネイティブユーティリティトークンが、「CARVトークン」です。プレイヤーに対してデータ所有権を付与する他、トークン保有者はエコシステム内で様々な経済活動を実行できます。
5-1.CARVトークンの具体的な用途
例えば、個人ユーザーはCARVトークンをエコシステム内のガス代の支払いやゲーム内アセットの購入資金に充てることが可能。
また、CARVエコシステムでデータ所有権を持つ個人や組織が、同エコシステム内で活動する際のインセンティブとしても機能します。参加者は様々な経済活動により収益が得られる可能性があるため、エコシステムの持続的な活性化と長期間にわたる成長を促進すると考えられるでしょう。
加えて、CARVトークンは等量のve(voting-escrow)CARVトークンに変換可能です。veCARVトークンは譲渡不可能で、主に以下の用途に利用されます。
- CARVプロトコルのガバナンス(プロトコルの発展や運営に関する意思決定)
- データ保有者、提供者、消費者へのインセンティブ
- P2Eシステム「Infinite Play」のガバナンス投票
- P2Eシステムでの投票権をエクスプールオーナーに委託した報酬
- ネットワークをサポートするノードオペレーターへのインセンティブ
veCARVトークンをCARVトークンに交換するには、アンロック期間が必要です。期間中はガバナンス投票に参加できませんが、この期間が長いほど交換レートが高くなり、最大で100%に達します。
150日間を選択して100%引き出す場合、バーンはありません。90日間を選択した場合、60%を受け取ることができます。残る40%の内、半分は運営のためのトレジャリーウォレットに行き、残りの半分はバーンされます。
これは長期保有者にとって有益な仕組みです。なぜなら、早期に引き出す人はトークンバーンの対象になるからです。
5-2.初期のCARVトークン配分
CARVの総供給量は10億枚であり、Token Generation Event (TGE) より4年間かけて、先述した用途で利用可能となります。TGE実施後の4年間のCARVトークンの初期の配分先と配分割合は、以下の表の通りです。
配分先 | 供給量 | 割合 | 詳細 |
---|---|---|---|
ノードとコミュニティ | 5億枚 | 50% | プロジェクトの成功に貢献するコミュニティとノードへの報酬 |
創設チームとアドバイザー | 1.7億枚 | 17% | 創業チームとアドバイザーへの報酬 |
早期投資家 | 1億枚 | 10% | 早期からプロジェクトを支援する投資家への報酬 |
プライベートファンドレイジング | 1億枚 | 10% | シリーズAとそれ以降の資金調達に参加する投資家への報酬 |
エコシステムと財務 | 9,000万枚 | 9% | プロジェクト側が開発・発展のために保持する |
流動性 | 4,000万枚 | 4% | 流動性を確保するための保有される |
6. CARVの今後の展望
CARVは、ネットワークの拡大とユーザー収益の向上を目指して、2024年6月上旬頃に軽量型ノード運営を一般ユーザーに公開する予定です。ユーザーはノード販売を通じて検証ノードの運営権を取得でき、報酬としてCARVトークンを受け取れます。
総供給量の25%にあたる量が段階的にユーザーに配分され、データ処理の信頼性の強化やネットワークの分散化などが図られます。
またCARVは、コミュニティの提案に基づき、最初のノード購入者に6カ月間の100%回収プランを提供する予定です。条件を満たすユーザーは、80%分のETHもしくは100%のCARVトークンの回収を申請できます。この取引には、契約を自動化するスマートコントラクトが活用されます。
7. CARVの将来性
CARVは、個人のデータ所有権を強化し、エコシステム上でデータの分散や有効活用、さらには収益化を可能とするプラットフォームです。
CARVは現在ノードのサポート強化に注力しており、将来的には、ノードネットワークの応用を拡大し、データレイヤーの検証、オラクルの実装、さらには自社のニーズに基づく独自ネットワークの運用を計画しています。データストレージ機能に興味を持つAvailなどの主要プロジェクトとすでに議論を進めています。
もう一つはオラクルの実装です。
多くのゲームやノード運用には、ゲーム固有またはより互換性のあるオラクルメカニズムが必要であり、これにより検証ネットワークの使用例が拡大します。将来的なビジョンとしては、独自の検証ネットワーク、処理能力、およびデータレイヤー(データ可用性とストレージを含む)を持つことが含まれます。
さらに、CARVはAI(人工知能)の統合にも取り組んでおり、AethirとGoogle Cloudとの協力を発表しました。
Aethirは分散型GPUネットワークを提供し、Google CloudはCPU、ネットワークリソース、CDNなどのインフラを提供します。CARVはこれらのインフラとGPU能力を接続する中間層として機能し、独自のAIエージェントアプリケーションを持ち、fetch.aiの機能を統合しています。
将来的には、CARVを中心とした包括的なAIエコシステムを構築し、インフラとデータの統合を進める計画です。これにより、技術インフラの拡充とAIエコシステムの発展を目指しています。
次世代を担う情報システムとなり得るCARV。初期のノード購入者には魅力的な特典もあるので、実際に利用してみてはいかがでしょうか。
公式サイト:https://carv.io/
ホワイトペーパー:https://docs.carv.io/