- Consensysが宇宙開発企業Planetary Resourcesを買収
- イーサリアム上のプロジェクトに幅広く投資やサポートを提供しているConsensysが今週宇宙開発企業Planetary Resourcesの買収を発表した。SpaceX等で民間宇宙旅行が期待される中、ブロックチェーン技術の宇宙での活用が新たに着目されている。
Consensysが宇宙開発企業Planetary Resourcesを買収
宇宙探索のエキスパートが率いるPlanetary Resources
イーサリアムのブロックチェーン・スタートアップに幅広く投資やサポートを提供しているConsensysが、宇宙開発企業Planetary Resourcesを買収したと発表した。
今回の買収により、Planetary Resourcesの社長兼CEO、Chris Lewicki氏および顧問のBrian Israel氏がConsenSysに籍を置き、ConsenSysはワシントン州レドモンドにあるPlanetary Resourcesの施設から宇宙計画に向けての開発を続ける。
Lewicki氏は過去に無人探査機などの研究開発・運営を行うNASAのジェット推進研究所で、無人火星探査車「Spirit and Opportunity Mars rovers」や火星探査機「Phoenix」でフライト・ディレクターを務めた宇宙探索におけるエキスパートだ。
また、Planetary Resourcesで顧問を務めるIsrael氏はPlanetary Resourcesに入社する前はアメリカ国務省の法律顧問室の宇宙空間、海洋、国際的な環境ガバナンスに関する国際的な法的側面を担当している等、精鋭揃いといって過言ではない。
またイーサリアムの共同設立者でもあるConsensysの共同設立者ジョー・ルビン氏は、同社のエコシステムに深宇宙能力を取り入れることについて、「イーサリアムがスマートコントラクトを通し、人類が新しい社会ルールシステムを築く手助けとなる可能性」と、「人類を結びつけ、人間の未知の可能性を広げるための宇宙開発の民主化と地方分権化」に対する同社の信念を反映していると声明書で述べている。
Consensys:宇宙ベンチャーに乗り出す可能性
Planetary Resouces顧問のIsrael氏はイーサリアム・ブロックチェーンの宇宙における活用方法について以下のように述べた。
イーサリアムのスマートコントラクト機能は宇宙におけるコマースの自然なソリューションだ。宇宙は人間にとって唯一領土権が決定されていない領域で、そのような環境で様々な国家が連携して取引するにはイーサリアムがうってつけだ。
金融、送金や銀行を始め、サプライチェーン、医療等、様々な分野でブロックチェーンの採用が進められているが、宇宙でのブロックチェーンは未だ開拓されつつある新分野である。
現時点ではアメリカ航空宇宙局(NASA)が宇宙探索機の操作を自動化するイーサリアム・ブロックチェーンベースのシステム開発をサポートしているほか、欧州宇宙機関(ESA)が機関の管理プロセスの最適化にブロックチェーンを活用できる可能性を探索している。
また衛星にすべてのブロックチェーンノードを配備するプロジェクト「SpaceChain」、ブロックチェーンベースのSNSを立ち上げ、クラウドソーシングやクラウドファンディングを活用することで宇宙の民主化を目指すSpace Decentralなども注目されている。
しかし今回、イーサリアム上で開発されているプロジェクトを世界中で50以上サポート、またプロデュースしているConsensysが宇宙開発の領域で先進的な企業を買収した点は注目に値すると言える。
民間宇宙旅行の将来性
ひと昔前までは地球からはるか遠く離れた存在だった宇宙は、最先端技術の急速な進歩により、一般人にも可能な日が近づいてきている。
電気自動車Teslaのイーロン・マスク氏が運営する民間ロケット企業Space Xは2023年以降に民間月旅行の開始を計画している。今年9月には、日本のファション通信サイト「ZOZOTOWN」運営企業スタートトゥデイの前澤友作氏が初搭乗者になると発表され、話題となった。
The first private passenger to fly around the Moon aboard BFR is fashion innovator and globally recognized art curator Yusaku Maezawa.
— SpaceX (@SpaceX) 2018年9月18日
マスク氏と前澤氏の挑戦が宇宙旅行や観光の実現という形で人類と宇宙をリンクさせようという試みであるのに対し、Consensysの挑戦はそうした将来的な宇宙ビジネスのエコシステムをブロックチェーンでサポートすることで、人類と宇宙をより近づけようという試みだ。
民間の宇宙ベンチャーではAmazonのジェフ・ベゾス氏やVirginグループのリチャード・ブランソン氏も、それぞれBlue OriginとVirgin Galacticを立ち上げ参戦している。今後様々な宇宙ビジネスや探索が加速するにともない、宇宙分野でのブロックチェーン採用も活発化していくだろう。