仮想通貨取引所EllipX開設へ
2014年に破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所マウントゴックスの元最高経営責任者(CEO)マルク・カルプレス氏が、新たな取引所の設立を公表した。The Blockの取材によると、今年9月末、ポーランドを拠点とする「EllipX」の運営を開始する予定だという。
I've been watching how things evolved after MtGox's collapse while dealing with the case itself, and while some things have changed unrecognizably, there is still a lot of work needed to make cryptocurrencies safe, easy, and useful for everyone. Now that the MtGox distribution…
— Mark Karpelès (@MagicalTux) August 30, 2024
カルプレス氏は自身のSNS投稿で、「既存の取引所よりも透明性が高く、ユーザーフレンドリーな取引所を目指す」と述べている。同氏は先月、分散化された多者間計算(MPC)技術を基盤とするウォレット「EllipX」をリリースしており、今回の取引所設立はその延長線上にあると見られる。
注目すべきは、2010年から2014年までのマウントゴックス利用者を対象としたNFT(非代替性トークン)の無料配布だ。「MtGox NFT」と名付けられたこのトークンの保有者には、新取引所での取引手数料割引特典が付与される予定だ。
カルペレス氏は「マウントゴックスの破綻後、仮想通貨業界は大きく変化したが、誰もが安全かつ容易に利用できる環境の構築にはまだ多くの課題が残されている」と指摘。「マウントゴックスの破綻を防ぎ得た技術が現在存在するにもかかわらず、情報や資源の不足により広く採用されていない現状を変える必要がある」と述べ、新プロジェクトへの意欲を示した。
同氏はまた、以前から計画していた「Ungox」プロジェクトについても言及。これを独立した非営利組織として立ち上げ、各取引所や仮想通貨プロジェクトの違い、およびそれらに伴うリスクの理解を促進する取り組みを行うとしている。
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EllipX Walletの立ち上げ
カルペレス氏は先月、「EllipX Wallet」をリリースした。このウォレットは、デジタル資産の所有権を強化することを目的としている。
EllipX Walletの特徴は、最新のMPC(多者間計算)技術を採用している点だ。カルペレス氏によると、このウォレットは「銀行のアプリケーションと同じくらい簡単にセットアップできる」という。
従来の暗号資産ウォレットでは、秘密鍵やリカバリーフレーズを紙に書いて保管する必要があり、紛失のリスクが常につきまとっていた。しかし、EllipX Walletはこの問題を解決し、ユーザーが自身の暗号資産をより安全かつ容易に管理できるようにすることを目指している。
カルペレス氏は「ユーザーが自分の暗号資産を完全にコントロールできるようにすることが重要だ」と強調している。
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