納税面などでマイナーへの監視強化
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、暗号資産(仮想通貨)マイニング事業者の登録管理権限を、デジタル開発省から連邦税務局(FTS)に移管する法律に署名した。地元メディアIzvestiaが25日に報じた。
この新しい法律により、税務局は、マイナーによる仮想通貨の売却注文のすべてを監視できるようになる。それぞれのアドレスや取引履歴なども把握することが可能だ。
仮想通貨マイナーへの課税を厳密に行うための措置であると考えられる。
さらに、当局や捜査官の関連データへのアクセスも拡大する。データは、ロシア連邦金融監視局、保安庁、税務局、その他の連邦機関、また要求に応じて検察庁、捜査機関にも提供される。
今回の新法案は、エネルギー問題に対応する条項も含んでいる。各地域が、仮想通貨マイニングに対する一時的な禁止を発令できるようになるものだ。ロシア当局は最近数か月、特にイルクーツクの違法マイナーが電力不足を引き起こしているとして取り締まりを行っている。
今回の法律に先立ち、プーチン大統領は8月、仮想通貨マイニングを合法化する法案に正式に署名していた。
法律によると、マイニングの権利を持つのは、登録されたロシアの法人と個人起業家のみとなる。ただ、政府が設定した電力消費上限を超えない個人は、登録していなくても仮想通貨をマイニングすることが可能だ。
ロシアは、経済制裁の回避や、米ドルに代わる決済システム構築のために仮想通貨に注目している。プーチン大統領も「仮想通貨は有望な経済分野」だと認識しているところだ。
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マイニングに関する法律の影響
ロシアを拠点とするビットコインマイニング企業BitRiver(ビットリバー)のコミュニケーション担当責任者を務めるオレグ・オギエンコ氏は、7月時点で、仮想通貨マイニングに関する法的枠組み導入について話していた。
まず、雇用創出や税収、IT開発などの面でプラスの影響を与えるだろうと述べている。さらに、電力網の改善についても次のように続けた。
マイニング事業は、その機動的な能力を利用してエネルギーシステムのバランスを取ることができる。電力需要のピークを乗り切ることを助け、実際に産業用消費者の最終価格を引き下げ、炭素排出量の削減にも貢献する。
マイニングが盛んな米国テキサス州でも、仮想通貨マイナーが夏や冬の電力供給ひっ迫時に一時的に稼働を停止して対応することが知られている。また、マイナーは余剰電力を安定的に消費することで、不安定な自然エネルギー電力会社の収益にもプラスになると論じられているところだ。
オギエンコ氏は「マイニングはクロスボーダー決済に使える仮想通貨の流動性の源」だとも話した。
ロシアは、商品やサービスの決済に仮想通貨を使用することを禁じている一方で、外国との貿易活動における支払い手段として実験的に仮想通貨の使用を許可する法律も承認している。
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