ビットコインのファイナリティと同等に
ビットコインのレイヤー2プロジェクトStacks(STX)は29日、トランザクションの高速化を実現する「ナカモト アップグレード」を有効化したと発表した。ナカモト アップグレードは、Stacksブロックチェーンの設計の問題点に対処するもので、同チェーンにとって大きな前進を意味する。
The Stacks Nakamoto Upgrade is live 🧡
— stacks.btc (@Stacks) October 29, 2024
1. Stacks transactions once confirmed are now at least as irreversible as Bitcoin's.
2. A significant reduction in transaction times.
3. The technical foundation for sBTC launching later this year.
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Stacksは、ビットコイン・ブロックチェーンのセキュリティを使用する、分散型アプリケーションとスマートコントラクト用のオープンソースネットワーク。Stacksは、トランザクションとStacksブロックがビットコインに固定されるProof of Transfer(PoX)と呼ばれる合意形成アルゴリズムを使用している。
ナカモト アップグレードで最も注目される点は、Stacksとビットコインのファイナリティとの連携が強化されることだ。これは「根本的な変化」であり、Stacksは、ビットコインから離れて単独でフォークすることが不可能になる。
Stacksの共同創設者であるMuneeb Ali氏は、「Stacks L2をフォークする唯一の方法は、ビットコイン自体を再編成(reorg)することだ」と述べている。
マイナーのハッシュパワーが大きいビットコインブロックチェーンで再編成を行うのは、金銭的にも計算リソースの面でも非常に困難であり、ビットコインの不変性に貢献している。
アップグレードによってStacksは、このようなビットコインのセキュリティ機能の恩恵を受けるため、Stacksのトランザクションは一旦承認されると、ビットコインと同等の不可逆性を持つことになる。
再編成(reorg)とは
reorgとはReorganizationの略で再編成という意味を持つ。ブロックが生成されるタイミングで、ブロックチェーンが分岐した場合、最も長い履歴のブロックチェーンが残り、短い履歴のブロックチェーンが削除され、チェーンが再度統合されることを指す。
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サトシ・ナカモトの願いを叶える
Ali氏は、ビットコイン(BTC)の生みの親であるサトシ・ナカモトは、ビットコインのハッシュパワーを利用したサイドチェーン「Namecoin」上で追加のアプリを開発するという構想を持っていたが、これまで実現することがなかったと指摘。
しかし、今回のStacksのナカモト アップグレードによって、Stacks上のトランザクションはビットコインのハッシュパワーによって安全性が保証されることになり、サトシが提示した問題を解決するに至ったことは、大変感慨深いと語った。
ブロックの高速化とsBTC
今回のアップグレードにより、Stacksのブロック生成がビットコイン(BTC)ブロックチェーンから分離され、より高速で効率的な処理が可能となった。トランザクション処理のスピードは大幅に改善され、10分から30分かかっていたブロック生成時間が約5秒に短縮される。
また、このアップグレードは、Stacks上のビットコイン担保トークン「sBTC」の技術的基盤を提供することになる。発表によると、Stacksは今から4週間から6週間後にsBTCをローンチする予定だ。
sBTCは、ビットコインと1対1で裏付けられる資産で、Stacksネットワーク内でビットコインと同等の機能を果たす。ユーザーは、スマートコントラクトを通じてビットコインをsBTCと交換し、Stacksブロックチェーン上に構築されたさまざまなDeFi(分散型金融)アプリを利用して、レンディングや借入、取引などを行うことが可能になる。
sBTCを利用することで、ビットコインをStacksネットワークにシームレスに移動することが可能になると同時に、ビットコインと同じレベルのセキュリティおよびトランザクションのファイナリティで、スマートコントラクトとDeFiアプリを実行できるようになる。
Stacksによる安全性の高いL2開発は、さまざまなdappsの誕生を促進し、多くのユーザーを惹きつけることで、ビットコインエコシステムの拡大と発展につながるものと期待されている。
SECが調査終了
米証券取引委員会(SEC)は7月、2021年のStacksメインネットの立ち上げから、Stacksとその開発企業Hiroシステムズに対して行ってきた3年に及ぶ調査を終了した。
Hiroシステムズは、当初2018年に販売したトークンを証券として扱っていたが、2021年に新たなコンセンサスメカニズムを基盤とするStacksの新バージョンをローンチし、ネットワークが完全に分散化されたため、証券として扱う必要はなくなったとSECに報告していた。
SECが調査を終了したことで、プロジェクトの信頼性が高まったとAli氏は次のように述べた。
数年後、すべてが適切に行われたということが、このプロジェクトに非常に強力な基盤を与えることになる。多くの人々は、STXがビットコインのような明確なコモディティになると述べている。
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