KYC関連の調査
韓国の金融当局が、同国最大の暗号資産(仮想通貨)取引所Upbitで50万件以上の顧客確認義務(KYC)違反の疑いを発見し、事業免許の更新審査に影響を与える可能性が出てきた。韓国金融委員会の金融情報分析院(FIU)が明らかにしたと地元メディアが報じた。
FIUによると、8月末からUpbitの免許更新申請に関する現場検査を実施する中で、少なくとも50万〜60万件のKYC違反の疑いが浮上。具体的には、身分証明書上の名前や登録番号が不鮮明で本人確認が適切に行われていないにもかかわらず、口座が開設されていたケースなどが確認された。
韓国では2018年1月以降、実名口座を通じた取引のみを許可する規制が導入され、すべての仮想通貨取引所に対してKYCとマネーロンダリング対策(AML)の厳格な遵守が義務付けられている。FIUは、不適切な本人確認手続きで開設された口座がマネーロンダリングや犯罪に悪用される可能性を指摘している。
特定金融取引情報法(特金法)では、仮想通貨事業者は3年ごとにライセンスを更新する必要がある。今回、Upbitの更新審査が長期化している背景には、FIUが発見した大量の違反疑惑案件の詳細な調査が必要になっているためとされる。
Upbit関係者は「特金法上、FIUが進めている案件について情報共有は禁止されている」とし、「社内でも情報共有は一切行われていない」とコメント。一方で、金融業界では実際の違反件数の規模に注目が集まっている。
特金法によると、KYC義務違反に対しては1件あたり最大1億ウォン(約1,100万円)の過料が科される可能性がある。仮に50万件すべてが違反と認定された場合、過料総額は巨額に上る可能性があり、Upbitの事業継続にも影響を及ぼす可能性が指摘されている。
関連:評判・口コミでおすすめ仮想通貨取引所15社 個人投資家の評価は?