Scent Storeとは
本記事では、香りのデジタル配信により革新をもたらす「Scent Store」について会社やサービスの特徴をご紹介。また「Smell Token」についても詳しく解説します。
五感の一つである嗅覚を刺激する香りは、私たちの生活において非常に重要な存在です。
しかし、香りはインターネットなどを通じて転送や配信を行うことができないため、デジタル化との相性が悪いと考えられていました。そんな課題を解決するのが、香りをデジタルデータに変換し、オンラインで配信するという革新的なサービスを提供する「Scent Store」です。
このサービスにより、例えば自分の好きな香りをいつでも好きな時に再生したり、新作の香水をお店に行かずとも自宅でお試しができたり、映画やドラマのシーンに合わせた香りがストリーミングされ臨場感ある演出を体験できるようになるでしょう。
本記事では、Scent Storeのサービス内容や、周りで流通する暗号資産「Smell Token」の概要を詳しく解説します。香りのデジタル化がもたらす新しい可能性を探りましょう。
1. 香りをデジタル配信する「Scent Store」
初めに、既存のアロマ市場の課題や、Scent Storeの概要についてご紹介します。
1-1. 莫大なポテンシャルを秘めるアロマ市場
香りの良さは居心地や精神のリラックスに大きく影響し、香りの良さで商品を購入することも少なくありません。
特にホテル・民泊やエステなど個室空間で提供されるサービスに香りは欠かせないおもてなし要素の一つと言えるでしょう。しかし、香りは人により好みが大きく異なるため、香料の選択によってはクレームになる可能性もあり、これまで慎重な扱いが必要でした。
加えて、香水やルームフレグランスは1つの商品を造るために調香師が数千種類にもおよぶ香料の中から自由に香料を選んで造るため、同じような香りの商品でも香料が違うといったことが発生します。
香りを造る調香は、統一されたフォーマットがないアナログな状態なため特に音楽のサブスクリプション配信のようなデジタル化やパーソナライズが難しい分野と考えられていたのです。
そういった背景を受け、彼らは独自の香りのデジタルフォーマットを世界で初めて定義、整備し、音楽のiTunesのようにコンテンツをデジタル配信して、ユーザーが好きな香りを自由に選んでパーソナライズできるソリューションを提供します。
1-2. 「Scent Store」のプロジェクト概要
彼らが取り組んでいるプロジェクトは、香りのデータストリーミングサービス「ScentStore」の運営と、香りの世界共通フォーマット「Universal Scent Format (.usf)」の開発の2つに大きく分けられます。
ScentStoreプロジェクトでは、香りを販売するアプリの運営に加え、香りを生成するディフューザーや香料インクの販売を実施。インターネット上で購入した香りのレシピをもとに、自宅のディフューザーで再生することで、場所や時間に縛られず自由に好きな香りを楽しめる環境を提供しています。
Universal Scent Format (.usf) の開発では、香料をあえて数種類に限定し、持続時間や強度などのパラメータを設定。これらの創意工夫により、香りの数値化とフォーマット化を実現し、独自開発のディフューザーで簡単に香りを合成し再生できる仕組みの構築に成功しました。
このように、香りの提供方法と標準化を同時に推進することで、世界トップクラスの香り配信プラットフォームの構築を目指しています。
2. Smell Token(SML)とは
Scent Storeは香りのデジタルサービスを提供する中で、暗号資産「Smell Token」をマーケティング手段として取り入れています、Smell Tokenの基本的な情報は、次の通りです。
プロジェクト名 | Smell Token |
---|---|
ティッカー | SML |
時価総額 (2024年12月5日時点) |
$11,998,723.49 |
Smell Tokenは、通貨機能に加えて、保有者に次のような特別な権利を提供しています。
- Scent Storeの新サービスを先行利用できる権利
- Scent Storeのサービスを割引、もしくは無料で利用できる権利
- Scent Storeから報酬を受け取れる権利
従来の香水やアロマ製品には、調香師が作成した「香りのレシピ」はあるが、他人が自分のレシピとして不正に利用されるため、香りのレシピを販売することができなかった。
この問題を解決するために、ScentStoreでは香りの作者情報や配合レシピをブロックチェーンに記録し、著作権を保護する仕組みを構築しました。香りのレシピの盗用を防ぎ調香師の権利をしっかり守りながら、香りのデータはNFTという形をとることで、デジタル領域における自由な創作活動をサポートします。
さらに、Smell Tokenの所有者には、香りを一般販売に先駆けて購入できる「先行購入権」が付与されるのが特徴。有名ブランドとのコラボレーションによる特別な香りを早期に購入することは、自身のコレクションを増やすだけではなく、将来的な価値上昇を見越し、投資材料として活用することも可能といえるでしょう。
基本的にScent Storeでは無料で楽しめる香りが100種類以上配信されていて、有料のサブスクリプションに加入すれば更に多くの香りが楽しめます。サブスクリプションの種類は複数ありますが、Smell Tokenの保有量に応じてそれらが無料で利用できます。
また、Smell Tokenの保有量が多いほど、受け取れるUSDTが増える特別なステーキング制度もあり、その原資はScent Store売上から捻出されるというのも面白い特徴です。
このように、Smell Tokenは、Scent Storeの拡大とともに需要が増える仕組みを持っており、サービス対象はWeb3ユーザーだけでなく、すべての人々であることから、その市場規模は非常に大きく、Smell Tokenの価値を強固に支える基盤となります。
3. Scent Storeを運営するHorizon株式会社の概要
Scent Storeの運営会社、Horizonの基本情報は以下のとおりです。
社名 | Horizon株式会社 |
---|---|
設立 | 2022年2月21日 |
CEO | アレックス・ツァイ |
資本金 | 9,105万円(資本準備金含む) |
本社所在地 | 東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー18階 |
Horizon株式会社は2022年2月に設立され、同年12月には香りをデジタルデータに変換する活用方法を発表しました。2023年は「サービスの基礎を築く年」と位置付け、ベータ版ScentStoreの運用、サービスのテストを実施してます。
また、デジタル大臣賞の受賞など、多方面で注目を集める成果を挙げています。さらに、2023年には次のように各企業とも続々コラボしました。
- 4月:映画『魔女の香水』との特別タイアップ
- 5月:エイベックスとのヒーリング音楽×香りのプロジェクト『Lis’mell(リスメル)』
- 8月:共通ポイント「Ponta」のキャラクターの香りをスマートフレグランス化
- 8月:トランス・コスモス、TOKYO FMとコラボしたラジオ番組を放送
- 10月:「なめ猫」シリーズの香りを販売開始
また、Horizonは行政との連携も積極的におこなっています。例えば、2023年4月には衆議院議員会館でスマートフレグランスの体験会を開催し、2024年6月にはインドネシア大統領府にて会談を実施しました。その際、インドネシアのデジタル人材育成支援に取り組むことを決定しています。
このように、企業の利益を超えた国のデジタル戦略への貢献により、Horizonの存在感は一層強まっています。
Horizonが中期で展開する、高級ホテル、サロン、香水などの市場規模は世界で3.62兆ドルを超えるとされており、長期で展開する広告、XR、ゲームの市場規模は世界で6.8兆ドルを超えます。この巨大なマーケットにおいて、香りのデジタル配信といえば、Horizonというトップ戦略をとる新しいアプローチは大きな可能性を秘めています。
また、「Proust」プルーストという香りのライフスタイルマガジンを創刊し、業界のトップセレブリティやラグジュアリーブランドとタイアップするなど、Horizonは、今後も予想を超える形で発展し、業界に革新をもたらすことが期待されています。
4. 香りをデジタル化し世界80億人の鼻を掴むHorizon
Horizonが目指すゴールは、香りをデジタル化し、人々の生活をより豊かにすることです。音楽がCDからデジタルに移行し、インターネットが誕生したとき、生活が劇的に豊かになったように、香りをデジタル化することで新たな可能性が広がります。
五感のうち、視覚はNetflix、聴覚はApple、味覚はUber、触覚は任天堂が象徴的な存在となっています。その中で、「嗅覚」においてHorizonがそのポジションを担い、これらの企業のように世界を変える可能性を秘めた存在になることを目指しています。
Horizonが手掛ける事業はいずれも前例のない挑戦であり、計り知れない可能性を秘めています。この記事を通じて、ScentStoreやSmell Tokenなど、Horizonが仕掛ける香り市場の変革にいち早く注目し、その進化を間近で体験してみてはいかがでしょうか。