
*本レポートは、クリプトアナリストである仮想NISHI(@Nishi8maru)氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
仮想通貨マーケットレポート(1/28 AM7時)
暗号資産(仮想通貨)市場は、「DeepSeekショック」による株式市場の下落の影響を受け、一時ビットコイン(BTC)価格が10万ドルを下回る展開となった。
「DeepSeekショック」とは、従来の30分の1以下のコストでOpenAIのGPT-4(o1)に匹敵する性能を持つ大規模言語モデルを開発し、無料版をリリースしたことに起因する。これによりAI関連株が急落し、株式市場全体に波及した。
また、トランプ大統領がコロンビアに対する関税引き上げを示唆したことによるインフレ懸念も市場の下落を後押しした。一方で、暗号資産支持派であるベッセント氏の米財務長官就任が好感され、市場は半値戻しとなり、執筆時点でビットコイン価格は10万2千ドル前後で推移している。

出典:Tradingview
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1月27〜28日相場状況
ビットコインと米国株価指数との相関関係は依然として強い状態にあり、ナスダック100指数との相関係数は+0.78を示している。トランプ政権による関税引き上げ発言が米国経済の減速懸念を助長し、長短金利差(10年債利回り-2年債利回り)の縮小が進んでいる。この状況がビットコイン市場にとって逆風となっている(下画像黄色中赤線)。

取引動向を見ると、成行注文では現物市場が主導して売りが優勢となっていることが確認できる(下画像黄枠)。

また、オーダーブックの状況では価格変動によりBidやAskに強いサポートラインが形成されておらず、ボラティリティが高まる可能性が示唆されている。

オプション市場に目を向けると、プットコールレシオ(PCR)が若干上昇している。投資家の態度はトランプ大統領就任日から一貫して強気傾向であったが、昨日の株価下落から態度が若干弱気に変化したことが伺える。

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現状分析(1/28日AM7時)
米国のビットコイン戦略に関連する大統領令の策定には時間を要するとの見方が広がり、市場の関心は大統領令から金利や経済指標といった市場動向へとシフトしている。ビットコイン市場では、急騰した翌年に大幅な下落が見られるというアノマリーが意識される中、今後のFOMCで金融引き締めが示唆される場合、春先の納税期に向けて価格が軟調に推移する可能性がある。
今後の重要な日程
- 1/30日 米FOMC
- 1/30日 ユーロ・ECB政策金利
- 1/31日 米PCEデフレータ 12月
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