ビットコイン投資も検討か
チェコ国立銀行(CNB、中央銀行)は30日、準備金を多様化するため、新たな資産に投資することを検討すると正式に発表した。
同銀を巡っては、暗号資産(仮想通貨)に肯定的な米トランプ政権の誕生などを背景にアレシュ・ミフル総裁がビットコイン(BTC)への投資を以前から提案しているが、今回の発表では具体的な資産名には言及していない。
従来、各国の中銀は債券など保守的な資産を保有するため、ミフル氏の提案は注目度が高い。今回の発表の前に、同氏が30日にビットコイン保有を理事会に提案することが伝えられていたため、これからビットコインも含めた検討が行われるとみられる。
今回の発表では「ミフル氏の提案で、新しい資産を保有することが、ポートフォリオの多様化と収益性の観点から適切であるかを調査する」とだけ説明した。
CNBは準備金管理戦略の一環として過去2年に渡って、すでに投資資産を多様化してきたという。過去には、2028年までに全資産の約5%に達するまでゴールド(金)を増やす計画があることも明らかになっていた。
今後については、調査結果に基づいて理事会が次のステップを決定すると述べ、それまでは何も方針に変更はないと説明。そして、ポートフォリオに変更がある場合は、四半期の報告書や年間レポートで公表するとしている。
チェコを拠点に仮想通貨ウォレットを開発するTrezorのビットコインのアナリストはCNBの動きについて、「The Block」に対し以下のようにコメントした。
チェコは、歴史的な一歩を踏み出そうとしている。
もしビットコインの保有が承認されれば、チェコだけでなく、ビットコインの転換点になるだろう。国家の経済戦略の1つのツールとして、ビットコインが世界で普及する可能性がある。
なお、ミフル氏の提案は、準備金1,400億ユーロ(約22兆円)の5%(約1.1兆円)をビットコインで保有するという内容である。
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否定的な意見
ミフル氏が「Financial Times」のインタビューで、自身は他の中銀とは異なった考え方を持っているかもしれないと述べていた通り、中銀が仮想通貨の保有を検討することは異例だ。
チェコ国立銀行がビットコインを保有することになった場合、5年以内に他の中銀も後に続くだろうとミフル氏は予測しているが、否定的な声も上がっている。
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は30日の記者会見で、中銀がビットコインを準備金として保有することや米トランプ政権がビットコインの備蓄を検討していることについて意見を求められ、否定的な見方を示した。
ラガルド氏は、中銀が準備金として保有する資産は流動性が高く、安全でなくてはならないと主張。マネーロンダリングや他の犯罪に影響を受けることがあってはいけないとも述べている。
なお、チェコは欧州連合(EU)に加盟はしているが、単一通貨のユーロは導入していない。
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