
アルトコインが下落
暗号資産(仮想通貨)の分析を行うGlassnodeは11日、週刊のニュースレターで、アルトコイン全体の価値の下落が大きくなっていることを報告した。
下落を免れたカテゴリーはほとんどないと述べ、大多数のアルトコインが高い相関性を示して価値を下げたと指摘。また、ビットコイン(BTC)とアルトコインの間で過去に見られた資金の循環も減少していたと説明している。
今回Glassnodeは、まずはビットコインの価格を分析。9万3,000ドル(約1,435万円)に週初に下落し、一時的に10万2,000ドル(約1,570万円)に戻して、ニュースレター執筆時は9万8,000ドル(約1,510万円)付近を推移しているとした。

出典:Glassnode
ビットコインの値動きが定まらなかった主因の1つは、米トランプ大統領の関税措置にあるとし、マクロ経済の不確実性につながったことが相場の重しになったとの見方を示した。また、ドル高が続いたことも流動性に若干影響したと分析している。
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一方、9万3,000ドルまで下落した際などに投資家は損失を被ったが、今回の調整は過去と比較すると珍しい規模ではないと指摘。損失の大半は短期投資家によるもので、握力(ホルダーとしての忍耐力)の強い投資家が増加し、価格が安定するようになってきているとも説明した。
アルトコインの市況
しかし、アルトコインは強い売り圧に押され、全体的に値を下げたと指摘。技術が思うように普及しなかったり、プロダクトをマーケットに適合させることが難しかったりすることが、困難な市場環境を生み出していると分析した。
例えば、Glassnodeがビットコイン、イーサリアム(ETH)、ERC-20トークンのパフォーマンスを比較したグラフが以下。AI(人工知能)、DeFi(分散型金融)などに分類したパフォーマンスも示しており、ビットコインが全てを上回って、どのカテゴリーも同様の値動きをしていることが示されている。

出典:Glassnode
また、14日間のアルトコインの時価総額の変化を分析し、この2週間は時価総額が2,340億ドル(約36兆円)減少したとも指摘した。
Glassnodeは今回このような複数のデータを提示した上で、アルトコインのパフォーマンスは弱気相場における下落と考えることができると主張。そして、ビットコインは同様の弱さを示していないように見えるとも説明した。
一方で、今回の下落幅は過去と比較すると大きいが、2021年5月に起きた中国のマイニング禁止令による下落、2022年のテラショックやスリーアローズキャピタル(3AC)破綻などによる下落と比較すると、深刻さの度合いは低いとしている。
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