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オフショア租税回避について調査か
米国のロン・ワイデン上院議員(民主党)は、米暗号資産(仮想通貨)VC大手パンテラキャピタルの創設者ダン・モアヘッド氏に書簡を送付。米連邦税法違反(脱税)の疑いで同氏を調査しているとする内容だった。ニューヨークタイムズが14日に報じた。
モアヘッド氏は、オフショア租税回避地として知られるプエルトリコに移住している。上院財政委員会は、プエルトリコの住民に適用される特別減税制度を利用するためにプエルトリコに移住した米国人富裕層の納税状況を調査しているところだ。
この一環として、モアヘッド氏が得た8億5,000万ドル(約1,290億円)の投資利益について連邦税法に違反したかどうかを調べているとみられる。
ワイデン議員は書簡で「ほとんどの場合、利益の大部分は実際には米国源泉所得であり、米国の納税申告書で報告され、米国の税金の対象になる」と指摘した。
一方でモアヘッド氏は、2021年にプエルトリコに移住したが「税金に関して適切に行動したと思う」と述べている。
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パンテラキャピタルとは
パンテラキャピタルは、2013年にビットコイン(BTC)がまだ1枚あたり65ドルだったときに、米国で最初の仮想通貨ファンドとして立ち上げられた。
公式サイトによると運用資産は50億ドル(約7,600億円)に達しており、100件のベンチャー投資、110件の初期段階トークン投資を行っている。米国外資本へ投資している割合は47%だ。
昨年11月、パンテラキャピタルのビットコインファンドは2013年の立ち上げ以来、1,000倍のパフォーマンスを達成している。これはトランプ大統領誕生への市場の期待も受けたものであり、モアヘッド氏は「ブロックチェーンに対する15年間の規制上の逆風は、今や追い風に変わりつつある」と記していた。
DeFiにも税務報告を求める規則
米国の規制当局は、仮想通貨関連の税金について監視を強化しているところだ。
米国税庁(IRS)は昨年12月、分散型金融(DeFi)プロジェクトに対して、仮想通貨取引を行ったユーザー情報を収集し、報告することを求める新しい規則を正式に確定させた。
これは、DeFiの「フロントエンドサービスプロバイダー」(ウェブサイト運営者)に、顧客の名前や住所などの情報を開示することを要求するものだ。2027年1月1日以降に施行される予定である。
ただし、業界からは、DeFiの分散型という性質から、情報収集や報告体制の構築が困難だとして反発は続いている。
1月には、テッド・クルーズ上院議員が、この規則を覆すための決議案を提出した。クルーズ氏は、次のようにコメントした。
この規制は、個人がデジタル資産を自由に売買・交換できるようにするという DeFiテクノロジーの目的を損なうものだ。米国の目標はイノベーションを優先することであるべきだが、この規則はその逆を行くものだ。
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DeFi(分散型金融)とは
ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。「Decentralized Finance」の略。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。
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