
3/1(土)〜3/7(金)の週次レポート
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
今週の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は1400万円周辺から取引が始まった。
週末にトランプ米大統領が先着的暗号資産(仮想通貨)備蓄構想に支持を表明したことで、急伸していたBTC相場だが、備蓄に一部アルトコインも含まれるという観測から実現可能性に疑義が生じ、3日米国時間に1300万円台中盤まで水準を下げた。
また、トランプ氏がカナダ、メキシコ、中国に4日から関税を適用する意向を発表したことで、米国株相場が総じて下落すると、BTCも連れ安となり、4日東京時間には1240万円まで下落した。
その後もBTCはジリ安に推移し1200万円近辺まで押すも、トランプ氏がカナダとメキシコに対する関税の税率を引き下げる可能性が浮上し反発。5日欧州時間には1370万円近辺まで戻した。また、この日はトランプ氏が関税をめぐって北米製自動車メーカーへの適用除外を発表し、相場は段階的に1400万円を試した。
一方、6日の欧州時間に入ると米景気後退懸念から米株先物が下落し、BTCも上げ幅を縮小。この日の米国時間には1300万円近辺まで水準を再び下げた。
尤も、トランプ氏が米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)対象商品への関税適用を1カ月延期すると発表した他、FRBのウォラー理事が年内の利下げ見通しを改めて保持したことで、引け後から相場は反発した。
ところが、7日東京時間序盤にトランプ氏が戦略的ビットコイン備蓄(SBR)創設の大統領令に署名すると、事実売り気味に相場は急落を演じ、一時は1260万円近辺まで下落。その後は押し目買いの様相で1300万円周辺まで戻している。

【第1図:BTC対円チャート(1時間足)】
出所:bitbank.ccより作成
前週の相場急落からの反発によってBTCは売り一服感が確認されたが、今週は戻りを試す展開とはならなかった。トランプ関税を巡っては、カナダとメキシコは多くの製品への適用が再度延期となった格好だが、中国製品には2月の10%に追加で10%の関税が賦課された。
加えて、今週は全米供給管理協会(ISM)の製造業景気指数(PMI)やADP雇用統計の下振れを受けて、景気減速ではなく景気後退への懸念が強まり、債券市場では米金利の逆イールド化が確認された。
景気後退の場合でもFRBによる金融緩和が期待される訳だが、実際に追加の利下げや量的緩和が実施される見込みが顕在化するまで、市場参加者のリスクアセットへの投資意欲は上向きにくいと言えよう。
こうした中、トランプ氏は7日、SBRを創設する大統領令に署名した。内容としては、既に米政府が保有する約20万BTCを保有し続けるとのことで、一部で期待されていた政府によるBTCの追加購入は見送られた格好だ。
これにより一時は失望売りが入った模様だが、経済大国の米国が財政戦略の一環としてBTCを備蓄することは、アセットクラスとしての格を引き上げる象徴的な意味があると言える。
また、米国では州単位でのSBR創設に向けた動きに進捗がある他、今後は米国に追随してSBR創設を目指す国が台頭してくる可能性もあり、今後の実需増加が期待される。よって、足元の売りは一時的だろう。
さて、来週は2月の米国の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)の発表が控えている。ワーストケースとしては、景気後退観測が台頭する中、物価上昇率が引き続き伸び続け、米国がスタグフレーションに陥る可能性が浮上すること言え、来週は強いリスクオフムードの台頭に注意しておきたい。
1月は前年比のCPIとPPIの伸びが加速、個人消費支出(PCE)価格指数は減速とまちまちな結果となった(第2図)。
幸い、中長期のインフレの方向感を示すトリム平均PCEインフレ率の伸びも減速していることから、CPIとPPIも方向感としては同指数に向かって収束していくことが期待されるが、結果を見るまでは安心できないだろう。

【第2図:各種米インフレ指標(前年比)】
出所:FREDより作成
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