
ハマスから仮想通貨押収
米司法省は27日、イスラム系組織ハマスから暗号資産(仮想通貨)を押収したことを発表。テロ資金調達計画を阻止したとしている。
ウォレットと口座に保管されていたステーブルコインUSDTなどを約20万1,400ドル(約3,040万円)相当差し押さえた格好だ。ハマスの仮想通貨アドレスは、2024年10月以降、150万ドル(約2.3億円)以上を資金洗浄するのに使用されていたとされる。
USDTはテザー社が発行する米ドル建てステーブルコインであり、ステーブルコインの中でも時価総額首位の銘柄だ。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
エドワード・R・マーティン・ジュニア連邦検事は、次のようにコメントした。
ハマスは、多くの米国人とイスラエル国民の死に責任がある。我々は彼らによるテロや殺人を阻止するためにあらゆる法的手段を講じるつもりだ。
また、ラウル・ブジャンダFBI特別捜査官は、次のように述べている。
今回の成功は、金融分野がテロと戦うための重要な側面であることを示している。私たちはテロ組織が違法行為を続けるために必要なリソースを奪うことで、アメリカ国民を守り、正義を追求するために全力を尽くし続ける。
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詳細
米司法省によると、ハマスは暗号化されたグループチャットを使って世界中の支持者と仮想通貨アドレスを共有するネットワークを作り、寄付を受け付けていた。
こうしたアドレスは合計17個以上あり、寄付金は中央の運用ウォレットに集められ、その後取引所やブローカーに分散されてマネーロンダリングされていた。
テザー社の管理下にあるアドレスに約89,900ドル(約1,360万円)と、トルコやその他の場所に居住するパレスチナ人がバイナンスに保有するアカウントに、111,500ドル(約1,680万円)が保管されていた格好だ。
押収に伴い、米国のコロンビア地区地裁は25日に令状を承認。テザー社にUSDTを凍結して政府管理のウォレットに移転するよう指示し、バイナンスにも関連アカウントの資産を引き渡すよう指示する内容である。
ハマス関連の仮想通貨が凍結・押収されたのは今回が初めてではない。2023年にも、バイナンスは、イスラエルからの要請を受け、ハマスに関連するアカウントを凍結していた。
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なお、北朝鮮もハッカー集団ラザルスなどによるハッキングで仮想通貨を盗み出している。最近被害を受けた仮想通貨取引所Bybitは2月、ラザルスのマネロンを追跡するサイト「Lazarusbounty」を立ち上げた。
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