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資金凍結に報奨金を付与
大規模ハッキングを受けた暗号資産(仮想通貨)取引所Bybitは25日、北朝鮮政府が支援するハッカーグループ「ラザルス」のマネロンを追跡するサイト「Lazarusbounty」を立ち上げた。
盗まれた資産の凍結につながる情報を提供した者には、その資産の5%にあたる報奨金が支払われる。凍結時に即座に前払いされる形だ。
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出典:Lazarusbounty
サイトによると、これまでに流出した14億ドル(約2,090億円)の内、約90%が追跡中、約3%が凍結され、約7%が不正行為者に送金された。
また、ラザルスグループに関連する6,338のアドレスが特定されている。サイトにはバウンティハンターが得た報奨金に関する情報や、ラザルスグループの資金が経由したウォレットなどについて善良なアクター(行為者)と悪質なアクターのライブ・ランキングも掲載している。
例えば善良なアクターとしては、流出資金を凍結したMantleやテザー社などの名前を表示。一方で、資金を受け取りながら適切な応答をしなかったアクターが悪質なものとして分類されている格好だ。
Bybitのベン・ゾウCEOは、このサイトは「ラザルスのマネーロンダリング活動を完全に透明な形で集約して掲載する業界初の報奨金サイト」だとしている。また、次のように続けた。
ラザルスや、その他仮想通貨業界に対する悪質な行為者が排除されるまで、私たちは止まらない。将来的には、ラザルスの他の被害者も使えるようにする予定だ。
なお、現在立ち上がっているのはサイトのバージョン1であり、バージョン2もリリース予定だとしている。
バージョン2は、盗難資金が送金された最新のウォレットについて残高などを即時更新する予定だ。バウンティハンターは特定のウォレットを追跡対象として確保し、そのウォレットの動きを一定期間追跡する権利を持つこともできる。
今回の事件では、資金がミームコイン発行・取引を通じて資金洗浄されたことも確認されているところだ。
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「ユーザー資産の裏付けは充分」
Bybitは、第三者セキュリティ企業Hackenによる準備金証明監査を23日に完了したと発表した。すべてのユーザー資産を裏付けるのに十分な準備金を保有していることを確認している。
40種類の資産について関連ウォレットを徹底的に監査した格好だ。BTC、ETH、SOL、USDT、USDCなどの主要資産は担保比率が100%を超えていた。
Bybitが迅速に準備金を回復できたことの背景には業界からのタイムリーな支援もある。
Bybitは、ギャラクシーデジタル、FalconX、Wintermuteなどの企業との戦略的パートナーシップと、Bitget、MEXC、DWF Labsなどからの支援を受けて、72時間以内に流出分のイーサリアムを補填することができたと述べた。
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